「組織開発」を始める前にマネジメントの持論をチェック!
自分の考え方のパターンを知る
まずは、組織開発について皆さんがどんな持論を持っているか、以下のモデルで考えてみましょう。
大男1人と、老若男女3人のチームが綱引きをします。3人の体重の合計は大男と同じです。さて、どちらが勝つでしょう? そしてその理由は何でしょうか?
「大男が勝つ」と思われた方は、個人の力が発揮されることが好きだとか、個々の人材を重視されているといったタイプかもしれません。
また、「3人が勝つ」と思われた方は、組織の力を信じているとか、チームの創意工夫で補完し合える、というイメージがあるのかもしれません。
いずれにしても、人の思考における最深部には、考え方のパターン=メンタルモデルがあります。
マネジメントの持論、マクレガーの「X理論・Y理論」
それを分かりやすく提示してくれるのが、マクレガーの「X理論・Y理論」です。
X理論は、「人は生来怠け者で、自分で決断したくないし、責任は回避したがる」という考え方です。これに対しY理論は「働くことは苦ではない」とか、「人は自ら意思決定をして責任を引き受ける能力がある」といった考え方です。
この理論は「XとY、それぞれに属する人がいる」という分類先行ではなく、全米の企業マネージャーに対して行ったインタビューの蓄積から人間観、マネジメントの持論を抽出したものです。X理論は性悪説で良くない、Y理論は性善説で好ましいという価値判断ではありません。
そして、X理論の上司にはX理論の部下がつき、Y理論の上司にはY理論の部下がつく、「類は友を呼ぶ」法則が働くということも言われています。
“プロセスの良し悪し”が組織力を引き出す鍵になる!
また、パフォーマンスの方程式というものもあります。本来のチームの生産性に、一緒に働くことで起きる相乗効果=“プロセスゲイン”を加え、チーム内に軋轢が生じ、考えや動きがまとまらなくなってしまう“プロセスロス”を減算したものがパフォーマンスである、というものです。
ここで思い出していただきたいのが、綱引きのモデル。大男に対して、3人のチームが生み出すのはプロセスゲインか、プロセスロスか。ご自身のイメージにどのような傾向があるのかを分析しながら、今一度、考えていただきたいと思います。
あなたの持論はどちらでしょうか?
3人のチーム派の方、一緒にやりましょう!
組織開発は時間が掛かりますが、それだけに効果も大きく、他者の模倣が効かないので差別化が長持ちします。経営者の忍耐が求められるので、持論に逆らってまではお勧めしません。
いずれにしても、良い会社かどうか、あるいは組織が充分に開発されているかどうかは、社員の能力をゲイン(増幅)させるのかロスさせるのかという点で判断されていくのではないでしょうか。
今はコロナ禍によって、一時的に求人が少なくなっています。しかしコロナが収束すれば、また需給関係は元に戻るでしょう。その熾烈な競争の中で、プロセスゲインの起こる会社、働くことで自分の能力が十二分に発揮できる会社が選ばれるのではないかと思われます。
こうした効果は小さい会社であればあるほど出しやすいはず。ぜひ一緒に力を合わせ、プロセスゲインが起こる会社をチームビルディングや組織開発で作っていく機会があれば嬉しいです。