宝くじが当たったら3人目が欲しい
「子どもは2人ほしい」と、夫婦では考えていた。
ただ、ひとりめから20代で不妊治療し、授かるまで2年弱かかったので、「ひとりだけでも」と、当時は切に願っていた。ひとりめはスクスク育ち元気にしている。
ひとりめが無事に産まれ、産後2~3か月以内には、夫婦でふたりめの予定を立てていた。ふたりめの治療再開は、産後1年後以降にしようと。
人生初の出産は、とても痛かったし、とにかく大変だったが、安産ではあったので、”この痛みなら、2人くらいならいけそう”と、体育会系の思考ではあった。生理の再開は平均よりは遅く1年くらいかかったので、1年2か月後くらいには、病院へ通い始めた。
やはり、人は経験を重ねると強くなるもので、手順も分かっていることもあり、治療のスケジュールや通院のペースなど、格段に速く取り掛かることができた。幸いにも3か月程度の通院で、第二子を授かることが出来た。(ひとりめと同じく、妊娠直後から切迫流産だったので仕事先にも迷惑はかけたが、流産せずに産むことまで出来てよかった。)
第二子の妊娠中は、上の子のお世話もあるし、通勤しながら仕事もあるし、体力精神とも疲れることが多かった。里帰り出産も、上の子がいると難しく、越えなければならない物事が、ひとりめよりも多かったと思う。
無事に、ふたりめも出産できたのも束の間、生後2か月で次年度の保活をしている。キョウダイ同じところへ1歳での入所ができれば良いが、昨今は0歳児の学年も第一希望が難しいとのこと。1歳児クラスが人気なのは分かるが、0歳児でも希望の月に中途入園することが出来ず、生後1年も経たないまま、保育園へ預け、復職しなければならない。「昔は育児休暇もまともになくて働いていたよ」と、言われればそれまでだが、出産後せめて1年くらいは我が子と一緒に過ごしたいと切に願う。時間の融通が利くフリーランスなどであれば、子どもと一緒にいれる時間も増えるとは思うが、自分にはそんな能力はない。制度の中で生きていくしかない。
夫は、自分でいうのもなんだが、やさしい人である。私の行きたいところやしたい事は大事にしてくれる。交際から含めると13年にもなるので、お互いのことは良くわかる。
ふたりめを出産して、1ヵ月後には、さんにんめが欲しいことを伝えた。年の差2年は、こちらのキャパが間に合わないと思うので、出産年齢も厳しくはなるが4歳差くらいにはあけて、ほしいと。
私たちの場合は、妊娠するまでに何カ月かかるか分からないし、通院から始める負担もある。それに妊娠中はしんどいし、出産はもっと大変だけれども、ふたりめが産まれて(上の子の赤ちゃん返りやイヤイヤ期もあって大変だけれども)、やっぱり子どもは可愛いと、さんにんめを考えるようになった。自分でもこんなに子どもを可愛がることになるとは思ってもみなかった。
もう、ふたりも授かっているのに贅沢だろうか.…。
夫の反応は、私が、“まさかそんな事をいうとは”といったものだった。
傍からみれば、妊娠中は大変だし(つわりなどで文句が多い)、出産も大変だし(経産婦でも怖かったしもちろん痛い)、上の子の世話で機嫌が悪いこともあるのに、その苦行をまだ出来るのか!?と、そりゃそうだよね。
ただ、お世話が大変だから無理ということではなく、経済的な問題で無理だと。
ネットで調べると、子どもを育てるには、養育費と教育費で2500万円はかかると。私学へ通わせるなどもふまえると幅は2000~4000万円とのこと。
さんにんめにかかるであろう費用2500万があれば、1250万円ずつ、ふたりの子どもにかけることが出来る。
「ふたりにいろんな経験をさせてあげるほうが良いと思う」そう言われて、何も言い返せなかった。
量より、質では、と。
確かに、1200万程ひとりにかけることが出来れば、留学費用も払えそうだし、習い事など、たくさんの経験を積ませることが出来ると思う。
さらに、こどもが3人ともなれば、家をより大きくしないと居住スペースがないし(3LDKは必須)、車だって大きくしないといけない(家族5人に荷物分)。「育てる」以外の環境整備に何千万かかるやら…家の購入なんて、途方に暮れる。
言っていることはまともだし、数字に換算すると十二分に理解が出来るので、夫に返す言葉もなかった。
妊娠も出産も、痛い思いをするのは女性だから、2つ返事とは言わずとも、OKが出るのかと思っていた。それ以降、さんにんめの話はしていない。
だが、一度断られたからと言って、すぐにあきらめきれることでもなく、悶々とした日々を送っている。
こんなに暑いが、もう来週からは11月で、宝くじの話題も出始めたときに、私が当選したなら、「3人目が欲しい!」と、街頭インタビューで答えてみたいものだ。
来週は衆議院選挙もあって、少子化を嘆くのなら、もっと国のバックアップを受けたい。3人目の児童手当が増えたことは、夫への交渉のひとつになるかもしれないが、そもそも3人目を産まなければ享受することはできない。投票は、子育て重視の政策をかかげている政党に注目したい。
今年の年末ジャンボは買ってみようか。
あと2年くらいは、さんにんめを諦められないと思う。