衆院選比例ブロックの過去結果から、議席獲得な得票率をまとめ(⑧近畿ブロック編)
まえがき
「衆議院比例代表の各ブロックの選挙結果(過去6回)から、1議席獲得に必要な得票率をまとめる」シリーズの第8回です。
衆議院における比例代表選挙では、
47都道府県を11ブロックに分割しています。
比例代表はドント方式といって、一定の得票率を獲得することで1議席得ることができますが、ブロックによって定数が異なるため、
当選(1議席獲得)に必要な得票率も異なります。
各ブロックごとの状況を、過去6回分算出しましたので紹介します。
前回まではこちら
01.比例区近畿ブロックの定数
滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・三重県が対象エリアとなります。
近畿ブロックの定数(当選枠)は、28議席です。
第47回までは29でしたが、第48回からは28に減少しています。
11ある比例ブロックでは、最多です。
本来は1議席獲得自体の難易度は低いです。
2議席、3議席・・・の難易度も自ずと低いです。
ただし、れいわにおいては、得票率が低いです。
また維新が強い地域であり、自民党が第1党ではありません。
本来は、より複数議席を狙う戦いです。
1議席を死守するだけでは不十分だと言えます。
(後述しますが、平均3.13%の得票で当選できます)
過去47回までの定数は29議席でしたが、
本ページでの分析は28議席だったものとみなして話を進めます。
02.比例区近畿ブロックの傾向
02-01.過去6回の全党の得票数
過去6回(2005年の第44回~2021年の第49回)の全党の得票数です。
備考:表の読み方
表は左から、以下のようになっています。
◆過去6回の衆院選の回次と開催年
下に行くほど新しくなります。
◆割る数
ドント方式では、得票数を自然数で割った値を使用します。
◆政党名と各党の得票数、獲得議席と得票率
[1]の値が実際の得票数であり、[2]以降は、得票数をその数字で割った値になります。
(補足1)
全ての政党で2.3.4….と割った値を算出して、以下のように色付けしています。
(補足2)
・「民主党」として1まとめにしていますが、
2014年までは"民主党"、2017年からは"立憲民主党"です。
・「維新」として1まとめにしているものは、
2012年は"日本維新の会"、2014年は"維新の党"、2017年から再び"日本維新の会"です。所属議員は一部入れ替わっていますのでご注意ください。
[人]の値のうち、上側は当時の当選者数、下側は現在の定数12で計算し直した場合の当選人数です。
◆ボーダー当選の値と、前後の値
ドント方式による計算によって、1議席獲得に必要となる「ボーダーライン当選の数値(つまり、最下位でもいいので当選するために必要な票数)」と、その前後(「ブービー当選」と「次点」)の値を示したものです。
◆有効票と1議席ボーダー
・「有効票」は、各政党が得た有効票の総数です。
・「1議席獲得に必要なボーダーライン」は、「次点の数値に1を足したもの」を「有効票」で割ったものになります。
1を加算していますが、実質的にはほぼ無視できる差分になりますので、次点の得票率と近似します。
(以前は「ボーダー当選の数値」を「有効票」で割っていましたが、変更しています)
02-02.過去6回の主要政党分の得票率と獲得議席
表2は、議席を獲得した政党+れいわ新選組などの主要政党分を抜粋したものです。
【注意事項】
47回までは定数が29ですが、
定数28をボーダー(最下位当選)とした場合で計算し直した数値となります。
青で記したものは議席が減る党です。
47回以前は29位は当選でしたが、48回からは落選します。
当選枠が多い場合、1議席獲得に必要なボーダーラインは下がることになりますが、近畿においては
最も低い得票率でも当選できたのが、2012年、2021年の3.08%。
最も高い得票率が必要になったのが、2005年の3.22%。
6回平均では3.13%でした。
なお、小政党が乱立するとボーダーが下がります。
02-03.読み解ける地域的特徴
表2で黄色・青色部分に着目すると、
自民党・公明党では過半数に届きません。
他党で残り半分のうち、維新が圧倒的に議席を得ています。
更に残りを立憲(民主)党など、その他の党が分け合う状況です。
前回2021年は維新が第1党の10議席、自民が8、立憲が3、公明が3、共産が2、国民が1、れいわが1でした。
