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明治神宮前駅の女子トイレにて。

2024.04.21 Sun

東京レインボープライド(TRP)3日目の日曜日。明治神宮前駅構内の女子トイレには、ちょっとした行列ができていた。

これからTRPに参加する人、デモに参加する人、代々木公園でピクニックする人、原宿を観光する人……いろんな人が入り混じっているであろう列のなか、私は何だかソワソワして落ち着かない。

あの、本当に、その、自意識過剰なんだろうけど、私含めて───並んでいる人の8割くらいはクィアだよね?

ってくらい、お馴染みの視線が行き交っていた。チラッ、チラッ、とこっそりお互いを観察し合うあの感じ。たまに目が合って、ちょっと気まずいような、でも「あなたも……ですよね?」という期待感を隠しきれていない、含みのある目。私はこれを、この目をよく覚えている。

レズビアンイベントもセクマイ向けオフ会でも、私たちが仲よくなるのは、たいていトイレに並んでいるときだ。

「ここ(トイレの個室)、誰か入ってますか?」
「あ、入っているみたいです」
「そっか…ありがとうございます」
「いえ」
「女子オンリーイベントってトイレ混みますよね」
「ですよね。私もかれこれ10分くらい並んでます」
「今日は誰かと一緒ですか?」
「友達と来たんですけど、あっちはなんか知り合いと合流しちゃって。実質ひとり参加です」
「あ〜あるあるですね。あの…よかったら、このあと一緒に飲みません?」
「え───」

みたいなね。

まあ全部、私の妄想なんですけど。誰かこういう同人描いてください。

トイレを済ませて手を洗う。鏡越しに強い視線を感じる。本当に、ただ私が自意識過剰なだけなんだろうけど、顔を上げた瞬間、鏡の中で数人とバッチリ目が合うといよいよ分からなくなる。お馴染みのあの視線なのか、都民特有のファッションチェックか何かなのか。

どちらにせよ、女性たちの目にダサく映ってませんようにと願うしかない。そそくさとトイレを出て、JR側の出口「2」を目指す。地上に出ると、いたるところに虹色があった。

TRP会場から少し外れた、代々木公園内のパノラマ広場を歩いていると、レジャーシートの上でくつろぐ複数人と「陰」のしるしが目に入る。


「陰気なクィアパーティ」。私の目的地はここだ。


つづく

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