VOL. 04 僕のために泣いてくれた
01月27日(水)
■体育の授業風景
学年クラス時限とも不明
◻️↑ 1時間目か2時間目だとは思いますが.
■2B教室
数学の授業風景(3時間目?)
繭は,羽村先生とツーショットの猫の絵を描いている.
授業終了のチャイム.
後ろから促されて,授業終わりのあいさつ.
生徒:「起立」
生徒:「礼」
直子,元気がない.
■生物室
◻️時刻が1055だったので,3時間目終了後と推定.
◻️なお,4時間目は2Bの授業の模様.
3時間目の生物の終了で生徒達が生物室から出てくる.
佐伯先輩,一人居残り.
羽村先生,備品を片付けながら,佐伯先輩へお叱りの言葉.
羽村先生:「僕を顧問として認めたくないのはわかるけど.いい加減,小学生みたいないじめは勘弁してもらいたいな」
羽村先生:「第一,試合をするのは結局君達なんだし,きちんと今まで通り練習してれば,誰が顧問になっても関係ないと思うけど」
直立不動だが全然聞く気のない佐伯先輩.
佐伯先輩:「もういいですか」
羽村先生:「え?」
佐伯先輩:「次の授業が始まりますから」
しょうがないなという表情の羽村先生.
羽村先生:「ああ」
羽村先生:「わかってくれればそれでいいよ.お互いこれからは」
佐伯先輩:「クラブには顔を出さないで下さい」
佐伯先輩:「名目だけの顧問としては認めます」
佐伯先輩:「ただ,練習に来てチョロチョロしないんで欲しいんです」
イラッとする羽村先生.
羽村先生:「そういう言い方はないだろう」
佐伯先輩:「イヤなんです.あたし男の人イヤなんです」
佐伯先輩:「あんたなんかのどこがいいのよ!」
面食らう羽村先生.
廊下に次の授業の生徒がやってくる音がする.
それに気付いた佐伯先輩が衝動的な行動に出る.
テーブルの上の教科書とノートをはたき落とし,制服のネクタイを外す佐伯先輩.
さらに自分の制服も破く佐伯先輩.
羽村先生:「キミ!?」
佐伯先輩:「いなくなればいいのよ」
そばに寄ろうとする羽村先生.
佐伯先輩:「やめて」
ネクタイを拾い上げる羽村先生だが.
佐伯先輩:「やめてー!」
生物室前まできていた2Bの生徒達が佐伯先輩の悲鳴を聞いて足を止める.
繭もその中にいる.
佐伯先輩:「誰か助けてー!」
テーブルに伏せ,羽村先生に向かって不敵な笑みを浮かべて……
すすり泣く佐伯先輩.
振り返る羽村先生.
教室のドアが開く.
ぼう然とした表情で,それを為す術もなく見つめる羽村先生.
教室に入ってくる2Bの生徒達.
■職員ロッカー
同僚の先生の皆さん雑談中.
横を通り過ぎる羽村先生に気付いて,あっ察し.
■職員室
羽村先生を見下したように話す宮原先生.
宮原先生:「三年の佐伯麻美といえば,校内でもかなり目立つ生徒ですからね.下級生からの人気も高いし」
羽村先生,職員室に戻ってくる.
席を立ちお茶を入れる新庄先生.
藤村先生:「羽村先生が加害者だって決めつけるのはどうですかねえ」
羽村先生が帰ってくるのを見て,話す教頭と学年主任.
藤村先生:「だって何もわざわざ始業前の教室でそんなことする必要性ないでしょう」
宮原先生:「男の生理なんて,いつでも突発的なもんですよ」
宮原先生,羽村先生が戻ってきたことに気付く.
席に着く羽村先生.
宮原先生:「もちろん私だって羽村先生を信じてますけど」
学年主任:「羽村先生.ちょっと,会議室に」
座ったまま会釈する羽村先生.
羽村先生.立ち上がって会議室へ.
心配そうに羽村先生を見る新庄先生.
状況を分析する藤村先生.
藤村先生:「ま,いずれにしても,風俗評論家なら,こう分析するでしょうねえ.男性がその性的に充足すべき対象を求めると,現代では一様に低年齢化するってねえ」
藤村先生を睨み付けて職員室を出る新庄先生.
■職員会議室
教頭:「だから,やったやらないなんてことは,水掛け論でしかない」
教頭:「問題は,こんなことがPTAや教育委員会に知られたら大事になるということです.とにかくあなたは,だれに何を聞かれても,今後一切沈黙を守って頂きたい」
教頭:「いいですね!」
黙っている羽村先生.
溜め息の教頭.
教頭:「まったく,校長の留守にとんでもないことをしてくれましたよ」
会議室を出ていく教頭.
教頭の後を付いていく学年主任.
学年主任:「本当のとこ,どうだったんですか? うひゃひゃひゃ」
■お昼休みの校内
外廊下を通って新校舎の生物室に向かう羽村先生.
