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繊細さんであればあるほど楽しめる、五感の世界

「五感」というワードを聞くと、思うことがよくある。
五感というものがあることは、全人類理解は共通していそうだが、それがどこまでわかっているのか、についてはまだまだ未知の世界が広がっていそうだということだ。

私は、最近流行りの繊細さんよりの人間なのだが、この五感の中で特に「嗅覚」と「聴覚」の感覚がやや俗世とずれている。人並みの感じ方、だったらそこまで上記の未知の世界には気づかずに生きていたと思うが、あまりにこの2つの感覚が人と感じ方が異なるのだ。

視覚はまあまあ目が悪いのでコンタクトを入れているし、辛いものがかなり強いので味覚と痛覚(触覚)は鈍くなっている気がする。ただし、私に取っての嗅覚と聴覚はおそらく普通の人に言っても伝わらない、まだまだ未知の部分がある気がする。苦労が多い繊細さんは、言い換えると人並みならぬ能力を当たり前のように受けいれ生活している、ちょっぴりすごい存在なのかもしれない。今日はそんな五感を掘り下げて考えたい。


見えない、でも匂いでわかる異変


嗅覚、といえば天気の匂い、土地の匂い、見えないものの匂い(ウイルス)とかがわかる。天気の匂いはよくある雨が降る前の土から立ち上がる湿った匂いとか、あとは季節ごとに変わる空気の匂いは比較的みんなわかりやすいと思う。私はあの、冬から春に変わる時の草の香り立つ自然の息吹の匂いがとても好きだ。

わかりにくいものだと、人が風邪をひく前の匂いだったり、インフルエンザなどの人に感染するタイプのウイルスがその空気中にいそうかどうかもわかる。一番古い記憶では、高校生の時に休み時間中、テラスで座って日向ぼっこしていたのだが、仲の良い友達が隣に座ってきた時に異変に気づいた。なんだかなんとも言えない違和感のある匂いがして、おかしいなと思った記憶がある。その友達はその時は特に体調が悪そうでもなく普通にしていたが、翌日高熱で休み、よくよく検査をして後でインフルエンザだっとことがわかったそうだ。
それからというものの、電車の中とか、部屋の中とか、少し空気のこもる場所ではウイルス的なものがいるのかどうかわかる。つい一昨日、出勤中の日比谷線がまさにものすごく強いウイルスの匂いがして、1本見送ったのでこの話を書こうと思ったのだ。

また、嗅覚は記憶に強烈に結びついているとよく言われるが、本当にそうだと思う。
中学の時の英語の先生の香水の匂いを未だに覚えていたり、今は売っているところも少なくなったが「Downy」のフローラルの香りの柔軟剤の匂いがふとした時に漂うと、モスクワのホテルで同じ匂いを嗅いだ記憶が戻る。自分の記憶の最深部くらいに普段はいるから引き出そうと思って引き出せない思い出も、香りを嗅ぐだけで鮮明な記憶となって舞いもどってくるあの感覚はまさに未知の領域の一つなのではないかと思う。


単調な自然の音が紡ぐ、音楽の世界

小さい頃から音楽をやっていて、大人になった今でも音楽を続けている生活をしている私だが、この聴覚には助けられてきた反面、なかなかのネックになっている側面もある。
年少時代からの音楽教育のおかげで、絶対音感とまではいかないかもしれないが、かなり音感に優れている。曲を聞けば大体の曲は譜面なしで演奏できる相対音感的な側面もあれば、自然由来の音の違いを聞き分けることができる。例えば、先日実家でご飯を食べていたら、外からにゃーにゃーと猫の鳴き声が聞こえてきた。普段から通ってくるチャコールグレーの猫が一匹いる。しかし、その日はいつものチャコールグレーの猫ではなく別の、しかも2匹くらいいそうだという予想をぴたりと当てて、家族を驚かせたこともあった。

一方、これは私が完全に怠惰なだけなのだが、小さい頃からいわゆる耳コピに頼り切った音楽生活をしたので、本当に楽譜が読めなくて困った。最近はようやくオーケストラで楽譜を読まなければやっていけない環境に身を置いた為、じわじわと読めるようにはなってきた。ただし、未だに初見で読むのはどうしても苦手。なかなか楽器を触って練習できない時は、Spotifyで同じ曲を繰り返し聴いて、自分のパートを耳コピ暗譜で乗り切っている。

あとは、未だにモスキート音が辛い点は否めない。30代になり、周りの友人はもう一ミリも聞こえないみたいな子も出てきてはいるのだが、私はデパートの前だったり、地下鉄のちょっとしたひらけたフロアみたいなところで、爆音のモスキート音にうんざりする毎日だ。地下鉄の線路と車輪が擦れる音も苦手で、コロナ中電車の窓を開けたまま走行されるのが、本当にきつかった。最近は見た目も可愛いし、完全に外音を塞がないおしゃれな耳栓をゲットしたので、イヤホンを忘れてしまった日はこれを一日中つけて対策するなどしている。

これを買いました↓↓


ここまで五感の話をしてきたが、正直上に書いたような話はなかなか理解されない。共感してくれる人が一人でもいてくれたら本当に嬉しいのだが、こんな話を気楽にすると怪しいスピ系の人だと思われるのが関の山である。なかなか理解されない、でも実際にそこに存在している謎の「感覚」。この不思議な感覚と共に毎日を生きながらも、少しずつこの謎が共有され、言語化され、理解が深まっていくとより生きやすい世界になるのだろうと思う。

そんな生きやすい世界の扉を開けてくれるような、まさに五感にフォーカスした外山滋比古さんの単行本があったので最後にご紹介する。外山さんといえば、思考の整理学で有名な方だがこの五感の本ももれなく素晴らしい。五感を本書の中で「自然知能」というワードを使って、紐解いていく本で、今まで人間が本来自然に身につける能力を置き去りにしてきてしまったせいでこの「自然知能」の進化が十分でないという指摘から始まる。

今回取り上げた、聴覚や嗅覚はもちろんながら、それ以外の人間が本来持つ自然由来の能力を丁寧に紐解いて解説されているのは興味深い。

ご興味のある方は、ぜひ手に取って読んでみてほしい↓↓

#自然知能 #五感 #感覚 #嗅覚 #味覚 #聴覚 #視覚 #触覚

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