衆院選比例ブロックの過去結果から、議席獲得な得票率をまとめ(⑤南関東ブロック編)
まえがき
「衆議院比例代表の各ブロックの選挙結果(過去6回)から、1議席獲得に必要な得票率をまとめる」シリーズの第5回です。
衆議院における比例代表選挙では、
47都道府県を11ブロックに分割しています。
比例代表はドント方式といって、一定の得票率を獲得することで1議席得ることができますが、ブロックによって定数が異なるため、
当選(1議席獲得)に必要な得票率も異なります。
各ブロックごとの状況を、過去6回分算出しましたので紹介します。
前回まではこちら
01.比例区南関東ブロックの定数
南関東ブロックの定数(当選枠)は、23議席です。
前回第49回までは22議席、次回からは1議席増加します。
千葉県・神奈川県・山梨県が対象エリアとなります。
山梨が含まれるのが特徴ですが、他2県と比べて人口が圧倒的に少ないため(山梨県の人口/3県人口≒5%です)、投票結果には大きく寄与されません。
また、一般的な南関東である埼玉県は北関東です。
11ある比例ブロックでは、近畿に次いで2番目に多いです。
関東地区・首都圏では北関東や東京よりも多く、東日本で最多定員です。
1議席獲得には低難易度です。
それもあってか、れいわは既に前回の衆議院選挙で1議席を確保しています。いち早く議席獲得が出たブロックです。
次回以降は僅かながら難易度も下がるため、1議席は確実に抑えたうえで、2議席目を目指すことになります。
(後述しますが、平均3.64%の得票が必要になります)
過去の定数は22議席でしたが、
本ページでの分析は23議席だったものとみなして話を進めます。
02.比例区南関東ブロックの傾向
02-01.過去6回の全党の得票数
過去6回(2005年の第44回~2021年の第49回)の全党の得票数です。
備考:表の読み方
表は左から、以下のようになっています。
◆過去6回の衆院選の回次と開催年
下に行くほど新しくなります。
◆割る数
ドント方式では、得票数を自然数で割った値を使用します。
◆政党名と各党の得票数、獲得議席と得票率
[1]の値が実際の得票数であり、[2]以降は、得票数をその数字で割った値になります。
(補足1)
全ての政党で2.3.4….と割った値を算出して、以下のように色付けしています。
(補足2)
・「民主党」として1まとめにしていますが、
2014年までは"民主党"、2017年からは"立憲民主党"です。
・「維新」として1まとめにしているものは、
2012年は"日本維新の会"、2014年は"維新の党"、2017年から再び"日本維新の会"です。所属議員は一部入れ替わっていますのでご注意ください。
[人]の値のうち、上側は当時の当選者数、下側は現在の定数12で計算し直した場合の当選人数です。
◆ボーダー当選の値と、前後の値
ドント方式による計算によって、1議席獲得に必要となる「ボーダーライン当選の数値(つまり、最下位でもいいので当選するために必要な票数)」と、その前後(「ブービー当選」と「次点」)の値を示したものです。
◆有効票と1議席ボーダー
・「有効票」は、各政党が得た有効票の総数です。
・「1議席獲得に必要なボーダーライン」は、「次点の数値に1を足したもの」を「有効票」で割ったものになります。
1を加算していますが、実質的にはほぼ無視できる差分になりますので、次点の得票率と近似します。
(以前は「ボーダー当選の数値」を「有効票」で割っていましたが、変更しています)
02-02.過去6回の主要政党分の得票率と獲得議席
表2は、議席を獲得した政党+れいわ新選組などの主要政党分を抜粋したものです。
【注意事項】
49回までは定数が22ですが、
定数23をボーダー(最下位当選)とした場合で計算し直した数値となります。
オレンジで記したものは議席が増える党です。
49回以前は23位は落選でしたが、50回からは当選します。
当選枠が少ない場合、1議席獲得に必要なボーダーラインは上がることになりますが、南関東においては
最も低い得票率でも当選できたのが、2009,2014年の3.52%。
最も高い得票率が必要になったのが、2017年の3.82%。
6回平均では3.64%でした。
なお、小政党が乱立するとボーダーが下がります。
02-03.読み解ける地域的特徴
表2で黄色・青色部分に着目すると、
自民党、公明党でおよそ半数、立憲(民主)党など、その他の野党で残り半分の議席を分け合う状況です。
