CHANT! CHANT! CHANT!
チャント(英語: chant)とは、一定のリズムと節を持った、祈りを捧げる様式を意味する古フランス語に由来する言葉である。(中略)スポーツ全般における応援歌のこともチャントと呼ばれている。-Wikipedia
このTシャツは、ジョン・ライドンのプロジェクトPublic Image Ltd.(PiL)へのオマージュをテーマにした、Undercover2009年コレクションのうちの一点である。前面に大きくプリントされた「CHANT! CHANT! CHANT!」の文字は、PiLのセカンドアルバム『Metal Box』に収録された曲、“Chant”からのフレーズだ。そしてその文字の下には、唇に人差し指を当てる女性の口元の写真が意味深に添えられている。「黙れ」とでも言わんばかりに。
PiLの“Chant”は、歌詞の内容も含めサッカーとはまったく関係のない曲だが、四つ打ちの重たいリズムの上で呪文のように“Mob, War, Kill, Hate”(または“Love, War, Fear, Hate”?)と延々リフレインするコーラスは、サポーターの清濁入り混じった情念が「チャント」として鳴り響いているかのように聞こえなくもない。そう感じるのは僕だけかもしれないが。
さて、FC東京のホーム・味の素スタジアムで、選手入場の前に流れる“You’ll never walk alone”。いつもなら、青赤のマフラーを掲げたサポーターの大合唱がスタジアムを覆うところだ。しかし今は、スクリーンに「✗ 声を出す 心の中で歌ってください」と大きく映し出され、スピーカーからは「録音された歌」が擬似的に流れている。そしてスタンドにいる人々は、皆口を噤み、じっとそれを聞いている…。その光景は、奇しくもこのTシャツに描かれたビジュアルそのものだ。スタジアムが生々しい熱狂のチャントを失ってから、早一年が経過した。
「チャントは死んだ」? いや、そんなことはないと信じたい。
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ちなみにジョン・ライドンは、生粋のガナーズ(アーセナルFC)サポーター。かつてのWenger Outの急先鋒(苦笑)。
「サッカーの試合は怒りや攻撃性を解き放つのにちょうどいいんだ。なぜならどでかい暴動もたった数分で終わるからね」ー John Lydon『I Could Be Wrong I Could Be Right』
まさに彼らしい“Anger is an energy”なコメントです。
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