令和6年度 東京大学大学院数理科学研究科修士課程入試 専門科目A
令和6年度東京大学大学院数理科学研究科修士課程入試の専門科目Aの解答を書きました。
第1問(必答) 線形代数学
3つの実数 $${(a,b,c)}$$でパラメータづけられた $${\mathbf{R}^3}$$ の線形変換 $${T_{a,b,c}}$$の階数が1となるための条件および $${Ker T_{a,b,c}=Image T_{p,q,r}}$$ を満たす $${(p,q,r)}$$ をすべて求める問題.
第2問(必答) 微分積分学
$${n}$$ 変数関数の最大値と最小値を求める問題.(1)の極値の候補の点を求めるのが難しい.実は分子の二乗の和を計算して整理すると,コーシー・シュワルツの不等式の等号が成立した等式が現れるのだが,これは気づきにくいか.
第3問 線形代数学
$${n}$$ 次元ユークリッド空間のベクトルの組でどの2つの内積も負となるようなものの個数の最大値を求める問題.答えを予想するのは容易.次元に関する帰納法で証明することができる.
第4問 微分積分学
ガウス記号が入った関数の広義積分に関する問題.誘導があるので解くのは簡単.
第5問 位相空間論
上半平面内の傾きが $${±1/\sqrt{2}}$$ の2つの半直線で囲まれた領域内および $${x}$$ 軸上の有理点全体に位相を入れた空間について考察する問題.特に (3)の連結性についての議論が難しい.
第6問 微分積分学 または 複素解析学
広義積分の計算問題.微分積分学または複素解析学のどちらの方法でも解くことが可能.但し微分積分を使う場合は $${\zeta(2)}$$ の値が必要になる.(解答では両方の方法を与えた.)
第7問 常微分方程式
連続非線形微分方程式の解と連続線形微分方程式の解の間に同相写像が存在するための必要十分条件と同相写像の例を与える問題.aが-1/2に等しいか否かで場合分けが発生する.
読者は解答を完全には鵜呑みにせずよく考えてみることをおすすめします.
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