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時は巻き戻せないから

時は巻き戻せない…

なんていうのは当たり前のことで、今この瞬間にも時は進み続け1秒前にすら戻ることができない。

カーペンターズを初めて聴いたのは、小学生の頃だった。校内清掃の時間に流れていたのだ。実際には、あの曲がカーペンターズの「Yesterday Once More」だと知ったのは数年先のことだった。僕にとって「Yesterday Once More」は問答無用で校内清掃を思い出すのだ。あの頃の景色、友達の笑顔、会話の内容…それが一瞬で蘇るのだ。

「I Need To Be In Love」もそうなのだ。これは1995年当時ドラマのエンディングテーマとして使われていたのだが、あの頃、青春のど真ん中を過ごす自分の心境、景色、人間関係、その頃見てた夢や希望…。世界は果てしなくて、僕は何者にもなれるという不思議な自信と、社会から感じる得体のしれない不安感。様々な感情が入り混じっていた。そんなことを思い出す。

「I Need To Be In Love」を訳すると愛が必要、恋が必要など様々に訳される。

I know I need to be in love
I know I wasted too much time 
I know I ask perfection of a quite imperfect world
And fool enough to think that 's what I'll find

カーペンターズ 
I Need To Be In Loveから

訳するとこうなる。

私には愛が必要なんだってわかってる
遠回りしすぎたこともわかってる
私はいびつな世界の中で完ぺきなものを
求めてるってこともわかってる
そしてほんとにバカみたいだけど
それを見つけようとしている
ってこともわかってるのよ

カーペンターズ
I Need To Be In Love 和訳

あの当時、歌詞の内容は認識してなかった。英語も出来なかった。ただそこから伝わる何が胸を打った。

これは後で知ったことだがカーペンターズのVocalカレンは音楽活動の裏で、摂食障害や孤独と向き合っていた。希望を追い求めながら、現実の厳しさに直面していた。初めて聴いたあの瞬間、そんなカレンの心の葛藤を、もしかしたら歌声から感じ取ったのかもしれない。

不安を抱え、一方で希望をもって…でも上手くいかなくて。こんな繰り返しの日々でいいのだろうか?あの時、僕は思春期ということもあってそんなふうな心の葛藤を抱えてたように思う。

「I Need To Be In Love」を聴き、独りじゃないよ…あなただけじゃないよ。私もみんなも辛いんだよ。

歌詞も意味もよくわかってなかったのに、そんなふうに聴こえたことを今でもはっきり覚えてる。強く優しく包んでくれたような…春の陽だまりような、暖かな気持ちになったことを心が記憶してる。

時は巻き戻せない…
でも音楽であの頃の気持ちも景色も思い出せるんです。それはずっと色褪せない宝物のような気持ち。まるで時を超えるタイムカプセルのような…。

「I Need To Be In Love」少年だった頃、弱くて情けなくて、でも一方で強く優しくを目指していた。青春の輝き。そんな頃を思い出すタイムカプセル。

名曲と共に想いを
名曲と共に何より大切な今を
タイムカプセル詰め込んで…。

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