2023年度入試 神戸総理 問題分析【数学】
この記事で紹介するのは、ずばり2点
2023年度 神戸高校総合理学科・数学の問題分析
入試の難易度と学習法
です。
最後に実際の入試問題例と解説、学習法を紹介します。
2023年度 神戸総理・数学入試問題の概要
大問1 小問集合
(1) 計算のくふう
(2) 新記号のルール・2次方程式
(3) 速さの文章題
(4) 整数【やや難】
(5) 資料の整理・論理【やや難】大問2 放物線と直線【かなり難】
大問3 確率
大問4 直線図形(平面)【かなり難】
大問5 空間図形(正多面体)
大問1 小問集合
大問1は例年通りの小問集合の出題です。A4サイズ用紙2枚分の分量です。
(1)は、計算の工夫です。例年の出題傾向に沿った問題です。難易度はそれほど高くはありません。
(2)は、計算ルールを新記号でつくる問題です。最終的には方程式を作り、$${x}$$の値を求める問題です。さほど難易度は高くありません。
(3)は速さに関する文章題です。以前は頻繁に出題されていましたが、ここ5年ほどは速さ以外の文章題でした。相変わらずダイヤグラムを書いて文章の内容を整理する問題でした。
(4)は整数に関する問題です。こちらは類題を以下に掲載しておきます。
【出題例】
$${nを50以下の自然数とする。}$$
$${13n+3が5で割り切れるようなnの個数を}$$
$${求めなさい。}$$
【解答例】
$${13n+3=5k (kは整数)として,}$$
$${5k-13n=3\cdots①}$$
$${k=-2,n=-1を代入して,}$$
$${5\times(-2)-13\times(-1)=3\cdots②}$$
$${①-②より,5(k+2)-13(n+1)=0}$$
$${よって,5(k+2)=13(n+1)}$$
$${5と13は互いに素なので、}$$
$${n+1は5の倍数となる。}$$
$${よって,n+1=5a (aは整数)}$$
$${と表せる。}$$
$${整理して,n=5a-1}$$
$${nは50以下の自然数なので,}$$
$${a=1,2,\cdots,9,10となり,}$$
$${\bold{10個}が答えとなる。}$$
(5)はテストの得点データと平均点を表にまとめてあり、一部の空白部分を補う問題となっています。個人の平均点を小数第1位を四捨五入したデータが与えられているところが、難易度をさらに上げる要因となっています。
大問2 放物線と直線【かなり難】
図が与えられない、放物線と直線に関する問題です。図が与えられていない上に、自分で書こうにもかなり書きづらい設定になっています。過去、兵庫県の超難関私立高校「甲陽学院高校」が高校からの募集を行っていた時に、自らで図を書くという問題が頻繁に出題されていましたが、それよりも難易度は高いです。
(1)は2問あり、
1つめは放物線上の点の座標を求める問題、
2つめはある点を通り三角形の面積を2等分する直線の式を求める問題 でした。
一見するとよくある問題に見えますが、2つめのある点が特殊に設定されている点で、それに気づかないとまず解けないという問題です。
(2)は3問あり、
1つめは放物線の式を求める問題、
2つめは等積変形を活用する問題、
3つめは回転体の体積の問題
で、難関校では比較的オーソドックスな出題でしたが、計算が煩雑になり、時間内に解くことは至難の業だったかと思います。最後の回転体の問題については、類題を以下に掲載しておきます。
【出題例】
$${直線 y=-\displaystyle\frac 3 4 x+15上に}$$
$${2点\mathrm{A}(16,3),\mathrm{B}(4,12),x軸上に}$$
$${点\mathrm{C}(10,0)をとる。}$$
$${\triangle \mathrm{ABC}を直線\mathrm{AB}として1回転させて}$$
$${できる回転体の体積を求めなさい。}$$
【解答例】
$${直線\mathrm{AB}とx軸との交点を\mathrm{D},}$$
$${点\mathrm{C}から直線\mathrm{AB}に下ろした垂線の足を}$$
$${\mathrm{H}とする。}$$
$${\triangle \mathrm{DCH}の三角形は3:4:5の直角三角形となり,}$$
$${\mathrm{CH}=\displaystyle \frac{1}{2}\mathrm{CD}=10\times\displaystyle \frac{3}{5}=6}$$
$${求める立体の体積は,}$$
$${\pi \times \mathrm{CH}^2 \times \mathrm{AB} \times \displaystyle \frac{1}{3}=\bold{180\pi}}$$
大問3 確率
7枚のカードとコイン1枚を使った確率の問題です。
従来の傾向通り、「書き出す」ことによる問題です。
・問題設定が複雑でない
・分母が98 通り である。
・数式的処理をそれほど必要としない。
ことから、根気よく数えていくことで正解にたどり着く問題です。
大問4 直線図形(平面)【かなり難】
長方形を折り曲げる問題を扱っています。
よくある題材ですが、かなり複雑な問題となっています。決定的に違うのは、
