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マタニティリープマガジン いよいよアートディレクターの堀出隼さんの登場です!

今回は出版プロジェクトで、アートディレクション&イラストを担当していただいている掘出隼さん(ホリデーさん)にお越しいただきました。ホリデーさんがこれまでどんな活動をしてきたのか、パパでもあるホリデーさん、マタニティリープの本がパパとしてのスタンスからどう見えているのか、そして今回の本がどんな本になるのかを伺いました。マタニティリープの本を少しでもイメージしていただけたら嬉しいです。


▪️堀出隼さんインタビュー

苺が一期一会の気持ちで一枚似顔絵を描きます企画「苺一絵」の苺と演出物の様子

ーまずはホリデーさんについて少しお伺いしてもいいですか?

堀出隼さん(以下ホリデー)はい、まず愛知出身です。僕の人生を語る上では、両親の影響が大きいんです。父親も母親も愛知教育大学を出て、教員になるんですけど、父親が大学在学中に放浪の旅に出て、ユーラシア大陸をワーゲンバスを使って2年間旅をしたんです。色々な経験をして、フランスのパリにたどり着いた時、芸術の都と言われる場所に感動したんです。父親自身は長くパリには滞在できなかったけれど、将来自分に子供ができたら、この街に送り込んでやるという野望を抱いていたみたいなんです。

そんな中自分が誕生しました。そんな両親なんで、家の中もアートの本があったり、考え方も、今考えると自由人な感じでした。その後、父親が学校の先生になって、金八先生じゃないですけど、家が不良の子たちの溜まり場になって、堀出先生だったら自分たちの気持ちがわかってくれると。そういうのを見ながら、デザイン教育というかコミュニケーション教育を自然と受けたんだと思います。母親は和の文化、今でもろうけつ染とかお習字とかが得意で。僕はそんな二人の子供です。

パリの日常から学んだことが自分のベースになった

ーーそれでパリに?

ホリデー ちょっと無理して進学校の高校に入ってしまって、勉強についていけなくなって、 自分も大学にいくということに疑問を持って、色々悩んでいる高校三年生の時に、父親からフランスに行ってみないかと言われたんです。

まあ面白そうだし、行ってみようかな、と軽い気持ちでパリにいきました。
最初は一年ぐらいの気持ちでアートを学んでみようと行ったんですが、住んでみると、最初は頭が真っ白になるぐらい、何もかも違っていて、言葉も文化も違って、、、。その時の自分自身を褒めたいんですが、行かせてもらったからには努力しなきゃと思って、毎日小さいノートを持って歩きました。周囲の人はみんな先生だと思って、これはフランス語でなんて言うのかを聞いて回ったり、周りとコミュニケーションをとりました。

次第に友達にも恵まれてフランス語ができるようになってくると、フランス人のコミュニケーションの仕方とか生き方が好きになりました。自由、平等、博愛、国をあげてのスローガンが自分の根っこになってしまった。自由であるために平等だし、平等であるために博愛。パリでは、アートに関わる学校でもそうでしたし、電車に乗っても、お年寄りや、妊娠中の人に席を譲るのはあたりまえ。その譲り方もとてもかっこよくてユーモアもあり、譲り方にも個性がある。一言声をかけて、電車内の周りの人もホッと明るくなるというか。それがとても素敵で、それが人生だな、、って。そういう日常の出来事からたくさんのことを学んで、自分のベースになりました。一方で、謙虚とか謙遜するとか、そういう日本人の特徴、思いやりや言葉に出さずとも阿吽の呼吸というか、そういうものがすごく自分の中にあることを意識できました。それが自分の個性だし、活用していけるんじゃないか。それも合わせて堀出隼なのではないかと思えました。

パリ留学時の写真。ACADEMIE CHARPENTIERのコミュニケーションビジュアル科を卒業

フランスでの経験をないものにしたら自分ではなくなってしまう

ーーフランスにはどのくらい?