生徒達の視線が痛い.
■お昼休みの生物準備室前
繭が羽村先生を待っている.
繭は笑顔を見せるが.
羽村先生,何も言わずに生物準備室へ.
心配そうに見つめる繭.
■放課後体育館
バスケ部練習.
部員:「ナイシュー」
佐伯先輩:「では次はクイックパスの練習です」◻️↑聞き取れなかった.
部員:「はい」
繭を見つめる佐伯先輩.
■バスケ部室
部員:「佐伯先輩お疲れさまでした.お先に失礼します」
佐伯先輩がカーテンを開けて出てくると,
繭が居残り,テーブルに座っている.
佐伯先輩:「やっぱり待ってたね」
佐伯先輩:「わかったでしょ」
佐伯先輩:「男の正体なんてみんなあんなもんよ」
ホワイトボードの予定表に書き込む佐伯先輩.
佐伯先輩:「クラブ,出てくれてホッとしたわ」
佐伯先輩がテーブルの方を見ると座っていた繭がいない.
反対を振り返ると……
真後ろに繭が立っている.
上目遣いの笑顔を見せる繭.
◻️この繭の笑顔がなんか怖い.
佐伯先輩も笑顔で繭を見る.
繭,佐伯先輩の顔につばを吐く『ぺっ』
繭:「汚い女」
繭,部室を出る.
悔しそうな顔の佐伯先輩.
■いつものラーメン屋
新庄先生,羽村先生を気づかって夕飯に誘った模様.
羽村先生ビールの入ったコップを倒してしまう.
新庄先生:「あーあ,もう,もう酔うたんかいな.餃子もビチャビチャや」
オバチャンから台拭き貰う.
新庄先生:「ああ,ありがと」
羽村先生:「先生もあれじゃないですか.僕が生徒を襲ったと思ってるんじゃないですか」
新庄先生:「かなんなあ,そんなん思てたらこんなとこ誘てへんわ」
羽村先生:「どうだか」
自分のコップにビールを注ぐ羽村先生.
羽村先生:「詳しい話を聞きたかったからだったりなんかしてね.セーラー服引き裂いたとき,どんな感じやったって」
◻️羽村先生の関西弁www
新庄先生:「興味ないわ.看護婦さんとかスッチャデスさんやったらまだしも」
羽村先生:「え?」
新庄先生:「いや,例えや例え」
羽村先生:「とにかく,僕はもう教師なんてうんざりですよ.教頭にも学年主任にも……」
コップのビールを飲み干す羽村先生.
羽村先生:「……生徒にも」
新庄先生:「まあええやないか」
立ち上がって声を張る羽村先生.
羽村先生:「なにがいいんですか!」
新庄先生:「もうどうせこの春までやねんろ.その後にやなあ,べっぴんな嫁さんもろて,好きな研究とやらに,こう専念するんやろが」
やけ笑いの羽村先生.
羽村先生:「ええ,そうですよ」
羽村先生:「もちろんそうですよ」
新庄先生:「まあそれやったら,多少のことは我慢することや」
羽村先生:「はあ,我慢かあ」
新庄先生:「ん?」
羽村先生:「我慢してれば,そのうちいいことあるからって,ガキの頃から母さん自慢の息子でね」
羽村先生:「先生の信頼も厚くて.へへ」
羽村先生:「結局レールからはみ出せなかった」
羽村先生:「勇気がないんですよオレ」
新庄先生:「やさしいんや」
新庄先生を見る羽村先生に,羽村先生を見る新庄先生.
テレ隠しする新庄先生.
新庄先生:「ああ,いゃ,まあ,今夜は飲もう.うん」
新庄先生:「あ,おばちゃんビール追加.バンバン持ってきてくれ.そやな餃子2個追加」
■ラブホテル
直子,藤村先生に呼び出されてホテルへ.
一人シャワーを浴びている直子.
藤村先生,自分だけ先に帰り支度.
藤村先生:「ほんとはね.こんな場所でやんのは,僕はあんまり好きじゃないんだよ.だけどね,僕たちは表で恋人のように過ごすには,色々と問題があるからね」
シャワールームから,直子のすすり泣く声.
藤村先生:「奇麗に撮れてたよ.このあいだのテープ.本当に奇麗だった」
藤村先生:「あんなテープ,君にあげてもいいんだよ.だけど今はまだダメだ.だって,君はまだ僕を愛していないからね」
先にホテルを出る藤村先生.
一人残されている直子.
■羽村先生のアパート
羽村先生,夜,アパートに帰宅後,結婚式案内状のまとめ.
樋口宛の案内状を見て,千秋と樋口の情事を見てしまったときのことを思い出す羽村先生.
『春から研究室に戻れると思ってるんだろ』
冷蔵庫を開けたまま缶ビールを飲む羽村先生.
01月28日(木)
■千秋の入院している病院
千秋退院.
