
精密化された関数の極限の定義について(第4回授業後記)
第4回授業で学修した$${\lim_{x\to a}f(x)=\alpha}$$の定義は次の通りでした.(文字定数や関数その他の設定,および定理の番号などはテキストを参照してください.他も同様です.)
定義 4.3.1. (p. 31)
(1) $${\lim_{x\to a}f(x)=\alpha}$$
$${\stackrel{\Delta}{\Leftrightarrow}}$$ 任意の$${\varepsilon>0}$$に対し,ある$${\delta>0}$$が存在して
$${0<|x-a|<\delta~~\Rightarrow~~\left |f(x)-\alpha\right|<\varepsilon}$$
が成り立つようにできる.
この定義で最初の「任意の$${\varepsilon>0}$$に対し」のところを「任意の$${M>0}$$に対し」に換え,さらに最後の「$${\left |f(x)-\alpha\right|<\varepsilon}$$」のところを(ほぼ不等号の向きを変えるだけの機械的な作業ですが,これが大事)「$${f(x)>M}$$」に換えると次のようになります.
任意の$${M>0}$$に対し,ある$${\delta>0}$$が存在して
$${0<|x-a|<\delta~~\Rightarrow~~f(x)>M}$$
が成り立つようにできる.
いうまでもなく,これは定義 4.3.1の(2)すなわち
$${\lim_{x\to a}f(x)=\infty}$$
の定義になります.
このように 最初の(1)の定義をまず記憶し,残りは適宜不等号の向きや文字定数を変更すれば 種々の極限※の定義を導くことができます.
授業で議論したことと以上を参考にすれば,他の定義もよどみなく書きあげられるようになると思います.
この記事は以上です.
※注 $${\lim_{x\to \pm\infty}f(x)=\alpha}$$や$${\lim_{x\to a\pm 0}f(x)=\alpha}$$や$${\lim_{x\to \pm\infty}f(x)=\pm\infty}$$(複号任意)など.