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新型コロナの緊急事態は本当に明けるのか

2021年1月1日から6月30日までの181日間のうち、東京で緊急事態宣言が発令されていなかった期間は、たったの51日間だった。
2021年上半期の3分の2以上が、緊急事態宣言の発令下となっていた。

※東京都に発令された緊急事態宣言の期間:2020.4.7-5.25(1回目)、2021.1.8-3.21(2回目)、2021.4.25-6.20(3回目)

2020年4月7日に緊急事態宣言が初めて発令された際には、とてつもない緊張感があった。
新型コロナウイルスの感染力はどのくらい強いのか、空気感染をするのではないか、かかってしまった時の危険性はどうなのか、若くても突然死するんじゃないか。不安が噂を呼び、皆が混乱をしていた。
2020年3月29日には、志村けんさんという、日本人なら誰もが知る有名人が新型コロナウイルス感染症の合併症により亡くなり、とても身近に危険が迫ってきていると感じた。

1回目の緊急事態宣言下の期間は、私自身も一切の人との接触を断った。2か月間、仕事とプライベートの両方で誰とも会わなかった。
スーパーでの生活必需品の買い出しすら恐れ、昼夜逆転した生活を送り、利用者の少ない深夜3時に24時間営業のお店に出向いていた。運動不足解消のために、誰もいない暗い街を歩いた。外出して帰宅したら、部屋に入る前に必ずシャワーを浴び、着ていたものはすべて洗濯をした。気づいたら約3週間、日の光を浴びていなかった。

緊急事態以外のナニモノでもなかった。

だが、2回、3回と緊急事態宣言が発令されるうちに、自分も含めた世の中の意識が変わっていったように感じる。

緊急事態宣言が発令されている状況を特別なモノだと思わなくなった。
宣言下であっても、友達と会うことがあるし、普通に昼間に買い物に行くし、運動のためにジムにだって通う。繁華街には人が集まるし、駅の利用者だって多い。
コロナウイルスは飛沫感染をするのだから、正しくマスクをつけること、手洗いうがいをすることなど、基本的な感染対策が効果的なことがわかり、人々がウイルスを前ほど恐れなくなった結果だと思う。

メディアは、そのような人々の変化を「気のゆるみ」や「自粛疲れ」と表現することがある。
確かに2020年4月の状況と比べれば、人々の気持ちも行動もゆるんでいるだろう。

でも特別なことをずっと続けるのは無理だ。
限られた短期間だったから、普段以上に頑張ることもできたし、我慢することもできたが、現状では何度も緊急事態宣言が延長され、感染が収束する見通しも立っていない。少し収束してもまたすぐに感染が広がり、宣言が再発令される。

「皆さん、今だけは我慢の時です」と呼び掛けられることがあるが、これ以上を求めるのは無理ではないだろうか。

「気のゆるみ」が指摘されている一方で、新しい習慣が浸透してきている。
飲食店の営業時間は短いし、夜遅くまで遊び歩くことがなくなった。大人数で集まって飲み会を開くことがなくなった。家族の時間を大事にするようになった。日常生活ではもちろん、呼吸が苦しくなる運動をするときでさえ、外出時にはいつでもマスクをするようになった。マスク会食をするようになった。スーパーやコンビニをはじめとする、すべてのお店で入り口に検温と消毒用アルコールが設置されるようになった。

気がゆるんでいると言いつつも、人々の意識や常識が変わり、基本的な感染予防対策が社会に根付いてきているように思う。

新型コロナウイルス感染症の感染防止対策をするにあたって、一番影響を受けているのは、飲食業界である。営業時間の短縮や、酒類提供の制限など、多くの制約を課されていて、風当たりの厳しい状況が続いている。
私は自身でグルメブログを運営するくらい、食べ歩きが大好きで、お気に入りのお店を数多く持っているが、閉店に追い込まれてしまったお店も少なくない。

国や地方自治体から支援金はでているものの、そんなはした金では足りないという声も多く聞こえてくる。国が出した規制に従っているのだから、支援をしてもらって当たり前、というのは確かにそうだ。好きなお店には末永く営業してほしいので、なるべく頻繁に利用したいし、応援もしたい。

でも、飲食店が新型コロナウイルス感染症の感染拡大のやり玉にあげられてから、もう1年近くも経つ。
コロナの影響を受けて、テレワークが進み、企業の首都圏離れが起こり、良くも悪くもこの1年ちょっとで、時代が何倍ものスピードで進んでしまったように思う。
これからまた、2020年春以前の世の中に戻る保証はない。

飲食店には、確かに風当たりが強いかもしれない。
だが、時代に合った新しい需要にこたえ、新しいビジネスチャンスをつかんでいくべきなのだと思う。

マスクがこんなに売れるなんて、UBEREATSがこんなに流行るなんて、誰が想像しただろう。

このパンデミックが人災だったのか、天災だったのかはわからない。
収まった後に世の中が元に戻るのか、そもそも感染が収束することがあるのかすらもわからない。

私たちは、こんな時代に生まれてしまった。
こんな時代の中でも、新しい生き方を受け入れて強く生きていかなくてはならない。





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