
はるきLPは読み解こうとすべき!「心のありか」とは?
コメティックLPが面白い!!
でもはるきLPはムズい!!!
私は初見でこんな感じでした。オートで読んでいましたが解釈が追い付かず、どこか分からないままお話を読み終えた感覚があったと思います。
コメティックの登場から1年と3ヶ月、比較的ハイペースに実装され物語の展開も早かったですが、はるきのコミュは(ベクトルは違えど)霧子のコミュ並の難しさがある気がします。
どこかでもお話があったと思いますが、難しいお話に対して万人がリソースをつぎ込んで読み解こうとするわけではありません。そのお話に対して「打てば響く」という信頼がなければちゃんと考えて自分なりの結論を出そうとはしないと思います。
私ははるきLPをぜひとも読み解こうとすべきという立場でこのnoteを書くに至りました。それは「打てばびっくりするほどたくさん響いた」からです。
自分なりに結論を考えて出すまでがはるきのコミュの(はるきらしい)魅力なのかとすら思いました。
はるきLP感想という意味では既に素晴らしい先駆者様のnoteがありながら、それでもこれを書くに至ったのはそのためです。
このnoteもあくまで参考、各々が自分なりの結論を出してそれを大事にするための一助になってもらえれば幸いです。
はるきの心の目標
はるきは以前、X(ツイスタ?)における「#コメティックに質問」という企画の回答として以下のようなことを語っています。
木の実がいっぱいとれる
— シャニソン公式【好評配信中!】 (@imassc_prism) August 1, 2023
孤島に住む画家さんになりたかったです
昔読んだ本でそんなおばあさんが出てきて
いいなって思ったんです#郁田はるき#コメティックhttps://t.co/1uh2j1R2Rp
そして今回のLP冒頭、離島ロケのシーンでも「子どもの頃の憧れ」として同じように語られます。

郁田はるき実装前である1年半ぐらい前のやり取りがLPの話にまで繋がってくるのは流石というところですが、当初「子どもの頃の憧れ」としてはるきが語っていたこの内容は、結局のところ今のはるきにとっても「なりたい姿」として心の目標になっていることがのちに分かります。

恐らくは幼い頃からずっと、はるきの創作のベースとしてはるきの心の中にあり続けたのがこの「昔読んだ本に出てきた画家のおばあさんの暮らし」ということなのでしょう。
正確には幼少期のその他もろもろの経験や感覚も含めて創作のベースになっているのだと推測できますが、はるきの思い出としてはそれらを代表してその本が第一に思い浮かぶのだと思います。
はるきの衝動と創作

はるきは幼少期、何らかの事情で入院していたようです。
その際、「何かしていないと怖い」という理由で一心不乱に絵を描き続けていたようなのですが、ここでははるきと周囲の人々で少し錯誤が起こっています。



医者・看護師:「家族に会えないので」何かしてないと怖いと思っている
はるき:「創作意欲が溢れすぎて」何かしてないと怖いと思っている
こうして書き出すとエンタの神様でアンジャッシュが出ているときの余計なテロップみたいですが、要は看護師たちにとっては寂しさを紛らわせるためにひたすら絵を描いているのかと思わせて、はるきにとっては衝動を形にしないと失くしてしまいそうなのでひたすら絵を描いていたということでした。

そして、幼少期から今に至るまではるきはずっと衝動ばかりを追いかけて行動してきたということも語られました。
そもそもはるきのアイドルという道は、たまたま会ったシャニPの言葉に惹かれて衝動のままに行動した結果始まったのですから、納得のいく部分もあります。
「失くしたくない恐怖」が創作のモチベーションになることは何かを創っている人であれば共感しやすいかと思いますが、今回のお話はその部分に手を突っ込んでいるように感じます。
はるきの抱える問題①
先ほども言った通り、LP前の時点ではるきがアイドルをしているのはあくまで自身の衝動に任せた結果で、はるきが幼少期から繰り返している衝動と創作のサイクルにたまたまアイドルが組み込まれたというような形です。
このことは、以下のようにWINGの時点で既に語られています。

このときはシャニPが「それでもはるきには同じオーディションの場所に立つ資格がある」「はるきはアイドルになるためにちゃんと考えてくれている」という旨を伝え、一旦ははるきも納得します。
ただ、それでもはるきが同じように衝動に突き動かされて創作することを繰り返し続ける以上は、結局のところそれゆえにアイドルという道から外れる可能性はあり続けるという問題が依然残り続けていたのです。

はるきの抱える問題②
はるきはWINGの頃から「一番大事にしているのは自分のこと」であると認識しています。

LPのお話を通して考えてみると、この「一番大事にしていること」とは、「昔読んだ本に出てきた画家のおばあさんの暮らし」のイメージに表されるはるきの心の目標であると推測できます。
はるきの衝動自体も基本的にはこのイメージを根源として湧き出ているものだと考えられますし、それによってはるきは今まで様々な創作をしてきました。
ただ、はるきはそうやって行った創作によってその心の目標に近づいている実感がほとんどなかったようです。
穏やかな夢に対し苦労や空回りの連続で、とても近づいているようには思えなかったと。
だからこそ自分の創ったものに対して興味を持てなかったようです。