羽村先生:「どうもお世話になりました」
看護師さん:「お大事に」
羽村先生,タクシーで千秋を送る.
羽村先生:「思ったより早く退院できましたね」
千秋:「ええ」
羽村先生:「案内状,僕が全部まとめときましたから」
千秋:「そう」
■生物室前廊下
六時間目始業のチャイム.
羽村先生,2Bの授業のため,生物室へ.
■生物室
羽村先生,2Bの生物の授業.
羽村先生,教室に入るが,出席は繭だけ.
◻️参考情報)生物室の時計は1410.
◻️6時間目の授業.この直後のシーンで,新庄先生が「6時間目の授業は?」といってるので間違いない.
繭:「起立」
繭:「礼」
繭:「着席」
羽村先生:「キミだけか」
頷く繭.
羽村先生:「ま,誰もいないよりはマシか」
羽村先生:「もっと前においでよ」
繭:「うん」
◻️誰得情報)この『うん』が好き.
一番前の席に移動する繭.
羽村先生:「じゃ,教科書を開いて」
繭:「え?」
教科書を開く繭.
繭:「一人だけ先に進んでも仕方ないのにな」
羽村先生:「けど,無駄話をするわけにもいかなからなぁ」
教壇の横に移動する繭.
繭:「この間みたいな話して」
羽村先生:「ん?」
繭:「ペンギンみたいな話し」
羽村先生:「あぁ,そうだ.何の話しをするかな」
頬杖をついて『何の話しをしてくれるのかな』の繭.
羽村先生:「あぁ,朝顔はいつ花が開くか知ってる?」
繭:「朝顔だから,朝でしょ」
羽村先生:「夏はね」
羽村先生:「けど,秋になるとだんだん早くなって,しまいには真夜中にもに咲く」
黒板に『生体時計』と書く羽村先生.
羽村先生:「生体時計というのがあってね」
羽村先生:「朝顔は,日没に合わせてそれから約10時間後に花が開くようになってるらしいんだ」
羽村先生:「だから,日が暮れるのが早い秋になると」
羽村先生:「真夜中にその時計が鳴り出してぱっと起きちゃうんだね」
繭:「秋はおじいちゃんみたいなんだね」
羽村先生:「あははは,そうだね」
二人の笑い.
■外廊下脇の洗い場
新庄先生,剣道着手洗い中.
そこにやって来る直子.
直子:「うわあ,冷たそう」
新庄先生:「冷たい思うから冷たいんや」
直子:「剣道部って,廃部になるんだってね」
直子:「あたしさあ,あたし,入ってあげてもいいよ.まあもちろん条件付きよ.腕立てや腹筋はモチロンなしの」
◻️↑『ほげほげ』の部分,何ていってるのかわからなかった.
直子:「プラスおやつ一品ありって感じかな」
直子:「あたしさあ,あたし,体育は2だけど,そういうチャンバラのセンスはあると思うんだけどなあ」
新庄先生:「どうでもええけど」
直子:「ん?」
新庄先生:「お前,六時間目の授業は?」
直子:「いいのいいの.生物だから」
直子:「ほら,例の件でさ.朝からずーっとどのクラスもボイコットしてんのよ.羽村先生の授業」
直子:「ちょっと,どこいくの?」
■2B教室
羽村先生の授業をボイコット中のクラスの皆さん.
教室に入ってくる新庄先生.
新庄先生:「おい! なにやってんねん,お前ら!」
◻️新庄先生,怒りながら授業に出るように窘める.
◻️しかし,生徒たちには新庄先生の怖さが通じなくなっている.
新庄先生の後からついて教室に入る直子.
新庄先生:「ほら,はよ授業行け.おい,お前らもや」
生徒:「出たくありません」
生徒:「そうよ,生徒を襲う先生の授業なんて出たくないよね」
生徒:「ほんとは変態じゃない」
新庄先生:「現場見たんかお前ら」
新庄先生:「自分の目で見てへんもん.簡単に信じんな!」
生徒:「怒鳴ればいいと思ってる」
新庄先生:「お前か,今言うたん」
生徒:「なによ」
新庄先生:「立て」
新庄先生,生徒の胸ぐらを掴む.
新庄先生:「立て!」
クラスのみんなが立ち上がって新庄先生を睨み付ける.
生徒:「ぶたないんですか」
六時間目終了のチャイムが鳴る.
新庄先生,黙って教室を出る.
直子は複雑な表情.
■生物室
繭,授業終了後,生物室の後片づけの手伝い.
羽村先生:「結構ルーズな先生いるからね」
教卓を台拭きで拭いている繭.
繭:「新入りさんは,後片づけも押付けられるのね」
羽村先生:「それ危ないから.塩酸だから」
頷きながら羽村先生に瓶を渡す繭.
教卓の本を抱えて準備室へ持っていく羽村先生.
