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学級崩壊以上に怖いのは認識力

 昨今、1年間さえも学級を安定させて学級経営するのも難しいというのは恐らく教員ならば皆実感しているところだろう。それは、国公立私立、小中高など校種を問わない。どんなに力があると言われている先生でも本当に1年後どうなっているのかはわからない。「え、この人が!?」というような先生の話をここ数年色々な場で聞く。

 もちろん、これを書いている私もその恐怖を常々感じる。特にクラス替えをする春休みなんかはずっとまだ分からぬクラスのことをずっと頭の中で考えている。そして、そうならないようにするために色々なことを考え、自分を高めたいと思っている。

 私も初任の1年は大変だった。学級崩壊という状態にまではなっていないが、ある子との関係がなかなか上手くいかず、学級運営は困難を極めた。

 で、そういった自分のことを振り返ったり、これまで色々な先生を見て思うことがある。自分のことを棚に上げて偉そうに言わせてもらえば、成長できる先生とそうでない先生には大きな分かれ道があると思うのだ。私の中では、2つの分岐点があるのではないかと考えている。

第1段階:現状を認識できているかどうか?
 これはあまり言われていないが、最も大きなところだと考える。どういうことかというと、クラスの子どもたちの状況が落ち着かないなど大変になったときに、「今のクラスは大変だな。」「このままじゃ、マズイぞ。」と教員自身が思えているかということである。読んでいる人の多くはもしかしたら「そんなの当たり前じゃないか!そりゃ、感じてるだろ。」と思うかもしれないが、これはそんなに当たり前ではない。
 つまり、子どもたちが荒れた状態になっているのに、「今、このクラスはまずい」と認識できない人も数多くいるということだ。周りの先生から見るとみるからにそのクラスは大変なのに、その先生が自覚できていないということだ。これは非常に難しい。なぜなら、本人は「マズイ状態だ…」と思ってないから問題意識がない。だから、周りが何を言っても本人は「?」だし、当然当人は「どうにかしないといけない。」と思うはずもない。

 昨今、クラスが大変になって、心が病んで病休などになってしまう先生がかなり多いのは周知のところ。それを世間や現場はマイナスだと捉えるかもしれないが、私はそういった先生たちの気持ちの方がよくわかるし、その先生達は実は心ある先生だと思う。だって、目の前の子どもたちの姿を見て、自分の心が病むくらい、悩んで、どうにかしたいと格闘してきたと思うから。そして、私も今後同じような状況に直面し、自分の力でどうにもならないことがあれば、きっと最後はそうなるだろうなと思っている。

 しかし、前述したタイプの先生は問題意識がないからある意味で本当に最強。周りに何を言われても「何言ってるんだ?」と思っているだろうし、自分を変えない。同僚や子どもたち、保護者が何をいっても届かない。ということは、次担当したクラスでも当然同じ状況のクラスを作り出すことになる。それが繰り返される。繰り返されるが、再びその人自身は気づかない。マイナスな意味でメンタル無敵状態。そういったことを考えると、やっぱり認識力=目の前の子どもの状況をどう捉えるかという感覚は高めないといけない。自分のクラスを客観的に診断する力が何よりも必要だ。

第2段階:自分を変えようと努力するか?
 第2段階はむしろそんな難しい話ではなく、どこにでも言われていることだ。つまり、「どうにかしなきゃ…」「マズイ…」となったときに、どうにかするためにその先生が動いているのかということだ。動き方に答えはない。

  • 校内の学級づくりが上手い先生に相談する。

  • 学級づくりが上手い先生のクラスを見学する。

  • 本を読む

  • 研究会に参加する

  • 自分で考えた打開策を試してみる   など

でも、こういった何かをやるということが大事だと思うし、心ある先生なら自分のためにも子どもたちのためにも「どうにかしなきゃ」と思うはずではないのか。

初任の自分はというと、ある尊敬する先生のところに放課後毎日通った。その先生は教室をほうきで掃除しながら、いろいろな相談に乗っていただいた。行ったことで、放課後に毎日教室を綺麗に掃除しているということなどちょっとしたこともわかった。「教室を綺麗に保つ」とか「子どもたちとなるべく一緒に過ごす(そのために子どもたちと遊べる服装にする)」とか「ユーモアを大事にする」といったことはその1年で学んだことだ。初任校の影響は大きいとよく言われるが、私が学校が変わってもなんとかやってこれたのも、その1年その先生との関わりがあったからだと今でも強く思う。

だから、誤解を恐れずに言えば、私は学級崩壊が起こるかどうかが問題ではない。ただ、そういったことが起こった時や後に「今はまずい状況だなあ」と自分で認識し、「どうにかしよう!」と一歩動き出す先生でないと何も成長はないはずだ。去年の自分と今年の自分、1学期の自分と2学期の自分で何か変えなければ、結果は変わらない。

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