ホリデー のべ6年いて、最終的にはビザが取れずに泣く泣く日本に帰ってきました。このままフランスで就職しようと思っていたのですが。今思うと結果オーライかな、と思っています。

帰国して、愛知に戻ったんですが、ひょんなことから通訳の仕事で東京に行くことになって、そのまま上京しちゃった。ただ、正直、最初は結構辛くて、縦と呼ばれる社会になかなか苦戦しました。もちろん自分のデザインの力も足りてなかったところもあるとは思うんですけど、その前に年下とか生意気とか、僕の苦手な男尊女卑、年功序列とかそういうものに苦戦しました。それでも自分も粘り強かったのか、フランスの経験は自信のあるところでもあったから、それを全部ないことにしたら、自分ではなくなってしまうと思って。これまでどこにも就職することもなく、次第に分かり合える人たちと出会って、少しずつ進んで来れたかなと思います。

コロナ禍で生まれた「前向きな横顔」プロジェクト

ニュウマン横浜開業4周年記念のアートウィンドーを制作
「前向きな横顔ATニュウマン横浜」をテーマにニュウマン横浜に携わる様々な人々の横顔と
それぞれの「前向きとは?」「ニュウマン横浜の好きなところ」の回答を合わせて展示

ーーアートとかデザインのことをもう少し伺ってもいいですか?
「前向きな横顔」という作品、マタニティリープのコンセプトとも繋がるものを感じました。

ホリデー パリではコミュニケーションデザインという学科で、コミュニケーションというのがデザインであって、デザインというのはコミュニケーションだというのをコンセプトとして学びました。それはだじゃれというか、ダブルミーニングというか。

「前向きな横顔」は僕自身も気に入っているプロジェクトです。
その前に「苺一絵」という、これもダジャレで 一期一会の気持ちでいちごが一枚似顔絵を描きますっていうのをやってました。ネーミングだったり、人の記憶に残るというか、絵もそうですし、文面で誰かの目に入った時に、いちごが似顔絵を描くという印象に残るような、やり方、デザインをすることを日々心がけています。

「前向きな横顔」のプロジェクトは、「苺一絵」という似顔絵がコロナになって出来なくなって、正面を向き合えないということを言われた時に、「じゃぁ横を向いてください」というところから始まりました。色々と大変な時期ではあるけれど、その企画を持って、いろんな人に会いに行った。それぞれの人の前向きなことをインタビューしてその回答と似顔絵を描くという企画。コミュニケーションをすることで、物事がよりよく、より楽しくなればいいと思っています。

苺一絵の似顔絵
マジック一本で描くシンプルでポップなタッチは
SNSのアイコンとしてもおすすめ
今までに10,000人以上を描く

PTA会長でデザインの力〜先生、保護者、児童たちをより良い関係に

ホリデー 仕事ではないんですが、PTA会長も勤めた経験があります。PTAと聞くと大変とか面倒臭いというのがあると思うんですけど、長男2年生、下の娘が年長の時にやってみないかと言われて、直感で即座に引き受けたんです。根拠のない自信というか、自分がPTA会長になったら、ディレクションできると思いました。学校をより良くすることで、自分の子供達に行き渡れば、子供達も楽しくなる、そんな最高なことないじゃん、そう思って。

PTAのロゴ作ったり、オリジナルキャラクターを作ったり、お便りの文面を柔らかくしたり。コンセプトとしては、仕事帰りのお父さんも読みたくなっちゃう、そんな読み物を作ったりしました。デザインで、イラストや言い回しで、これパッと手に取れるものを意識しながら、やりました。180度変えるというよりは、元々あったいいところは伸ばし、ここはどうだろうというところは改善して、先生、保護者、児童たちがより良い関係になればいいなと思って担当しました。

この活動は自分が思ったより反響があって、大袈裟だけど、革命ありがとうございますって言われたり、それは嬉しかったですね。
葉山って狭い町だけれど、顔も覚えてくださって、自分も生活していて楽しいし、そういった仲間たちと今では色々仕事できるようになってきたりしています。

葉山のお寺「玉蔵院」主催、ホリデープロデュースで開催している
ブッダのお誕生日会をメインとしたマーケット企画
「花まつりWEEKEND」の2024年開催時のビジュアル
4回目のテーマは「FO(U)R YOU」
誰かを想うみんなのためにを大切に開催

コミュニケーションデザインで様々なことをより良く、より楽しく

ーーダジャレだとクスッと笑える、大変なことも一回転して笑える、そういうことが世の中にあるといいですよね。今回のマタニティリープの本も、大変と捉えられがちな時期を朗らかに捉えていっていいんだよというところが伝わるといいなと思っています。これからのホリデーさんはどうなっていくのか、見えていることはなんでしょうか。

ホリデー いろんな活動をしていて、どこかに絞るのはちょっと違うなという感じがあります。大学の先生もやって、デザイナーもやって、子供達のアートの企画をやったり、ブッタのお誕生日会やったり、似顔絵をやったりとか。

