2020年度東京大学大学院数理科学研究科 修士課程 専門科目A 解答例


2020年度東京大学大学院数理科学研究科 修士課程 専門科目A  の解答例を書きました。


第1問(線形代数)ある3次複素上三角行列が対角化可能であるための必要十分条件

各固有値の重複度と対応する固有空間の次元が等しいことに気づけば容易である.


第2問(微分積分)平面上のパラメータつきの領域上での重積分の計算と極限の計算

どちらも計算は容易である.


第3問(微分積分)ふたつの関数の大小関係およびそれらのグラフで囲まれた領域の面積についての評価

(1)は$${t=x^2}$$とおいて$${t}$$の関数として考えるとよい.($${f_a}$$が直線に変換されるから)

(2)はマクローリン展開を使うとよい.


第4問(微分方程式)連立方程式の初期値問題の解を求める問題

頻出問題である.計算ミスに気をつけること.検算する癖を身につけておくこと.


第5問(線形代数)対角化可能な線形変換に関するふたつの条件が同値であることを示す問題

この手の問題は具体的な例で実験すると方針が見えてくる場合がある.


第6問(微分積分)二重数列の和に関する証明問題

(1)をどのように読み変えるかが鍵となるが,一様収束の定義がわかっていれば問題ないはず.


第7問(位相空間)$${\mathbf{R}^2}$$に$${O(a,b)=(a,\infty)\times(b,\infty)}$$で生成された位相を入れたとき,$${(0,0)}$$の閉包を求める.また$${K=[0,\infty)\times[0,\infty)}$$がコンパクトであることと$${X}$$の空でないコンパクトな閉集合が存在しないことを示す.

状況を図に描いてみることが大切である.

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