繭:「クラブ,どうするの?」
羽村先生:「ああ,文化部の先生と代わるみたいだね」
羽村先生:「まあいいさ,その方が気が楽で」
準備室の机に抱えた本を置く羽村先生.
扉のところで話す繭.
繭:「茶道部だと,和菓子食べられるね」
羽村先生:「あはは」
羽村先生:「あ,もうホームルーム,終わってるね」
準備室に入ってくる繭.
繭:「別に用ないもん」
羽村先生:「キミは,どうしてボイコットしないの?」
スチール書棚に本を仕舞う羽村先生.
繭:「お返し」
生物室に戻る繭.
羽村先生:「え?」
教卓のテーブルを拭きながら答える繭.
繭:「最初に会ったとき,信じてくれたから」
羽村先生:「最初に会ったとき?」
繭:「けど,ちょっと変なの.みんなが先生信じないと……」
羽村先生の方を見て笑顔の繭.
繭:「……嬉しい」
それを聞いて,ちょっと思案顔の羽村先生.
教卓の前に移動して繭と向き合って訊ねる羽村先生.
羽村先生:「まえから,聞こうと思ってたんだけどさ」
繭:「ん?」
ちょっと考えて息をふーっと吐く羽村先生.
羽村先生:「いや,別にいいや」
繭:「いいならいいや」
照れ笑いする羽村先生.
繭:「なに?」
照れ笑いで答える羽村先生.
羽村先生:「いや」
台拭きを持っていく羽村先生.
教壇から見守るように羽村先生を見つめる繭.
そこに佐伯先輩がやって来る.
繭の表情が一変.
佐伯先輩:「いつまでこんなとこにいるつもり」
佐伯先輩:「練習の時間よ」
繭の手を掴んで連れて行こうとする佐伯先輩.
繭:「もう行かない」
佐伯先輩:「どういう意味?」
腕を振りほどく繭.
繭:「辞めたの」
羽村先生の横に駆け寄る繭.
佐伯先輩:「勝手にそんなことさせないわよ」
佐伯先輩:「あたしに無断でそんなことさせないわよ!」
仲裁に入る羽村先生.
羽村先生:「クラブ活動は」
羽村先生:「強制じゃないだろ」
納得がいかない様子の佐伯先輩だが……
佐伯先輩:「わかったわ」
後ろのドアを開く音が.
新庄先生が後ろのドアから生物室に入ってくる.
新庄先生:「おう,まだおったんか」
羽村先生:「新庄先生」
佐伯先輩が塩酸の瓶をつかんで羽村先生に向かってくる.
繭:「先生!」
佐伯先輩,羽村先生に塩酸をぶちまける.
寸前,繭が羽村先生に覆いかぶさり,塩酸が繭の右肩から腕にかかってしまう.
止めに入る新庄先生.
新庄先生:「無茶すんなお前!」
興奮が納まらない佐伯先輩.
◻️参考情報)生物室の時計は1510.
■病院(小川医院)
羽村先生,繭を病院へ連れて行く.
右肩から手首まで包帯の繭.
羽村先生,職員室の新庄先生に繭の怪我の状況を電話連絡.
新庄先生:「佐伯もだいぶ興奮しとったけど,やっと落ち着いて,今さっきタクシー乗せて帰したんや」
羽村先生:「ああ,そうですか」
■職員室
新庄先生:「で,容体は?」
■病院
羽村先生:「ええ,制服の上からのはともかく,他は多少跡が残るかもしれません」
■職員室
新庄先生:「ああ,そうか」
■病院
溜め息の羽村先生.
新庄先生:「どうする?」
羽村先生:「はい?」
■職員室
職員室に,教頭と学年主任が戻ってくる.
新庄先生:「教頭に報告したら,このあいだのことも彼女の狂言ということになるやろ」
■病院
羽村先生一瞬考えたが……
羽村先生:「いえ」
新庄先生:「そうか」
診察室の扉が開く音.
診察室から出てくる繭.
羽村先生:「とにかく」
羽村先生:「彼女をうちまで送って帰りますんで」
新庄先生:「うん,ほんなら」
電話を切る羽村先生,繭の方を見る.
待合の長イスに腰掛けて,羽村先生を見る繭.
■歩道橋
羽村先生,繭を送って行く.
歩道橋の途中で立ち止まって羽村先生の方に振り返る繭.
繭:「ここまででいい」
羽村先生:「ああ,ちゃんと送るよ.お父さんにも」
繭,羽織っていた羽村先生のコートを脱いで渡す.
繭:「いい.もうあの人に会って欲しくないの」
急ぎ足で行こうとする繭.
羽村先生:「実のお父さんに,『あの人』はないだろう」
立ち止まって振り向く繭.
繭:「お父さんに会って欲しくないの」
歩き出したが……
また立ち止まって振り返る.
繭:「ねえ」
羽村先生:「え?」
繭:「生物室でさぁ,なに聞こうとしたの?」
繭の方に歩み寄る羽村先生.
