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【証明】数学渡来人の式証明 pt.1
皆さんこんにちは,数学渡来人です.今回はベータ関数とガンマ関数の性質について証明したいと思います.
基本的に問は《prob.》とし,解答は《solv.》とします.
~ベータ関数~
今回解いていく証明は以下の様な内容です.
《prob.》
ベータ関数を$${B(p,q)=\displaystyle\int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx}$$とする.そのとき,以下の等式が成り立つことを示せ.ただし,$${p,q>0}$$である.
$${B(p,q)=B(q,p)}$$
では早速この《prob.》を示していく.
《solv.》
この関係を証明するためには置換積分を用いて証明する必要がある.なので,以下の様な置換を行い,上記の定積分を変数変換をする.
$${1-x=t}$$とし,$${x=1-t}$$も同様に定める.これを両辺$${t}$$で微分をすると,
$${\dfrac{d(1-x)}{dt}=1\\-dx=dt}$$
また積分範囲は$${0\to1}$$から$${1\to0}$$となった.このことを式にする
$${\displaystyle{\int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx=-\int_1^0(1-t)^{p-1}t^{q-1}dt}}$$
定積分の性質から,積分範囲を$${1\to0}$$から$${-1}$$倍をして$${0\to1}$$とすると,
$${\displaystyle\int_0^1(1-t)^{p-1}t^{q-1}dt}$$
変数を$${x}$$に戻すが,積分範囲が一致しているので$${t}$$から$${x}$$に変換するだけでよい.よって,
$${B(p,q)=\displaystyle\int_0^1x^{q-1}(1-x)^{p-1}dx=B(q,p)}$$
[Q.E.D.]
~雑談①~
皆さん証明お疲れさまでした.自分の場合は皆さんにより分かりやすくするために,文章を織り交ぜながら書いたので長くなりましたが,式だけであったら数行で終わると思います.ベータ関数の性質は多くあるので,Google等で調べて見るとよいでしょう.
~ガンマ関数~
続いてガンマ関数についても証明していきましょう.
《prob.》
ガンマ関数を$${\Gamma(p)=\displaystyle\int_0^\infty x^{p-1}e^{-x}dx}$$とする.そのとき,以下の等式を示せ.ただし,$${p>0}$$とする.
$${\Gamma(p+1)=p\Gamma(p)}$$
この等式もぱっと解いてしまいたい.
《solv.》
この証明では部分積分を使って証明する.部分積分を使うため上記の式を変形する.
$${\Gamma(p+1)=\displaystyle\int_0^\infty x^p\left(-e^{-x}\right)'dx}$$
上記の式に部分積分を実行すると,
$${\Gamma(p+1)=\lim\limits_{\substack{u\to0\\v\to\infty}}\left[-x^pe^{-x}\right]^{v}_{u}+p\displaystyle\int_0^\infty x^{p-1}e^{-x}dx }$$
第1項目の部分は,この積分は広義積分と捉えることができるので,極限を用いて値を求める.第1項目の値は計算をすると$${0}$$となる.
2項目に関しては問題文の定義に$${p}$$がかかっているものなので,上記の式は以下の様に書き換えられる.
$${\displaystyle{p\int_0^\infty x^{p-1}e^{-x}dx=p\Gamma(p)=\Gamma(p+1)}}$$
[Q.E.D.]
~雑談②~
皆さん2つ目の証明もお疲れさまでした.このガンマ関数は$${n!}$$を正の実数に拡張することのできる関数で,非常に面白い関数となっています.有名なものだと,$${\Gamma\left(\dfrac{1}{2}\right)=\sqrt\pi}$$となるのは理系の方だったら1度は聞いたことがあると思います.そんなこんなで今回の証明は終了したので終わりにしたいと思います.
~終わりに~
今回も読んでくださりありがとうございました.証明シリーズは,証明した式等を使うところまでを1つにしたいので,この次の回は2つの式を使い値等を求めていきたいと思います.マガジン化する予定ですので,ここから多くの問題を証明したいと思います.
それではまた!