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#6 つわり妻のストレスの矛先
体調が悪いにも関わらず、一度流産経験のある私は、
この段階で我が子に母性を持つのが怖かった。
仕事量を極端に減らし、トイレで吐く以外の時間はベッドの上。
眠れないのに身体を起こすことができず、思考だけがぐるぐる働き続けて、とにかく気分が悪かった。
妊娠前は、在宅で数時間PC作業をする以外は、
ストレッチや宅トレをしたり、ゆっくり半身浴したり、
ウォーキングに出かけたりと、
夫の勤務中はおひとり様時間をとにかく堪能していた私。
全部できなくなった。
なんとかつわり期間の気分転換を見つけようと、
解約する直前にU-NEXTで見た
「ナイルパーチの女子会」が面白くて、
原作が小説だと知り、柚木麻子さんの著書を調べると、
「BUTTER」の作家さんなんだ!絶対読もう!と
電子書籍をダウンロード。
一晩で読み切り、興奮して夫に
「めちゃくちゃこの本面白い!!!!」とあらすじを一通り熱弁して
トイレに向かったと思うと、
「おえぇー!!!!!」と嘔吐(笑)
そこから、小説は時間を潰せると実感を得たので、
前々から気になっていた
辻村深月著者の「傲慢と善良」を読み耽り、
マッチングアプリで出会って結婚して、
今は婚活業界に身を置く私としては、
言いたいことが有り余り過ぎて
再度夫に熱弁。
「あなたは本読む時間ないと思うから、映画化したら一緒に行こう!語り合おう!」と、その直後に
「おえぇー!!!!!」と嘔吐。
その後、また柚木麻子さんに戻り、「らんたん」をオーディブルで読破。
これは完全に時間稼ぎ。12時間くらい朗読だと時間を費やせるので、藁にもすがる思いでしがみついた。
小説の世界に浸れる時は、少し緩和される気はするけど、
それでもずーっと不快感が付き纏い、
ちょっと気が逸れるとすぐスマホで
「つわり 限界」
「つわり ⚪︎にたい」
「つわり 自⚪︎」
などなど、すぐ検索かけるくらい、病んでいた。
そんな時に出会った「らんたん」という小説は、
著者・柚木麻子さんの出身校である恵泉女学園の創始者・河井道と、彼女とシスターフッド(姉妹のような絆)の契りを結んだゆりと〈姉妹〉たちの人生を描いた大河小説。
私は、これまでフェミニズムを過剰に訴える女性が苦手だった。
自分が男性と同等に並ぶ体力のなさを痛感していたので、「男性に負けじと!」「今の時代男女は対等!」みたいな事を謳う人がいるから、専業主婦が肩身の狭い思いをしたり、生理痛の軽い女性からの方が、当たりが強く、生きづらい社会だという側面の方にフォーカスを当てていたからだ。
だけどこの小説を読み、女性の人権が虐げられてきた過去や、そんな時代から女性の教育を受ける権利や、対等性を勝ち取ってきたかを想像し、それは奪うというスタンスではなく、光を分かち合うという表現で、暗闇を明るく照らしてきた女性がいるという事を知ると、"女性"のあらゆる側面を知って、ますます女という"性"を不思議に思った。
私が男に生まれていたとしたら、どこかでのたれ死んでいたに違いないと思うほど、これまで女性に産まれたことは有利だと思ってきたし、稀に女性だということで軽んじられることに怒りの感情を持ちつつも、どこかでその軽んじられることを利用して、その場その場で1番甘い蜜を吸ってやろうと思いながら生きてきたけれど、つわり中は、自分が女であることが嫌で嫌でたまらなかった。
こんな思いをせずに、女に子供を産ませて、親になれる男への憎しみもどんどん湧き出てきて、妻の妊娠中に浮気する男なんて滅亡しろ!と忌み嫌ったし、一方で、自分がつわりも経験せず、出産も経験していないくせに、一丁前に「僕、イクメンです!」みたいな善人面する男のことも気持ち悪くて、全男への莫大な恨みがドロドロ湧き出てくるのを感じた。
その醜い感情が、新鮮で面白くもあった。
そんな中、6月14日からAmazonPrimeVideoで独占配信されたドラマ
「1122【いいふうふ】」を夫婦で見ている時に、
岡田将生さん演じるオトヤが
婚外恋愛相手の西野七瀬さん演じるミツキに
華道で使う剣山で局部をブッ刺されるシーンを見て爆笑し、
「女だけ辛いのが許せない!」
という日々の恨みが少しだけ晴れた気がした(笑)
ざまあみやがれ!!!!!!男ども!!!!
夫にそのままストレートに、
「最近世の男たちへの莫大な恨みがあったけど、今ので少しスッキリしたわ!」と伝えると、怯えてたので
ちゃんと、「あなたは世の男たちとは全然違う、特別な存在だからね♡」と訂正しておきました。(夫婦円満に命かけているので)
局部を痛める恐怖は、一生経験できないので、
剣山でブッ刺されて血をどんどん吹き出すよりかは
つわりの方がマシだと思えて、乗り切るしかないか。
(でもきっと、陣痛とか出産はそれより痛いんじゃ・・・?
やっぱ女の方が損じゃん)
こんなこと言ってる私が、母親になれるのか?
もっと神聖で尊い気持ちが芽生えないのかと自分に対して苦笑いですが、正直な気持ちはこんな感じ。
妊婦健診までがひたすら長く、
まだトツキトオカなどのアプリをダウンロードする勇気もない、そんな時期。
つわりって過酷で、もう2度と経験したくない。