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組織のマネージャーから見る「マタニティリープ」:「未経験の私にはどうしていいかわからなかった」〜アンバサダー・仲ちゃんのインタビュー〜

本日は、仲ちゃん(通称)にお越しいただきました。今回マタニティリープが出版するにあたり、妊娠出産経験のない自分がどのように応援できるのかと逡巡しながらも、マタニティリープの活動を応援したいと、マタニティリープアンバサダーに手をあげてくださいました。長年企業で働き続けて、マネジャーとして、妊娠・出産・子育てについてどう思っていたのか、自分自身の妊娠・出産・子育てについてはどのように考えていたのか、マタニティリープの活動についての思いを伺いました。


昭和一桁の両親、女の人は大変だなと

ーー今回マタニティリープのインタビューを受けてくださりありがとうございます。仲ちゃんのこと、お仕事やこれまでのこと、少し教えてください。
仲ちゃん 
IT企業で事業企画をしています。サービス企画の仕事を長くやっていて、管理職も十数年経験してきました。社会に出て35年目になります。大学を卒業して、就職して上京、会社ファーストで相当の時間を会社に費やしてきたと思います。

マタニティリープというところでいうと、若かった当時、出産子育ては、私には絶対無理だと思っていました。当時、お付き合いした人が、仕事も子育てもあなただけがする仕事という感じだったので、”無理っ”と思って、積極的に結婚して子育てというところに行きませんでした。さらに、昭和一桁の両親を見ていて、女の人は大変だなと思い、これは私には無理だなと思い、そこに頑張るつもりになれなかったんです。母はいろんなことを諦めてきたから、あなたは自由にやりなさいと言われてきたというのもあり、引力が仕事に向かってました。

私には未知のものでわからない、でも違うアプローチもあるかもしれない

ー仲ちゃんにとってマタニティリープはどんなコンセプトや活動だと思っていますか?
仲ちゃん 子供を産み育て、外で仕事もしている女性たちを社会で暖かくエンパワーするようなコンセプトや活動だと思っています。私にとっては、免罪符みたいな感じ。置き去りにしたことを後からカバーしているような、社会への懺悔みたいな感じもあります。

最近は幼い子を見ると、弱くて小さいものだな、大事なものだと改めて思うようになりました。生命力の煌めきを感じるんですよね。

ーーマタニティリープのどこが共感ポイントですか?
仲ちゃん 
助けになりたいです。経験者としてサポートすることはできないけれど何かできることがあるんじゃないのと思っていました。私には未知のものでわからなくて、距離を持って見守るのもおこがましい感じがして、どうしていいかわからなかった。部下がいた当時、もうちょっと何か、サポートの仕方があったかもしれないという気持ちがあります。これからの人にいいことが起きるといいなと思います。

未知なものを無かったことにしない、恐れずに知ることが次につながる

ーー仲ちゃんはマネージャーも経験されていますが、マネージャーとして思うところはありますか?
仲ちゃん 妊娠した女性が、良い方向にいってくれればと思うけれど、私自身は自分の体験に基づくサポートができなかったんですね。私と同じように、妊娠した部下に戸惑っている。未知なものをちょっと怖いと思うような管理職、先輩、もしかしたら後輩、そういう人たちが、関われずともまずは知るだけでもいいのではないか。今の社会の中で、妊娠・出産・子育て期の人やその周辺の人にどんなことが起きているのかを知るというところにつながっていけば、より良い、そこに隠されているエネルギー、見過ごされているものにきちんと目を向けることができるようになるのではないでしょうか。

ーーそうなったらどうなると思いますか?
仲ちゃん 多様性を受け入れられることにつながっていく、ひいては優しい社会に行くんじゃないかと思っています。かつては、立場とかで切り落としちゃう時があった。そういうところが変わるのかな。

ある種の認知バイアスがずっとかかってきたのではないかと思います。視野の外側に置かれて、なかったことになっていたのではないか。(仕事以外のその人のこと)に目を向けて語ることで、心を寄せることにつながるのではないかと思います。一方的に切り捨てたりとかがしにくくなる。いい意味で構われすぎなくなるし、いい意味で寄り添ってもらえる。

素晴らしいことが起きているのだと、みんなが目を向ける機会になる

ーーなぜアンバサダーになったのですか?
仲ちゃん 前から気になっていたこと、いい方向に変えていくことに手を貸す機会があったので、そのチャンスに乗った感じです。

ーーアンバサダーとして活動してみてどうですか?
仲ちゃん 意外とみんな興味を持ってくれる。マタニティという言葉って、職場などで唐突には口にしにくいのですが、ちょっと控えめに相手に渡すと、意外と前向きにストレートに説明を求めてもらえたり、そういう反応がほとんどでした。それは私にとって意外でした。若い世代の方がいい意味でオープンで、話を聞いてくれるし、質問もしてくれる。ジェンダーと生物的な特性が切り離されているなと感じました。

ーー今後マタニティリープの活動に期待していることを聞かせてください。
仲ちゃん 若い人たちは開き始めていて、私たちがやるまでもなく、ゆるやかに変わっていくんだろうなと思いつつ、さらにアクセルがかけられるといいなと思っています。その年齢層を過ぎて振り返ることができる私たちは、語り部的なことならできる。いまマタニティの当事者の方だけでなく、私たちの振り返りは、私たちの世代に何かが起こる機会にもなりうるものだと思います。

一方で、ある世代が特別だとか、マタニティの経験がないとだめとか、そういう方向に受け取られないようにもしたい。今回の活動に希望を感じるのは、本人にとって良いことに気づくことが本人の力になるということです。本人に素晴らしいことが起きているのだと、みんなが目を向ける機会になりうることだと思います。

ーー仲ちゃんのお話を伺っていると、妊娠・出産・子育て期は大変なことも多いけれど、今、良いことが起きている、リープしているんだ、これは機会なんだととらえることが、本人にとって力になる。まさにマタニティリープのコンセプトのお話をしてくださっているように思います。そして、周りの人達も、本人に素晴らしいことが起きているというように思えたら、妊娠・出産・子育て期にいる人との建設的な関わり方も見えてくるのではないかと思いました。
今日はどうもありがとうございました。

編集後記

力になりたい人は必ずいる。応援する人も応援したい

マタニティリープインタビューをしていると、その方のお話の中に必ずと言ってよいくらいに、力になってくれる、支えてくれる人の存在が出てきます。それは親戚の叔母さんだったり、ママ友だったり、会社の上司だったり。そこに共通しているのは、その人に何があっても、何が起きていても、"あなたは大丈夫”とその人を肯定し続けるスタンスがあるように思います。一方で、何か力になりたい、応援したいと思っていても、どうしたらいいのかわからない、一歩踏み込むような感じがして躊躇する方にも多く出会ってきました。
先日は、保育士のリーダーの方向けに「本音で語り合うリーダーシップ:つながりと夢を広げる保育の未来」と題して、マタニティリープのコンセプトや、本音や夢を語り、聞くことについての実践を紹介してきました。
力になりたい、応援したいという存在がいる。そして実際に応援して、相手が元気になる姿を見る。喜ばれるというのは、応援した人にも力を与えます。ちょっとした応援の一歩、それは応援して応援されるというポジティブな循環を作ることにつながっていくのです。
マタニティリープは、妊娠・出産・育児中の方を応援したいと思っている人も応援して、一緒にこの循環を作りながら進んでいきたいと思っています。今回の仲ちゃんの記事もそんな応援の循環を作り出す思いと実践について伺うことができました。

マタニティリープ合同会社
https://www.maternityleap.com/

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