羽村先生:「ああ,もう,『いいならいい』って,言ったろう」
繭:「今は言ってないよ.なに?」
羽村先生:「ごく,素朴な疑問さ」
羽村先生:「オレの,オレの一体,どこがいいのかなって」
繭:「あ,なんだ,そんなことだったの」
羽村先生:「ああ」
繭:「わかんない」
羽村先生:「え?」
繭:「忘れちゃった」
羽村先生:「忘れたって」
繭,両手でピストル「ばーん」
撃たれる羽村先生「うっ!」
階段の途中で大きく手を振りテヘッな繭.
歩道橋の上から繭を見送る羽村先生.
■二宮家
耕介,アトリエで作業中.
扉の音.
耕介:「お帰り」
繭,帰宅.
耕介:「遅かったじゃないか」
繭の包帯に気付いた耕介.
耕介:「繭」
耕介:「待ちなさい繭」
廊下で立ち止まる繭.
耕介:「どうしたんだその怪我は」
慌てて階段を上がってくる耕介.
耕介:「大事な身体なんだから」
部屋にこうとする繭.
耕介:「待ちなさい」
耕介:「どうしたなんだその怪我は.繭」
繭:「痛いの.離して!」
怪我を心配する父を振り切って自室に入る.
繭:「心配しないで.大丈夫だから」
繭の部屋のドアに立つ耕介.
耕介:「繭,明日,久しぶりに外で,しょ,食事しないか.ほら,昔,母さんとよくいった,は,葉山のレストラン」
耕介:「あそこを予約しとくよ」
繭:「明日はダメなの.直子と,友達と約束があるから」
ドア開けようとする耕介.開けさせまいとする繭.
耕介:「そうか」
繭:「ごめんなさい」
アトリエに戻る耕介.
包帯に手をやる繭.
01月31日(日)
羽村先生:「お話しって何ですか」
羽村先生:「ああ,婚約してるのにその言い方はおかしいですね」
■どこかのカフェ?
千秋が羽村先生と現状確認の話し合い.
千秋:「あたしたちっておかしいとこ沢山あるわ」
千秋:「今日は,お互いに思っていることを正直に話し合ったらどうかと思って.どうかしら」
羽村先生:「ええ,といっても,僕は別になにも」
千秋:「あたしに言いたいことないの?」
羽村先生:「ええ」
小さく溜め息をつく千秋.
千秋:「じゃあ,とにかくあたしから言うわ」
羽村先生:「ええ」
千秋:「まず,あたしはあなたが考えているような,箱入りのお人形さんタイプじゃないの.ああ,考えていた,よね.もうあなたの見方もだいぶ変わったでしょうから」
千秋:「あなたとの結婚は,父に勧められたからじゃなくて,あたしなりに,あなたという人をわかった上で,結婚するにはいい人だと思ったの」
羽村先生:「結婚するには」
千秋:「あなたは,あたしのこと愛してる?」
返事はせずに,力の無い愛想笑いの羽村先生.
千秋:「あんなとこ見て,見ぬ振りしようと思うなんて」
言い返せない羽村先生.
千秋:「そのまま黙って結婚しようと思うなんて.あなたも,結婚は単なる形式だと思ってるだけだと思うの」
千秋:「あなたは教授の娘婿になれるというメリット.あたしは,プライベートなことは干渉しないでくれる夫」
羽村先生:「僕は,そんな」
千秋:「あたし,あなたと結婚したいわ」
千秋:「あたし,愛なんて信じてないの.どうせいずれ,何をしてもしなくても冷めるものでしょ」
千秋:「だったら,束縛しない人が一番ですもの」
千秋:「子供は一人だけ産みます.父のこともあるし」
千秋:「できれば,その時以外はセックスはなしにしたいの」
千秋:「こんなこと言うのもなんだけど」
千秋:「はっきり言ってあたし,あなたとは感じたことがないの」
羽村先生:「樋口とは,いつからですか」
千秋:「え?」
羽村先生:「ああ,いえ.全然気が付かなかったものですから」
千秋:「確か,おととしのクリスマス前後だと思うわ」
羽村先生:「ああ」
千秋:「とにかく,あのことを父に黙っていてくれてホッとしたわ」
コーヒーカップを手にする羽村先生.
千秋:「それで,式のことなんだけど.隆夫さんの方の出席する人が少ないんで,校長先生だけじゃなくて,できれば同僚の人も二三人呼べないかしら」
羽村先生,このあたりから上の空状態.
千秋:「それから引き出物のことなんだけど.ここにパンフレットがいくつかあるんだけど,これはあたしに任せてもらっていいかしら.ほら,こういうところでセンスを疑われるようなことってあると思うの.それでね・・・」
02月01日(月)
■放課後の体育館
直子,剣道部練習.まずは柔軟.