ーーいろんな顔を持っているんですね。

ホリデー でも、軸になっているのは、コミュニケーションデザインだと思います。コミュニケーションデザインを活用して、様々なことをより良く、より楽しくしたいなと思っています。自分のやりたいこと、アート活動もやっているんですけど、こうしたらもっと喜ばれるんじゃないかというのが自分の最大の喜びです。それをデザインとか考え方、言葉などで、物事をより楽しく、みんながハッピーになるようなことをずっと考えていきたいと思っています。

「ブッタのお誕生日会」というのも一言お伝えさせていただくと、葉山の玉蔵院というお寺で2021年から始めました。副住職の思いとしては、お寺というほぼ公共のスペースにフラッと来てもらって心地良い気持ちになってもらいたいというのと、ブッタのお誕生日を知ってもらいたいということで自分や周りの出店者さんを集めて、マーケット企画をしています。

花まつりWEEKENDのイベント会場の様子。まさに衣食住、葉山と他エリアの
大人も子どもも皆んながブッダを中心に笑顔になるイベントを心がけている

ーーお話を聞いていると、ホリデーさんが人との間にいて人の喜びとかこうなったら楽しいんじゃないかというのとをアートやデザインを通じながらやっていく人なんだなと思いました。そしてどちらかというと政治家というか知事というか、そういうレベルでデザインしちゃう人なのかなと思いました。

ホリデー 余談ですけど、最近嬉しいことがあって、息子が中三で、陸上の1500mの全国大会出場を決めたんですよ。もちろん、妻の日々の食事による身体的な支えや精神的なサポートがあったと思うけれど、僕も、息子に仕事上で出会った陸上関係の人を紹介したりして、色々積み重ねてきたことが、息子にも影響を与えられたんじゃないかなって思うところがあります。

PTAとか金銭が発生しないところではあるけれど、それが人生に豊さを与えてくれるんじゃないかと思います。

本質は捉えつつも、ユーモアや楽しさが自然と滲み出るような本に

ーーこの本のデザインの方向性を聞かせてもらってもいいですか?

ホリデー 誇らしく言えることなんですけど、自分もママ友がめちゃくちゃいて、それぞれ悩みだったり、抱えていることがある。そういうことを今回恥ずかしながら知りました。気楽というのも違うのですが、なんて言えばいいんだろう。デザインで補助できるとしたら、シンプルで気軽に手を取って欲しいし、ライフスタイル誌やファッション誌に近い感じで、マタニティということを「そうなんだ」と当事者だけでなくいろんな人が見れるようになるといいですね。
しっかり本質は捉えつつも許される限り、ユーモアとか楽しさとかが自然と滲み出るような本にしたいなと思っています。電車の中でもパッと開いて読めちゃうような表紙でパパも読みたくなっちゃう本ですね。

マタニティって本当の意味、自分もわかっているようでわかっていなかったんです。サイズ大きめな洋服ぐらいにしか思っていなかったんだけれど、いろんな意味があって、それは学ぶべきだし、だから席を譲らなきゃということではなく、それを超えた理解ができるといいなと思っています。問題じゃないのに問題と言われていることをちゃんと正しく伝えることかな、と。
問題じゃないはずなのに、みんな問題だと思っちゃってる、マイナスじゃないところからみんなで理解していくような本にしたいなと思います。

ーーまさに私たちが望んでいることです。それがホリデーさんの表現、デザインによって形になることにワクワクしているし、私たちの文章だけでは伝わらないものが伝わり、手に取ってもらえる機会になるだろうなと思っています。
ホリデーさんのデザインによって、まずはジャケ買いしてもらって、そして中身も素敵な本にしたいと思います!

今日はありがとうございました。

▪️編集後記

お読みいただきありがとうございます。本の雰囲気を少しでも感じていただけたでしょうか。ホリデーさんは最初にお会いした時から、マタニティリープの本のコンセプトをイラストにして、見せてくださり、私たちはすっかり惚れ込んでしまいました。ホリデーさんのアートグラフィーはいつも私たちの心を惹きつけます。ホリデーさんのプロジェクトに触れてみたい方、この夏はアートに!「ホリデーミュージアム」に参加してみてはいかがでしょうか。

子ども達のアート作品を募集して、オンライン上で展示・鑑賞する美術館
「holidaymuseum 2024 Vol.8 eteしてSUMMER」の告知ビジュアル。
2020年のコロナ禍でスタートした子どもアートを軸したコミュニケーション企画

最後までお読みくださり、ありがとうございました。



<編集>
マタニティリープ合同会社
https://www.maternityleap.com/


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