ZOZOの成長、つまずき、SBグループ入りまでの軌跡をたどる
おはようございます。ドドルあおけんです。
このnoteでは、月〜金日替りテーマでIT系のビジネストレンドなどをできるだけ噛み砕いてご紹介しています。
EC・ロジスティクスの水曜日。今日は、昨年ソフトバンクグループ入りしたアパレルECのトップZOZOが宅配のロジスティクスのトップヤマト運輸との提携を発表というニュースを受けてあらためてZOZOという会社の軌跡とソフトバンクグループでどのようなシナジーを生み出そうとしてるのかを改めて振り返ることができる回となっています。
先月、EC向けの新配送サービス「EAZY」を発表したヤマト運輸。上記の記事によるとEAZYとはこんなサービスです。
「EAZY」はデジタル技術を活用し、EC利用者、EC事業者、配送事業者をリアルタイムでつなぎ、購入・配送・受け取りの利便性と安全性、効率性を向上、ECの持続的な成長を実現する「ECエコシステム」の確立に向けた新配送商品。
そして、このサービスの最初の提携先としてZOZOが選ばれたようです。
これによってこれまで対面での受取りが前提となっていた宅急便が、ZOZOで注文する場合、アマゾンで進められている置き配にも対応することになり、コロナで非接触型の受け渡しが求められる中でそのニーズに対応したサービスを開始したということですね。
このアパレルECと宅配ロジスティクスのトップが組んだことは、3月に発表されたZホールディングス(ヤフー)およびソフトバンクグループとヤマト運輸との戦略的アライアンスが具体化した動きと見ることができると思います。
ということで、SBグループ入りして今後が注目のZOZOについて、これまでの軌跡を今回はカンタンに振り返ってみます。参考記事は↓です。
CD・レコードの通販から創業
1998年に輸入CDやレコードの通信販売をはじめ、それをきっかけに「有限会社スタート・トゥデイ」を設立した元代表の前澤氏。
2年後の2000年にはネット上での販売サイトの運営をはじめ、ここから本格的にネット通販を開始。
しかし、音楽だけでなくアパレル業界にも興味を持っていた同氏は同年(2000年)にアパレル商材を中心としたインターネット上のセレクトショップを立ち上げます。これが「ZOZOTOWN」の先駆けでした。今から20年前です。
打ち手が次々はまり、飛躍的な成長を遂げる
前澤元代表は様々な人気ブランドに飛び込み営業をし、出店店舗を少しずつ増やした。その中でも契機となったのが、ユナイテッドアローズの出店。
これをきっかけに他のブランドの出店も決まり、だんだんと消費者に注目されるようになります。ユナイテッド・アローズを落とせた、前澤氏の営業力がZOZO飛躍の大きな一歩です。
2006年には、独自の物流システムを構築するための物流拠点「ZOZOBASE」を開設。これによって各店舗の商品を自社の物流施設で預かり、保管・写真撮影・梱包・発送などをすべて代行することで即日配送を可能としました。
物流拠点を自社で作り、スタジオを自社で作り、写真の撮影を全部やる、というめんどくさい作業をやりきる、というのが一見すると不合理で、他社がやらない、まさにキラーパスとなる戦略だったと思います。(このあたりの競争戦略については、ストーリーとしての競争戦略の回で触れています)
2007年には東京証券取引所マザーズ市場に上場し、5年後の2012年には東京証券取引所市場第一部への上場を果たします。
2013年には、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」をリリースし、Eコマースで服を購入する際にユーザーが試着ができないという課題を、一般ユーザーやショップスタッフ、さらに有名モデルや俳優のコーディネートを見ることができるアプリで解決を試みます。
年齢、身長なども公開することができるため、消費者は、着用したイメージを想像しやすくなり、着用アイテムをタップすると商品のページに飛び、ZOZOTOWNで購入することができるというコーディネートアプリを軸にした提案型ECを確立。WEAR経由での売り上げは2015年に月間10億円を突破します。
つまずき
