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MuseScore4のプリベンドとチョークダウン

原案 三島ゆかり
筆者 抹茶金魚

今回は、MuseScore4でチョークダウンを記譜する際のtips記事です。
また、ギター初心者やDTMで実際には演奏しない方に向けた内容になっています。

MuseScore4のギターパレットにあるベンド記号のうち今回は、標準のベンド装飾音符ベンドプリベンドを取り上げます。






この記事での用語の定義


音程を上げる奏法:「狭義のチョーキング」=「チョークアップ」
音程を下げる奏法:「チョークダウン」

「広義のチョーキング」=「チョークアップとチョークダウン」=「MuseScore4の用語のベンド」

用語としてチョークアップは紛らわしいので無視します。




そもそもベンドとは?


はじめに奏法のおさらいをしておきます。

ベンドチョーキング)は、メロディを押さえる指で弦を押し上げることで、弦の張り具合を変えて音を高くする奏法です。
動作としては、弦を指で押さえた状態でその指を、フレットと平行(天井方向)に押し動かして弦の張り具合を変化させます。
(もう少し細かく言うと、親指をネックの縁に掛けて支えにしつつ、弦を押さえている指以外の指も添えて弦を押し上げる助けにして、グイッと弦を動かします)

音程の変化をメロディを押さえる指で行うので、一度のピッキングで鳴らした音を変化させることが出来ます。
つまり、音を鳴らすのと同時に、もしくは音が鳴っている最中に弦を指で押し動かす動作をすることをベンドチョーキング)と呼びます。

では、ベンドチョーキング)は音を上げるだけの奏法なのか? 下げることは出来ないのか? というと下げることも可能です。
ただし、音を上げる場合とはやり方が少し異なります。
音を下げたい場合には、弦を予め押し上げておいてからピッキングし、それから弦を元の位置に戻します。
これをチョークダウンと呼び分けます。

つまり、チョーキング(広義)という奏法の一種としてチョークダウンがあるのですが、単純にチョーキング(狭義)と言った場合は音を上げる奏法を指すことがほとんどになります。

そして、チョークダウンする際の「予め弦を動かしておく」動作のことをプリベンドと呼びます。


MuseScore4では、「予め」弦を押し動かしておく「瞬間」の動作をするプリベンドに比重を置く形でチョークダウンを記譜します。

以下で、チョークダウンの記譜の仕方について解説していきます。




チョークダウンの記譜


これから説明する記号の、五線譜での見た目の特徴は、以下の通り。

・標準のベンド
音符と音符を繋いでいる、山型もしくは谷型の記号。
前打音のような表示は付かない。

・装飾音符ベンド
音符それぞれに、前打音のように付けられるもの。
括弧なし。

・プリベンド
音符それぞれに、前打音のように付けられるもの。
装飾音符ベンド記号に似ているが、括弧が付く。


(注意:ここからは奏法の名称と区別するために、MuseScore4の記号については「プリベンド記号」というように、~記号と表記します)


音が下がる箇所で通常のベンド記号が赤く注意喚起される


チョークダウンは標準のベンド記号を使いますが、上の画像のように高い音から低い音への標準のベンド記号のみ赤で注意喚起されます。
画像にはありませんが、低い音から高い音への標準のベンド記号の場合はこのような注意喚起をされることはありません。

この、注意喚起されている標準のベンド記号の先頭にプリベンド記号をつけると、

プリベンド記号で注意喚起が消える


注意喚起がなくなります。

チョークダウンしたい箇所つまり音が下がる形で変化する部分に標準のベンド記号だけを書くと注意喚起されますが、そこにプリベンド記号を事前に付加すると注意喚起が消えるという仕様のようです。


補足

赤い注意喚起を消したい場合、プリベンド記号を単純に付けるのではなく、下の画像で青矢印が示している二つの音符を同じ音程にする必要があります。

青矢印の二音の音程が違うと赤いまま


上の画像の二小節目、一つ目の標準のベンド記号は青矢印の示す二音の音程が異なるため赤く注意喚起されていますが、二つ目の標準のベンド記号は音程が同じなので注意喚起されていません。

チョークダウンするにはその前に、弦が押し上げられている必要があり、押し上げる前の位置、つまりダウンして戻される弦の位置を事前にプリベンド記号で表しておく、ということです。


注意喚起は編集画面で表示されるだけで、公開タブやエクスポートした画像では表示はなくなりますし、再生も普通にされます。
ただ、きちんと記譜するときれいで分かりやすい楽譜になります。
お困りの方はお試し下さい。




各種ベンド記号の使い方のおさらい


(注:五線譜での表記になります)

・標準のベンド
音符と音符を繋ぐ山型もしくは谷型の記号。
上がる音でも下がる音でも繋ぐことが出来るが、下がる場合(チョークダウン)はプリベンド記号を併用しないと赤い注意喚起表示が出る。

・装飾音符ベンド
例譜の一小節目の最後の音符についているもの。
括弧なしで、前打音のように表示されているミニ音符の音が鳴る。
前打音もどきの部分が、ベンドのいわゆる「シャクレた」音の入りの音になる。

・プリベンド
例譜の二小節目の、装飾音符ベンドに括弧が付いた形のもの。
前打音のように表示されているミニ音符の音は鳴らない。
通常のベンド記号で下がる音を繋いだ場合に併用してチョークダウンを表す。
通常のベンド記号と併用せず、これだけを用いた場合、ミニ音符が鳴らないので音としてはこの記号を付けない時と同じ音が鳴る。




完成!

いえーい!




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