新庄先生:「メチャメチャ固いな」
直子:「無茶苦茶苦しい」
新庄先生:「はい,最後三十,おい」
新庄先生:「しょっと.まあ初日やからこんなもんやろ」
直子:「やっと終わり?」
新庄先生:「お疲れさん.オレちょっと用事あるからな.あと,スクワット100回やったら帰ってええ」
直子:「はあ!?」
■スーパー
新庄先生,羽村先生とスーパーで夕飯のすき焼きの食材の買い物.
新庄先生:「すき焼きでええやろ? 簡単やからな」
羽村先生:「そうですね」
新庄先生:「自炊してんのんか」
羽村先生:「いえ.たまに田舎から野菜とかドサッと送ってくるんですけど,ほとんど腐らせてます」
直子(?)がパックの肉を新庄先生に気付かれないようにまとめてカゴに入れる.
新庄先生:「田舎はどこやった?」
羽村先生:「新潟です」
新庄先生:「ご両親健在?」
羽村先生:「ええ,おやじの方はちょっと肝臓悪いらしいですけど」
新庄先生:「ああ,肝臓か」
新庄先生:「肝臓にはシジミがええらしいで.まあお汁で食うぐらいやけどな」
羽村先生:「新庄先生がそういうこと言うとなんかおかしいですね」
『へ?どういう意味?』の新庄先生.
羽村先生:「いや,いい意味でですけど」
『それやったらまあ許すか』の新庄先生.
新庄先生:「肉は,と」
新庄先生:「こっちやな.三人やからこのくらいいくやろ」
羽村先生:「先生,これじゃ多いんじゃないですか」
新庄先生:「500ぐらいいくやろ.貴広けっこう食べるから,ええ!?」
目を見合わす新庄先生と羽村先生.
繭と直子が現われる.
直子:「いえーい」
Vサインの直子.
繭:「こんばんは」
新庄先生:「なんやお前ら」
直子:「御相伴に与ろうと思って」
新庄先生:「あかんあかん,さっさと帰れ」
直子:「ケチ.招待しないと万引きするよ」
手近の商品を制服の中に入れていく直子.
新庄先生:「なにをすんねん.すんなお前」
直子:「きゃ,胸触った」
新庄先生:「触るか」
直子:「えっちいー」
新庄先生:「こら」
繭,豆腐(?)を二種類持ってきて……
『どっちにする?』のポーズ.
羽村先生『こっちにする』の『ばーん』
なお,その後ろでは……
直子:「胸さわんないでよね」
新庄先生:「あほー」
直子:「ああ,壊れちゃったじゃない」
■新庄先生宅
ということで,4人+貴広君で,すき焼きパーティ.
直子:「肉お待たせ」
新庄先生:「あ,おまえら,遅ならんうちに帰れよ」
羽村先生:「あ,うち電話しといた方がいいんじゃないの」
直子:「まあまあ,そう堅いこと言わんと.ま,おひとつ」
新庄先生にお酌する直子.
新庄先生:「制服芸者かおまえは」
直子:「なおやっこでーす」
新庄先生:「あほー」
貴広君:「かたいこといわんと」
羽村先生のグラスにビールを注ぐ繭.
新庄先生:「ほんで,え,あの,授業どうや?」
羽村先生:「今日あたりからようやく生徒たちも」
新庄先生:「ほぉ,そうか,よかったなぁ」
直子:「なにもボイコットすることないですよね」
繭:「直もしてたくせに」
直子:「あたしはサボれりゃなんでもいいから」
新庄先生:「こんな真面目な顔しとって,生徒に手出すわけないやろが」
羽村先生:「もういいですよ.その話しは」
新庄先生:「いやあ,ワイドショーとかでな,ようあるやないか.こう生徒に教師が手を出したとかなんとかかんとか」
新庄先生:「あれ,けっこう他の学校ではね.あるみたいやで.ああいうのは」
うつむく直.
それに気付いた繭.
繭:「ん?」
直子:「うん」
直子:「さ,肉できたよ」
新庄先生:「こらこら,肉ばっかり食うでないよこれ.え.野菜を食べなさい」
直子:「あたし下痢気味だから」
新庄先生:「うん」
直子:「お肉食べて固くするの」
貴広君:「汚いなあ.二人とも」
新庄先生:「あぁ,手,もう大丈夫か?」
うなずく繭.
羽村先生:「あぁ,膿まなければいいんですけど」
◻️『まなければ』部分,なんて言ってるのか聞き取れない.ていうか,『まなければ』ってどういう意味ですか? 教えて偉い人.
◻️上記『膿まなければ』ということで解決しました.
新庄先生:「しっかし驚いたなあ,あんときはホンマびっくりしたわ」
直子:「塩酸被ったんでしょ.でもなんで?」
何も言わない繭.