1度折った状態のままもう1度折り曲げるので、長方形の紙が幾重にも重なる部分が登場する。最大で4枚紙が重なる箇所が登場する。
結果として、よくある解法で解ける問題になっていません。開進館では解答を複数名で作成していますが、作成者によって解法が異なります。
全国の入試問題でも同じような問題をあまり見たことがありませんが、やや難易度を下げて改題してみました。以下を参考にしてください。
【出題例】
$${\mathrm{AB}=3 \mathrm{cm},\mathrm{EC}=1 \mathrm{cm}}$$の長方形の紙がある。
点 $${\mathrm{D}}$$ が辺 $${\mathrm{BC}}$$ に来るように紙を折り,折られた辺を線分$${\mathrm{AF}}$$とする。
次に,$${\triangle \mathrm{ABE}}$$を$${\mathrm{AE}}$$を折り目として
折り曲げ,点$${\mathrm{B}}$$ が 点$${\mathrm{G}}$$に移動し,できた折り目を線分$${\mathrm{EH}}$$とする。また,線分$${\mathrm{EH}}$$と線分$${\mathrm{AF}}$$との交点を$${\mathrm{I}}$$とする。
このとき,$${\triangle \mathrm{AEI}}$$の面積を求めなさい。
【解答例】
$${\mathrm{BE}=x \mathrm{cm}}$$とすると,
$${\triangle \mathrm{ABE}}$$で三平方の定理を用いて,
$${3^2 +x^2 =(x+1)^2}$$
これを解いて, $${x=4}$$
$${\triangle \mathrm{AEH}}$$において,
$${\angle \mathrm{HAE}=\angle \mathrm{BEA} =\angle \mathrm{HEA}}$$より,二等辺三角形となる。
よって,$${\mathrm{HA}=\mathrm{HE}=y\mathrm{cm}}$$とすると,
$${\triangle \mathrm{AGH}}$$で三平方定理を用いて,
$${3^2+(4-y)^2=y^2}$$
これを解いて,$${y=\displaystyle \frac{25}{8}}$$
角の二等分線の性質より,
$${\mathrm{EI}:\mathrm{HI}=\mathrm{AE}:\mathrm{AH}=5:\displaystyle \frac{25}{8}=8:5}$$
よって,
$$
\begin{array}{ll}
\triangle \mathrm{AEI} & =\displaystyle\frac{8}{13}\triangle \mathrm{AEH} \\
&= \displaystyle\frac{8}{13} \times \frac{25}{8} \times 3 \times \frac{1}{2}=\frac{75}{26}
\end{array}
$$
大問5 空間図形(正多面体)
立方体、正八面体を切断した図形を扱っています。図形は難関国私立高校で頻出の形です。
小問(1)に3問、小問(2)に3問の枝問があります。
小問(1)の3問は立方体を切断する問題で、ほぼ同じ問題が過去に
甲陽学院
宝塚北GS科 で出題されています。
小問(2)は正八面体をまるで紙パックに例えて水を入れるという問題です。特に枝問2は類題に取り組んだことがないと難しかったと思います。
少し問題を改題して紹介します。
【出題例】
下の図のように,正八面体$${\mathrm{ABCDEF}}$$の容器がある。$${\mathrm{AC}}$$,$${\mathrm{AD}}$$の中点を$${\mathrm{M}}$$,$${\mathrm{N}}$$とし,$${\triangle \mathrm{AMN}}$$の部分をくりぬいて水を入れる。この容器を平らな机に面$${\mathrm{CDF}}$$を下にしておいたとき,水は最大,容器全体の何分のいくつだけ入れられますか。
【解答例】
下図のように,正四面体の中に正八面体を埋め込んで考えるとわかりやすい。
すると,容器の中の水量は正八面体のちょうど半分になっていることがわかる。
よって,容器全体の$${\bold{\displaystyle \frac{1}{2}}}$$である。
【まとめ】入試の難易度と傾向
2023年度の神戸高校総合理学科の数学の入試問題を分析しました。
まとめると、
難易度はかなり高い。公立高校の一般入試では見られないような特別な解法や考え方を必要とする問題が多数出題される。
出題分野は
小問集合,関数,確率・場合の数,平面図形,空間図形 の大問5つの場合が多い。
小問集合では,数式・論理・文章題・整数が例年出題される。制限時間65分で全問解ける問題量ではない。
神戸高校総合理学科に合格するための数学学習法
上記の分析の通り,一般的な入試対策では通用しない問題が多いので,中3内容を早期に終えて,じっくりと難易度の高い問題に取り組む必要があります。
一般的な入試問題集では,こういった難易度の問題を扱っていないため,
全国の難関高校の入試問題
などの問題集に取り組む必要があります。
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