はるきの本当の目的は心の目標に近づくことだったのに、いつの間にか衝動に任せた創作を披露して喜んでもらうというところに収まっていた。
このズレがはるきから「引力」を失わせており、心の目標に近づいているという実感のなさが「手に何も残らない」「どこか遠い世界のことみたい」という感覚に繋がっていたようです。


このこと自体はるきが生きていくうえで重要な問題だと言えますが、LPを読み終えてみると、この問題にはるきが気付いたのがLPになってからであるということが最も大きな問題だったのかなと思います。
いつからはるきがこの状態になっていたのかはわかりませんが、友人との会話から高校一年生の頃には既に自分の創っていたものに対する興味がなかったようです。はるきの口ぶりからすると、本当に幼い頃を除いてずっとそうだったのではないでしょうか?
そんなはるきの人生そのものに根付く問題に対し、シャニPが解決の糸口を与えます。
シャニPが伝えたこと
はるきLPにおいて最も重要なのが5つ目の「いたいんだ」というコミュでしょう。
コミュ名のズルさもさることながら、ここでシャニPがはるきに伝える内容が凄く絶妙だと思います。
はるきの悩みの繊細な部分を的確に捉えて、決して押し付けない形ではるきの心を解きほぐしていきます。

ここまでではるきが抱えていた問題は以下であるとしました。
衝動に任せるだけの生き方ではアイドルという道から外れる可能性がある
創作によって心の目標に近づいているという実感が得られていない
まず2の問題である「実感のなさ」について、シャニPが切り込んでいきます。

そもそも、穏やかな夢をもつ者がそこに至るための道筋は決して穏やかなものばかりではないのだと。
目標に至るまでの道程は予測不能で、やってみないと分からないことだらけ、苦労や空回りだらけで当然なのだと。
また、今までのはるきの衝動に任せた創作の繰り返しについて、はるきは「なくなってしまう」と表現しますが、シャニPは「なくしてないよ」と返します(選択肢のひとつですが)。

これらは、シャニマスの他のコミュにもよく見られる「過去の肯定」の一種なのかと思いました。
はるきが意味の無かったものとして興味を持てなかったこれまでの創作にも確かに意味があり、気付いていなかったとしても確かに心の目標に辿り着くための道の上にいる。大切なのははるきがそれを自覚することだ。
というような内容であると捉えています。
はるきがこのことを本当に自覚できたなら、「実感のなさ」という2の問題は解決できるでしょう。
これを受けて、はるきが返した言葉は「選びたい」というものでした。

これに関しては、
望んでいるもの(心の目標)に向かう道の上にいると自覚できたから、これから先に進む道は自分で選びたい。
というような内容であると捉えています。
この「選びたい」とは、今までのように衝動に任せるのではなく、きわめて自覚的に選んでいきたいということなのだと思います。
そう決心して初めて「選んだ」のが、(これからも)アイドルとしてシャニPとともに進んでいくという道でした。

ついぞ「アイドルでいてほしい」とシャニPからお願いをすることはなく、はるき自身の選択としてアイドルでいるという道を選び、1の問題も解決されました。
心のありか

「心のありか」とはシャニP(?)がLP最終盤にモノローグで語った言葉で、私はこれを
自身の目標に向かうためにどうしていくか、どうしていきたいかというきわめて自覚的で選択的な意志や覚悟
のことであると捉えています。
前項で言及したアイドルとしてシャニPとともに進んでいくという決断がそれにあたり、この「心のありか」を定めることで表面上の行動(絵を描くことや表現をすること、そしてアイドルをすること)自体は大きく変わらなくても、その覚悟によって「引力」を持たせられるようになるのだと思います。
また、同じモノローグで「望めば どこまでも広がる」と言うように、はるきの心の目標は以前の「昔読んだ本に出てきた画家のおばあさんの暮らし」のイメージから大きく拡張されていました。

以前のイメージでは「幸せな場所」だけだったでしょう。目標そのもののイメージも、そこに至るまでのロードマップも明確化されつつあるということでしょうか。
はるきのイメージはこれで終わらず、最後にはこのようなことも言っています。

ここまでいくとかなり壮大ですが、【桜花拾】で触れた「永遠」のイメージが強く影響しているのかもしれません。
【桜花拾】はLP冒頭のはるきのモノローグとも強くリンクしています。


いやボイス聞かないと分からないなここ…
LPを経て、はるきの幼少期の思いやアイドルに至るまでの衝動と創作、そしてアイドルになってから触れてきたたくさんのイメージがすべて集約され、「心のありか」を定めたこれからのはるきの道に繋がったのだと感じます。
そして、はるき自身が目標に向かって進んでいるか不明瞭だったのに対し、「進めているよ」と正しく今のはるきの姿を提示してくれたシャニPは、まさしくはるきの鏡であったと思います。

余談
はじめは難しく感じたはるきLPでしたが、解釈しようとすればするほど物凄く色々な味が出てくるお話でした。
きっと味わう人によって様々な味になるのだと思います。
私としてはLPを経た後のはるきのコミュが凄く見たい。pでもsでも…というか、lmeのオーディオコメンタリーがめちゃくちゃ刺さりました。
でも今日いっぱい(2/16)までしか見れないみたいです。
もし見ていない人がいたら絶対見るべきです。いやほんとに…
