友人から電話があった
友人から数年ぶりに電話があった。
僕はうつ病になってからそれまでの友人との交流を一切絶っていた。
交流する気力がなかったというのもあるが、なによりも恐ろしいのは自分がうつ病になったということを友人・知人に知られることだった。
「うつ病であることは恥ずかしいことなのか?」と聞かれたら、今の僕ならNOと即答する。しかし、当時の僕はどうしてもそれにNOと答えることができなかった。
当時の僕は、「立派な」人生を歩めないならば自分に価値はないと思っていた。他人が僕と会話してくれるのは、僕が「立派な」人間になる可能性があるからだと信じて疑わなかった。「立派」で「まとも」な人生。その言葉に押しつぶされて、僕は壊れた。
その友人とは、僕がうつ病になってからのことを互いに話した。途中から空白になった交換日記のページを書き足すように、僕らは互いに何があったのかを語り合った。彼は大学卒業後、資格試験に挫折するなどしながらも地方の優良企業に就職し、立派に社会人をやっているようだった。
以前の僕ならば、この事を聞いただけで半年は劣等感に苛まれていただろう。どうしてだろうか、今日の僕は素直に「おめでとう。凄いね。」と言った。劣等感で自分を責めることもしなかった。うつ病になったあの時から少しは成長できたのだろうか。そうだといいと思う。