立憲は前回、公明党以下となりました。
共産党は、2014年以外は2議席相当です。
02-04.10位当選の得票数
表3は、表1における21位当選に相当する得票数を抜粋したものです。
この数値は定数を28としたときの最下位当選となる得票数なので、これより得票数が少なくても当選は可能です。
(次点よりも1票でも多く取っていれば当選はできるため)
03.れいわ新選組の状況
03-01.れいわ新選組の得票状況
れいわの過去の近畿ブロック内における得票率ですが、
・2019年/参議院選挙は、297,676票/3.66%
・2021年/衆議院選挙は、292,483票/3.12%
・2022年/参議院選挙は、296,004票/3.40%でした。
得票数は29万票台、得票率としては3%台です。
得票率としては21衆議院では0.5%落とし、22参議院でも回復は再度0.3%でした。
22年参院選については21衆院選から回復したものの、
19年参院選時のような票数は得られていません。
なお、21衆議院のボーダーは3.08%ですが、れいわは3.12%とギリギリ上回り議席を獲得できました。
他のブロック各都道府県の得票数・得票率は以下ページへ
得票率順位では滋賀以外は、中間よりも下位です。
4府県がワースト15に入っています。
和歌山県に至っては2%台です。
3.13%をターゲットにした場合、1議席獲得はギリギリ。
2議席目でも6.26%ですので、
本来は北陸信越ブロックの1議席獲得よりも容易ですが、
現状の得票率からは倍増、3%程度の上積みが必要となります。
このブロックについては、次回は2議席獲得が現実的な目標です。
03-02.れいわ新選組の候補者擁立状況
2023/09/09時点では、候補予定者は3名発表されています。
現職の大石あきこ議員が大阪5区から。
新人候補として、
京都1区からは保持なるみ氏、大阪1区からはやはた愛氏が立候補予定です。
・X(旧Twitter)
ブロック内の選挙区数は以下の通り。
区割り変更に伴い、滋賀県、和歌山県は1区減少します。
過去、当ブロック内での選挙区の立候補者は以下の通り。
2021衆議院での小選挙区
・・・滋賀3区、大阪5区、大阪8区、兵庫8区で立候補しました。
2022参議院では選挙区
・・・大阪府選挙区(定数4)に1名立候補しました。
・滋賀3区では前回高井たかし氏(幹事長)が立候補しましたが、
身寄りは無く(元々は岡山→中国地区選出)、残念ながら10%に届かず落選(比例復活の権利も喪失)。
参議院選挙にも立候補しましたが、こちらも落選。
もともと落下傘的な立候補でしたが、今回どの選挙区から立候補するのか未定。
・大阪5区は大石あきこ議員。比例復活で当選。
・大阪8区でも立候補しましたが、残念ながら10%に届かず落選(比例復活の権利も喪失)。
今回も同区で候補者を出すのかは微妙です。
・兵庫8区では前回はつじ恵氏が立候補し、10%には届きましたが、惜敗率では2位となり、大石議員に次ぐ次点で落選。
参議院選挙にも立候補しましたが、こちらも落選。
今回は愛知15区での再挑戦となります。
・他に当初大阪1区から立候補予定だったやはた愛氏が、比例単独候補として立候補。比例名簿としては5位→上述の比例復活の権利喪失者の発生により3位に繰り上がるも、落選。
参議院選挙では選挙区から立候補しましたが、こちらも落選。
今回は前回立候補予定だった大阪1区での再挑戦となります。
マスコミの政党支持率は上昇傾向ですが、比例ブロックとして2議席獲得に至るにはまだまだです。
また大阪府全選挙区に擁立を決めている維新の動向には注視です。
選挙区で数人・・・という戦略となりそうです。
都道府県別の得票率は先ほど示しましたが、
自治体単位での得票率まではまだ調べ切れていませんので、
後日更新することにします。
03-03.れいわ新選組の地方議員
2023/09/07時点での当ブロック内の地方議員は3名です。
大阪で1名、兵庫で2名。
うち1名は統一地方選挙以降の選挙での当選者です。
統一地方選挙では多くの方が立候補したものの、結果的には2名の当選に終わり、関東の好調ぶりとは差が明確に表れました。
順次各ブロックについて考察を上げていきます。
候補者が発表され次第、本ページも更新予定です。
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