心の地図を手に入れた日
学校帰り、偶然にも街の片隅にある古びた本屋に足を踏み入れた。その店は、ほこりっぽい本の山が天井にまで届き、まるで時間を忘れたような静けさが漂っていた。色あせた本の背表紙が壁一面に並び、その一つ一つが太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。
ふと目に留まったのは、奇妙なタイトルの本、「心のつながり バレット博士の脳科学教室」だった。その本は、まるで私を待っていたかのように、他の本から少し離れた場所に置かれていた。表紙を開くと、心と世界の関係を象徴するような抽象的な図形が色とりどりに描かれている。
その本を手に、いつもとは違う帰り道を歩いた。普段通らない路地や公園が、新しい世界のように感じられた。木々の葉のささやき、小鳥の歌、風の匂いが、「心と世界のつながり」を教えてくれているようだった。
家に戻り、本を読み始めると、小さな窓から差し込む月明かりが想像力をかき立てた。ページをめくるたび、心は自由に広がり、心の奥深くに潜む感情や思考が、夢の中を彷徨うように生き生きとしてきた。
コトバを通じて、外の世界と私の心がどのようにつながっているのかが徐々にわかってきた。
私は職場、家族、友達、パートナーとの関係を新しい目で見るようになり、心の奥底にある深いつながりと自由を感じ始めた。
本の香り、時を忘れる空間、隠れた一冊。
ここは夢の扉、知の海。
人の心を知る旅へ。
2023.12.10