あの夏の日、故郷の夜空が燃えた。
今年の「ふたご座流星群」...極大は14日火曜の16時頃と予想されているそうですが、その時間帯はあいにく夕方。空がまだ暗くはありませんよね。だけど、多くの流れ星に出会えそうなチャンスは、今夜“13日月曜夜~14日火曜明け方”と明日の夜“14日火曜夜~15日水曜明け方”計2回あるのだとか。もちろんそれは、天気が良くて...という第一条件があり。さらに、できるだけ街灯など人工の明かりが少ない場所...という第二条件もあり。じゃあ、日本中で、どれだけの人が流れ星に出会えるのか?そもそも寒い中、見よう!という人がどれぐらいいるんだろう?
かく言う私は、とりあえず真夜中に外に出て、星空を眺めてみよう派です。ただ、下町とはいえ、住んでいるのは大阪市内。繁華街のようにギラギラのネオンがあちこちに!って場所じゃないけど、街灯はそこら中にある。ふだんも、よく夜空を眺めるほうだが、見える星は数えるほどしかはない。
このエッセイに何度も出てくる我が故郷は、兵庫県北部の山間部の町。しかも実家は、村の中でもいちばん山奥にあり、隣を含めて3軒の家があるエリアは、「奥の谷」と呼ばれていた。玄関側に街灯はあったが、畑などがある裏庭側には、人工の明かりは皆無だった。当然のように、夜空いっぱいに星が見える。天の川もきれいに見えた。そういえば、20年ほど前、星がきれいに見える町だったか、よく見える町だったかの全国ランキングで5位になり、新聞に掲載されたこともある。
今日明日が見頃の「ふたご座流星群」に「しぶんぎ座流星群」「ペルセウス座流星群」を加えて、三大流星群と呼ぶらしい。検索したところ、「しぶんぎ座流星群」は年初め頃に、「ペルセウス座流星群」は8月半ば辺りに、と書いてあったので、あれは「ペルセウス座流星群」だったのだろう。大学2回生の夏、盆休みで帰省していたときのことだ。私はその夜、実家の屋根に寝転がり、一人で星空を眺めていた。一つ、二つ、三つ、四つ、五つ...想像を遥かに超える数の流れ星に出会った。50を超えたぐらいで、数えるのを止めた。数えなくなって数分後、それまで見たどれよりも大きな流星が!一瞬の閃光が、空全体を真っ赤に染めた。あの日以上に、流れ星を数えたことはない。あの日のような、燃える夜空に出会ったことはない。
さて、予報によると、今夜から明日の朝にかけて、大阪の天気は晴れ。街灯の少ない場所は、少し歩くけど、だいたい“目星”をつけている。ただ、酔って寝てしまわないかが心配だ。酒を飲むとスグ眠くなるようになったのは、年齢のせいかなぁ。だったら飲まなきゃいいだけなのだが、飲まなきゃやってられない日が続いている。やりきれない今の私に必要なのは......一杯の酒か?いっぱいの流星か?