人事制度の基本思想の転換~従業員が働き方を選択する仕組みへ
いま私は、企業の人事労務担当として、人事制度、勤務制度、福利厚生制度(特に社宅・寮)などの見直しを検討しています。各制度の個別論を考える前に、議論の拠り所となるような、制度の基本思想のアイディア、種みたいなものを、ここにまとめてみたいと思います。
それは、端的に言うと、企業は働き方の選択肢を用意すると共に、従業員が自ら選ぶということです。これまでは、企業が強い人事権をもち、各人の部署や業務内容、働く場所、定年年令まで決めることが普通でした。これらの主体を従業員にするという意味で考え方を転換するということです。
とはいっても、100人に100通りの働き方にあわせて、勤務時間や給与などを管理するのは至難の技なので、ある程度のくくり等は必要になります。
つまり、
・業務内容 職種(営業、製造、開発など)や、部門(事業部門、コーポレート部門など)を無制限にするか、一部限定にするか(異動するときは個別同意を要する)
・勤務場所 どこでも転勤可能とするか、ある特定の事業所もしくは地域限定にするか(転勤するときは個別同意を要する)
・労働時間 決められた時間のみ就業するか、時間外・休日労働含めて、法律や協定の範囲内maxまで働くことを受け入れるか
といったように、選択の範囲を設定するということです。
日本の労働力人口が減少に向かう中で労働力の確保がますます困難になること、さらに高年齢者の雇用(70才までの雇用の努力義務)への対応、ワークライフバランスや女性の活躍の点から家庭の事情への配慮(転勤や長時間労働)が一層求められること、などなど各社が課題に直面しています。
上記のような考え方の転換は、それら課題への打ち手のひとつになり得ると考えています。
ただ、どのように制度(例えば、報酬や処遇にどう違いを反映させるか)、仕組み・運用に具現化するかは、正直なところ答えが見つかっていません。
「改革は現実的でなければ意味がない」
企業の実務担当としては、実際に職場の管理者や、後々の人事担当が回していける制度に落としていこうというところです。
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