直子:「ほら,繭,教えてくんないんだもん」
新庄先生:「ほやからな,羽村先生の前に二宮がバァーっと飛び出して」
羽村先生:「新庄先生」
新庄先生:「あぁ,お前,ペラペラ喋ったらあかんで」
直子:「へえ,じゃあ,ホントは,羽村先生がこうなるあれっだったわけ?」
新庄先生:「そうや」
直子:「純愛だわ.これぞまさしくぅ」
新庄先生:「何が?」
直子:「何がって,もう,世紀末的な鈍さね」
新庄先生:「いや,お前ら,まさか」
羽村先生:「んなわけないでしょう」
新庄先生:「そりゃそうやわなあ.あんな,この春,ええ,美人の奥さんもろうて結婚して幸せで万万歳やちゅうてな.わはははは」
直子:「ゆーかな,ゆーかな.恋する乙女にそういう配慮のない言葉」
直子:「だから奥さんに逃げられるのよ.ねえ,貴広君」
新庄先生:「オレも嫁はんに逃げられ……誰が嫁はんに逃げられたんや」
新庄先生:「お前も笑うことないやろ.お前」
貴広君:「逃げられたぁ」
お開きの後,直子は残って後片づけ.
新庄先生:「お前,そんなんほっといて帰ってええぞ」
直子:「女の友情よ.気使ってあげたんでしょ.バッカねぇ」
新庄先生:「お前,教師をバカ呼ばわりすな」
直子:「ここ置いて」
新庄先生:「おお」
直子:「こっち.ガラス類拭いて」
新庄先生:「あ,はい」
新庄先生:「お前」
直子:「なに?」
新庄先生:「このあいだ,なんで泣いとったんや」
うつむく直子.
新庄先生:「言いたないんやったらええけどな」
直子:「あたし」
新庄先生:「お?」
直子:「ラーメンおいしかったよ」
新庄先生:「おお,そうか」
直子:「うん」
貴広君:「お父さん」
新庄先生:「はいな」
貴広君:「メロン食べよ」
新庄先生:「ああ,しもた.出すの忘れとった.おお,お前も食べるやろ」
直子:「うん」
新庄先生:「ギザギザついてない安い方やけどな.よし,お,貴広,新聞とってこい」
貴広君:「うん」
新庄先生:「久しぶりやなメロン」
◻️新庄先生の前では安堵の表情見せるのよね>直子
■新代田駅改札
羽村先生と繭,帰りの切符購入.
羽村先生:「あれ,万札しかないなあ」
繭:「あ,あたし,あるよ」
羽村先生:「そお」
繭:「うん」
羽村先生:「じゃあ,借りとく」
繭:「じゃあ,貸しとくよ」
■新代田駅ホーム
お互い向かいのホームで電車待ち.
羽村先生:「何分?」
繭:「もうすぐ.そっちは?」
羽村先生:「10分ぐらいかな」
繭:「じゃあ,あたしの方が先だね」
羽村先生:「ああ」
羽村先生,手に息を掛けてこすり合わせる.
繭が真似する.
羽村先生:「真似す↓んなよ」
繭:「真似す↑んなよ」
羽村先生:「あした学校が終わったら,午後から動物園へ行こうか?」
繭:「え?」
羽村先生:「午後からど……」
繭の待つホームに電車が入ってくる.
電車に乗った繭の行動に『ん?』となる羽村先生.
繭,窓を開けて……
繭:「行く!」
羽村先生:「ああ」
発車する電車.
開けた窓から控えめに手を振る繭.
それを見送る羽村先生.
■羽村先生のアパート
羽村先生,ゴミ出しの準備.
結婚式の案内状を処分.
02月02日(火)
■昭和理科大研究室
羽村先生,昭和理科大の研究室へ.
教授:「結婚を解消したい?」
羽村先生:「申し訳ございません」
教授:「千秋は承知しているのかね」
羽村先生:「いえ,できれば,先生からお話して頂ければと」
教授:「キミのような実直な青年と結婚させたら」
教授:「少しは大人になるかとも思ったんだが」
羽村先生:「は?」
教授:「甘やかせて育てたせいか,あれも随分わがままに成長してしまった」
黙って話を聞いている羽村先生.
教授:「実は親の私でも,時々閉口させられるときがある」
教授:「甘やかしたというのは詭弁かな.私は,子供に愛情など抱いていない.いや,妻にもそうかもしれん.
教授:「報われない愛情を抱くことが,どれほど無意味なことか」
羽村先生:「先生」
教授:「キミもわかるだろう.生物学の進化の過程において,愛などは何の意味も持たない概念に過ぎないということを」
羽村先生:「先生.僕は研究室に戻りましたら,一生懸命先生のお手伝いをさせて頂くつもりで」
教授が不敵に笑い出す.
教授:「キミは何か勘違いをしているようだ.悪いが,研究室に空きはないんだ」
羽村先生:「そんな.それじゃ約束が」
羽村先生:「あの論文のことで初めから,初めから僕を研究室から追い出すつもりだったんですね」
羽村先生:「あれは僕の論文です.そのことを」
教授:「誰が信じると思うんだね.一介の助手に過ぎなかったキミの戯言を」
教授:「この際だ」
教授:「高校教師を天職と考えることだな」
ショックで言葉を失う羽村先生.