順風満帆に見えた事業展開ですが、2017年に開始した着て写真を撮るだけで全身を採寸できる「ZOZOSUIT」の無料提供が予想以上の反響に製造が遅れ、入荷が半年待ちになるなど対応が後手に回り、且つ計測精度の問題や、思った以上にフィットしない完成品への指摘などもあり、消費者に不信感を抱かせる結果となります。
さらに2018年12月にサービスを開始した「ZOZOARIGATO」施策では、有料会員になるとすべてのアイテムが常に10%オフを打ち出すも、値引きの常態化を嫌う様々なブランドが懸念を抱くようになり、退店や縮小を図るブランドが現れます。その結果、このZOZOARIGATO施策は、開始からわずか半年後の2019年5月末で終了することとなります。
サブスク化を焦るあまり、これまで築いてきたエコシステムが壊れはじめます。
“前澤ZOZO”の最終章
2019年3月期のIRでは、業績予想を大幅に下方修正し、2007年の上場以来初の減益となります。そのような中で、前澤氏は記者会見で「変わるタイミングだった」と発言しているように、ソフトバンクのトップの孫正義氏に相談をしたことが、ZOZO売却を決断する大きな転機となったといいます。
前澤代表の資質に頼る成長に限界がきていたということだと思います。
2019年11月にYahoo!(Zホールディングス) が完全子会社化
ここからは2019年9月に行われたヤフーとZOZOの共同記者会見の際のスライドをもとに両者が目指すシナジーの姿を見てみたいと思います。
会見では孫さんもサプライズ参加し、前澤元社長との2ショットを披露しています。
これまで前澤氏がもっていた37%の株式はすべてヤフーが買い取るということですね。トータルで4000億円で50.1%で前澤氏が37%ということは、前澤元社長には、、、約3000億円が支払われることになった、ということですかね。経済的には上がりですね。モテそうです。
ヤフー(Zホールディングス)傘下に入ったことで、ZOZOはZホールディングスが力を入れるPayPay事業でシナジーを発揮することを期待されていて、PayPayモールに参画することになりました。
逆にSBグループが持つ顧客基盤からの積極的な送客を行うことでZOZO側では新規顧客獲得増を狙います。このシナジーの背景には双方が持っているお客さんの層がかぶっていないということがあります。
20〜30代の女性ユーザ層を多く抱えるZOZOと30−40代の男性が多いヤフーとでは、相互送客を強化することでお互いのユーザを増やす余地があるため新規顧客獲得の可能性が高いんですね。
このシナジーによって2020年前半で国内No.1の取扱高をめざす(アマゾンに負けてたまるか連合)体制が整ったといえます。
カッコよくて、便利なeコマースの未来を創る、というのが両者が掲げる日ッションですね。
そして、便利なeコマースの未来、というところで、受け取り方を含めた便利さをヤマト運輸とのパートナーシップでバージョンアップしていこうというのが狙いになりそうです。
デジタルシフトが進み、ますますネットショッピング需要が増えていく中で、ZOZOを含めたSBグループ×ヤマト運輸がどんな新しいECのカタチを提案してくれるのか注目したいと思います。
ということで、本日のお話は以上です。
日報
備忘録として。
・Hケア企画アップデート (AM)
・Q&A、WBS、要件英訳作業(PM)
・P案件のInternal Syncup(6PM)
・Nパイセンを囲む会@海辺
・流れてTさんと大門HUB
(独り言)A社のM執行役員に煽られまあまあ飲んだ。Tさんといろいろ話した印象があるが何話したかまったく覚えてない。なんかやりましょう、という感じ。なんかできたらいいね。
明日は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の木曜日。富士通が最近発行したレポート「社会への価値提供に貢献するデジタルトランスフォーメーション」の内容に触れてみようと思います。
マーケティングの月曜日
経営戦略・事業開発の火曜日
EC・ロジスティクスの水曜日
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の木曜日
グローバル・未来の金曜日
ライフハック・教養の土曜日
エンタメの日曜日
それでは今日もよい一日を。