前回2021年は自民が9、立憲が5、公明が2(19議席換算だと3)、維新が3、共産が1、国民が1、れいわが1でした。
共産党は、6回とも1議席以上を獲得してますが、前回は2議席目に届かず。
公明党の後塵を拝しています。
国民民主党とれいわがそれぞれ1議席を獲得。得票率としては1%の差がありました。
02-04.23位当選の得票数
表3は、表1における23位当選に相当する得票数を抜粋したものです。
この数値は定数を23としたときの最下位当選となる得票数なので、これより得票数が少なくても当選は可能です。
(次点よりも1票でも多く取っていれば当選はできるため)
22位で当選が必要だった前回までに比べると、回次によっては2万票程度少ない得票でも当選できるようになります(ただし、ほぼ変わらない回次もありました)。
03.れいわ新選組の状況
03-01.れいわ新選組の得票状況
れいわの過去の東北ブロック内における得票率ですが、
・2019年/参議院選挙は、335,544票/5.31%
・2021年/衆議院選挙は、302,675票/4.08%
・2022年/参議院選挙は、308,294票/4.37%でした。
得票率としては21衆議院では1%以上落とし、22参議院でも回復は再度0.3%でした。
22年参院選については21衆院選から回復したものの、
19年参院選時のような票数は得られていません。
山本代表が立候補する東京の至近でもあり、横浜・川崎や千葉など大都市が並ぶため定数も多い「大票田ブロック」ですが、
神奈川県内にはれいわの旗揚げ以降、1度も候補者を出していませんし、
千葉県においても多ケ谷亮議員が属する千葉11区は東京寄りの都市部では有りません。
つまり「人口が多い地域を抑えていない」ということになります。
衆議院選挙においては神奈川県内においても他党の候補者の支援に回ることが多く、
22年の参議院選挙においては通常より定数が1名多かったものの、候補者は立てず(定数が4のままの埼玉には立てましたが)。
3.64%をターゲットにした場合、
過去の衆参の選挙結果ではいずれも1議席ラインはクリアしているものの、2議席(7.28%)にはまだ届いていないということになります。
2議席獲得のためには、前回の参議院選比で3%以上の上積みが必要となります。
前回の衆議院選挙では1議席を獲得していますので、次回は2議席獲得が目標です。
03-02.れいわ新選組の候補者擁立状況
2023/08/25時点では
多ケ谷亮議員が前回に続いて千葉11区で立候補予定です。
千葉11区の他党の顔ぶれは前回と同じです(自民現職、共産新人)。
参政党も現時点では予定候補者は不在です。
選挙区に候補者を出した場合には比例票も確実に伸びるため、一定の相乗効果が見込まれます。
重複立候補の場合、小選挙区において10%得票できないと復活当選ができなくなります。
先の通り1議席は見込めることを考えると、取りこぼしは禁物ですが、当時新人だった多ケ谷議員が10%を超えており、顔ぶれが変わらないことを踏まえると、あまり心配はなさそうです(もちろん、油断は禁物)。
ブロック内の選挙区は以下の通り。
千葉県 ・・・14区
神奈川県・・・20区
山梨県 ・・・ 2区
合計36区です。
区割り変更に伴い、神奈川県は2区、千葉県は1区増加します。
任期が迫っていた一昨年の衆議院選挙では、他にも候補者がいましたが、公示日直前に比例単独候補が新たに発表された切り替わった経緯もあります。
今回はまだ任期が半分以上残っています。
解散は(支持率も低迷している現状では)当面無さそうですが、南関東ブロックにおいても比例単独候補者の準備は後回しで構わないです(最後の手段でよい)。
ただし2議席目を狙うとした場合、小選挙区の立候補予定者はそろそろ立てるべき頃でしょう。
特に神奈川県は弱い部分です。
全員が重複立候補になるとして、本ブロックでも3~4名は立候補予定となるでしょうか。
自治体単位での得票率まではまだ調べ切れていませんので、後日更新することにします。
03-03.れいわ新選組の地方議員
2023/08/20時点での当ブロック内の地方議員は3名ですが、
全員が千葉県内です。神奈川県は0人です。
実は立候補者数自体が少ない状況です(比較的、推薦候補が多い)。
順次各ブロックについて考察を上げていきます。
候補者が発表され次第、本ページも更新予定です。