実験室に入って行く教授.
実験室の入り口に立つ羽村先生.
樋口:「羽村」
教授:「なんだねキミ,まだいたのか.部外者は立入禁止だよ」
教授が樋口に羽村先生を退出させるように指示.
教授:「閉めて」
樋口:「はい」
羽村先生を退室させようとする樋口を……
押し倒し……
暴れる羽村先生.
教授に掴みかかり……
みんなに取り押さえられるが……
収まらず,研究室の備品やら何やらが破損散乱するなど.
結局研究室のみんなに押さえ付けられる羽村先生.
■アパート前
傷心でトボトボとした足取りで帰ってくる羽村先生.
羽村先生がアパートの外階段前に戻ると……
繭が外階段を駆け降りてきた.
繭:「遅い!(怒)」
ほっぺを膨らます繭.
◻️↑こういうのね.こういうのがいいのよ.
失意の羽村先生,少しホッとした表情に.
■上野動物園
◻️えっ,上野動物園であってるよね?
羽村先生,繭と上野動物園デート.
羽村先生:「マントヒヒ」
マントヒヒの威嚇にびっくりして『うわっ』となる羽村先生と,羽村先生の『うわっ』に『うわっ』となる繭.
繭:「ちょっと」
説明機の解説を聞きながら繭に説明する羽村先生.
羽村先生:「ああ,あれがボスザルで〜」
羽村先生:「ああ,あれだ」
繭,羽村先生の口に焼き芋を突っ込む.
羽村先生:「おい」
羽村先生:「人がせっかく説明してんだから」
サル山ニホンザルの説明板.
繭:「これ先生に似てる」
羽村先生:「どれ?」
繭:「サトイモ」
繭:「そっくりだ」
変顔しながら,『これが繭に似てる』と指さす羽村先生.
『それあたし?』の繭.
からの繭の変顔.
ワハハなふたり.
ペンギン前に移動.
繭:「ねぇ,ペンギンの話の続き聞かせて」
羽村先生:「〜,この中でもバタバタああやってね」
フラミンゴ前(ポップコーンキャッチ)
『次はこっち』の繭.
羽村先生:「よし」
繭:「あは」
キャッチミス.
ヤギ触れ合い.
ポップコーン目当てのヤギまみれになって『うわぁ』な羽村先生.
オランウータン舎前.
羽村先生:「食べるかな?」
手を出してきたオランウータンにポップコーンをあげようとしてみず水をかけられ……
『うわー』な羽村先生と
大受けの繭.
ポップコーンを投げつける羽村先生.
■不忍池
羽村先生と繭,不忍池のベンチに移動.
◻️えっ,不忍池であってるよね?
コーヒーを買ってきた繭が戻ってくる.
繭:「寒……」
繭:「はい,おまたせ」
羽村先生:「ありがと」
羽村先生の横に座る繭.
コーヒーをすする二人だが……
羽村先生:「甘ぁ」 繭:「苦ぁい」
コーヒーを交換する二人.
改めてコーヒーをすする二人.
◻️オレじゃなきゃ,交換したコーヒーをキャッハウフフしながら飲む繭に気付かなかったね.
羽村先生:「愛は意味を持たない概念に過ぎないか」
羽村先生:「普遍的な愛なんてものは,進化の過程においては,何の意味も持たないといわれているんだよ」
繭の方をチラッと見る羽村先生.
羽村先生:「生物学者は,ある意味で,みなそう思っている」
羽村先生の言葉をじっと聞く繭.
◻️半逆光の夕日に照らされる繭の横顔がメッチャ奇麗.
羽村先生:「例えば,母性という母親が持つ愛情も,精子よりも沢山の栄養を持つ卵子を提供しているメスが,その見返りを求めて子供に執着しているとも考えられる」
コーヒーをすする羽村先生.
羽村先生:「すべての遺伝子が利己的であるという説が正しければ,生き物は,みな本質的に孤独なんだ」
羽村先生の方を見てじっと話を聞く繭.
羽村先生:「こうして集う水鳥たちも,人間だって,独りぼっちなんだ」
羽村先生:「生まれてくるときも,死ぬときも」
羽村先生の様子の変化に少し驚いた様子の繭.
羽村先生:「僕は……」
感情を堪え切れない羽村先生.
羽村先生:「何もかも失ってしまった」
羽村先生:「ささやかな未来も.始まりはどうであれ,僕は彼女を」
羽村先生:「だからあんなところを見てた」
涙を堪え切れない羽村先生.
羽村先生:「もう,何もない」
羽村先生:「何もないんだ」
羽村先生:「何もない」
羽村先生の横で一緒に涙を流す繭.
サポートして頂けると,ベランダで踊ります.