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1兆ドル企業史を開示資料で紐解く#3:IPOまでのマイクロソフトの戦略概要
復習
前回の記事では、マイクロソフトのIPOの目論見書に記載されている業績が化け物じみていたこと、PCメーカー向けのプログラミング言語の下請けから事業が開始されたことに触れ、そこからどのような成長を見せるのかをお見せすると述べました。
今日はIPOまでのマイクロソフトの事業戦略を目論見書から読み解きます。
PL/BS/CFの話にまだ戻れないのですが、なぜ現在のマイクロソフトがこんなに稼げているのかを理解する上で必要なところなので、少しお付き合いください。
目論見書全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.begintoinvest.com/wp-content/uploads/2018/03/Microsoft_prospectus.pdf
アプローチ
今回は、目論見書の2ページ目に書いてあるMilestoneで1985年まで一気に行きたいと思います。
Milestoneを整理すると、下記の2つに分解できます。
プロダクト戦略
営業戦略
1975年の創業からIPOまでの10年でこんなに仕事をしたのかと驚愕しました。神話としては知っていたのですが、改めて振り返ると、僕の起業の経験の想像を絶する仕事量でした。ここまでやらないとマイクロソフトにはなれないかと猛省しました。
プロダクト戦略
OS戦略
自社のOSとしては、この10年で下記の推移を取りました。
XenixでPC UNIX用OS提供開始(1980)
IBM PC向けにMSDOS提供開始(1981)
IBM PCAT向けのMSDOSにMicrosoft Windowsの提供を開始(1985)
マイクロソフトとしては、他社のOSにも対応します。
Apple II対応(1975)
Apple II用にCP/Mオペレーティングシステムを起動するハードウェアMicrosoft SoftCard提供(1980)
Apple Macintosh(1984)
マイクロソフトのプロダクトポートフォリオとして、自社のOSビジネスだけにこだわることなく、他社のOSで稼ぐソフトウェアのビジネスをしっかりと用意したことが賢かったと考えます。そして、Apple・IBMという当時のパーソナルコンピューターマーケットの新旧2大プレーヤーに対してしっかりとくらいついてビジネスを作っていたことがすごい。
アプリケーション戦略
まず表計算・グラフ作成の領域でしっかり手を打ちます。
Microsoft Multiplan(1982)
Microsoft Chart(1984)
Microsoft Excel(1985): MultiplanとChartが統合して登場
ワードプロセッサにはご存知のMicrosoft Wordが1983年にロンチします。プロジェクト管理ソフトのMicrosoft ProjectやデータベースソフトのMicrosoft Accessもこの年に登場しました。
新たなコンピューティングパラダイムへの対応
GUI対応:
1983年にMicrosoft Mouseにロンチします。次に、1984年はMacintoshに合わせてGUIアプリケーションをどんどん出していきます。1985年にはMicrosoft Windowsを出します。Steve Jobsが激怒した姿が目に浮かびます。
ネットワーク対応:
1984年にIBM PCがIBM PCATと次世代かすることに合わせて、Microsoft Networksをロンチし、ネットワーク(LAN: Local Area Netowrk)対応をします。
10年でここまでのプロダクトポートフォリオを作り上げる世界観が凄すぎてついていけません。
営業戦略
1978年早々にASCIIと組んで日本市場に参入します。
読者の中にはまだ生まれていなかった方もたくさんいることでしょう。
マイクロソフトの日本市場での歴史が思ったより長くてびっくりしました。
1982年には欧州市場に参入し、プロダクトをローカライズしたとのことです。
上場前に、プロダクトだけでなく営業戦略的にも世界主要市場にリーチしていたのには、やはり驚かされるというか、自分は起業家としては反省しかありません。
まとめ
1985年のIPO直前に、ここまで準備して、24百万ドル(36億円)の純利益を叩き出したのね、と納得するとともに、身が引き締まる思いでした。。。
アルテアから始まったPC市場が、AppleやIBMのバトルによって大きく次のステージに推進力が生み出す大波にマイクロソフトはうまく乗ったように見えました。
この大波は外部環境なわけですが、なぜマイクロソフトがこの大波に乗れたのでしょうか?
次は、その辺りを紐解いていきます。
ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございます!
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