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【読書会レポート】またたび文庫×bokashi「水曜よるごはん」を振り返る

またたび文庫は白老に拠点をおく本屋です。
当初は、「移動本屋」として出店やイベントを中心に活動してきました。
お店をもった現在も、ご縁のある場所やイベントへは定期的に伺っています。

その中でもいちばん濃いつながりをもっているのが、札幌市の中心部・大通駅付近にあるシェアスペース「bokashi」。

「食と循環社会を考える」をテーマに、コワーキングやイベントの運営をおこなっている場所です。代表のジュンさんは、余市の農家さんでもあります。農業や林業、教育、起業家つながりなど様々なコミュニティが行き交うスペースです。

またたび文庫×bokashiの取り組みがはじまりまったのは、2022年12月より。ほぼ毎月本をもって出店、夜はごはんと読書会イベントを開催してきました。
毎回、5名〜16名ほどの参加者とともに、ご飯を囲みながら、本についてのシェアと+αのテーマについて話す会です。

約1年半にわたる活動が積み重なり、おこなった読書会の数は計16回にもなりました。

テーマ本として取り上げた本は、食、政治、民藝、戦争、ケア、など多岐にわたります。一緒に企画をしてくれたbokashiスタッフさん、参加してくださる方々には本当に感謝・・・。

ひとりでする読書を、みんなで深めあう。そんな小さな試みについて、あらためて振り返りたいと思います。


こんな感じで毎月第四水曜に開催してます



まず、これまで取り上げたテーマ本をざっと並べてみました。


2022年12月『北海道の食』村元直人
2023年1 月『資本主義を乗り越える』内山節
2023年2月『料理と利他』土井善晴、中島岳志
2023年3月『Spectator「新しい食堂」』
2023年6月『オキナワ 終わらぬ戦争』
2023年7月『草木の聲』志村ふくみ
2023年8月『野の医者は笑う 心の治療とは何か』東畑開人
2023年9月『SNSの哲学』戸谷洋志  
2023年10月『カレーの教科書』水野仁輔
2023年11月『喫茶店のディスクール』オオヤミノル
2023年12月『地球の歩き方・フランス』『全東洋街道』藤原新也
2024年1月『山岳新校、ひらきました』
2024年2月『わかりやすい民藝』高木崇雄
2024年4月『カレーライスの誕生』小菅桂子
2024年5月『カレーライスの誕生』小菅桂子
2024年6月『能力で人を分けなくなる日』最首悟


どの回も、個人的に気になる本・bokashiという場に集まる人たちが気になりそうなテーマを扱ってきました。

どの回も、さまざまな意見や問いがうまれる濃い時間でした。
それぞれ振り返るのは別記事にまかせるとして、、、

今回は、この読書会の取り組みを通して
何がしたかったのか? について書いてみようと思います。


1.くらしを通じた、たのしい発見

『北海道の食』/『Spectator「新しい食堂」』/『カレーライスの誕生』/
『草木の聲』 /『喫茶店のディスクール』/『わかりやすい民藝』

日々無意識に口にしたり、手に触れるものが、自分の属する土地の歴史と密につながっている。そんなことを少し気にするだけで、毎日三回訪れる食事の時間にみえてくるものが違ってくるのではないか・・・・。と、思いながら企画している回です。

第一回『北海道の食』では、北海道開拓使にルーツがある郷土料理「三平汁」をつくってもらいました。10名の参加者とともに三平汁をすすりながら、開拓時代の食糧事情についてシェアする会。『カレーライスの誕生』会では、明治の文明開化とともにやってきたカレーが国民食になるまでの流れをクイズ形式でシェアしながら、カレーをたべました。
いまの食事にいたるまでは簡単な歴史ではなかったなぁ、ありがたいね・・・という話でまとまりました。


常連さんのスパイス帳とともに

2  社会的なモヤっとを昇華させる

『料理と利他』/『SNSの哲学』/
『資本主義を考える』/『山岳新校、ひらきました』

自炊へのプレッシャー、SNSに感じる空虚さ、消費サイクルの早い資本主義社会への疑問。よく目にする「モヤモヤ」かもしれないけど、実際に場にいる人たちに投げかけてみることで、自分の大切にしている感覚が言語化されます。そしてちょっと面白いアイデアが生まれた瞬間も・・・。

『SNSの哲学』回では、文脈をはき違えた解釈をされてしまうSNS発信の宿命を、本から理解しました。色々感じていることをみんなで話したあと、とある参加者からこんな意見がでます。「五七五限定の川柳SNSがあればいいんじゃない?」これには満場一致で笑いと納得!発信する側も創造力であそべ、解釈はご自由にどうぞスタイルですね。未来のSNS、ここに誕生してしまいました。


文字コミュニケーションって気遣うよね、の例

  3.脆い人間の性を、みつめなおす

『オキナワ 終わらぬ戦争』/『野の医者は笑う 心の治療とは何か』
『能力で人を分けなくなる日』

ニンゲンはすばらしい、だけじゃなく、残酷な過ちをおこす存在でもあります。悲惨な戦争や、いのちの軽視から生まれる事件は、未だなくなりません。そんな人間存在をどう解釈し、自分のなりふりを見つめていくか・・・について、話あった会でした。

『能力で人を分けなくなる日』回では、「どのような思考の流れから、純粋な”向上心”が他者を蹴落とす”能力主義”的な価値へ転化していくのか」、「障害者をどう捉えるか・・・仙台四郎や輪廻の話から」などさまざまな話題が飛び交いました。
これらの話題については口が重くなりそうな感じもしますが、結構自由な発言が多いです。間違いだと思ったら訂正したり、わからなかったら質問することができるから。
たとえばS N Sだと誤解されかねないことでも、きく姿勢をしっかりもったリアルな場だと、拙くとも、真意を言葉にするチャレンジができます。より深いところにある問いや、本音が生まれてくるのがこの角度のテーマといえそうです。


声がつまったホワイトボード

まとめると

この会を続ける理由は、毎回生まれる問いや発見が楽しいからです。
ひとりでは見えてこない世界の扉が、誰かとリアルで集まることでひらける。そんなマジックが、人との交わりの中に存在しているのです。

私自身が読書会を通じて、バラエティゆたかな交流の場を楽しませてもらっています。大きな社会にむかってこれを伝えたい、とかはありません。ただ、思っていることを言葉にし、同じ場を共有するあなたの話を聞いて、良い時間を過ごしたいのです。ただそれだけの時間が大切だということを皆と共有しているから、続けられるのだなぁと思います。

今月7/24(水)のぼかし出店は、このような読書会を振り返る回をおこないます。詳細は以下に・・・
ぜひ、奮ってご参加ください。

「水曜カレーと本」 〜またたび文庫×bokashiコラボ総集編〜
●テーマ 「全16回!これまでの読書会で出た問いを振り返る」
●日時 7/24(水)18:30-20:00 ごはんのあとにはまたたび文庫の本を購入する時間も設けております。
●定員  20名程度(事前予約優先)
●参加費  事前予約…一般¥1,500 学生¥500 (申込はまたたび文庫のDM・コメントにて)
●場所 bokashi Base
札幌市中央区南二条西1丁目7-1 二番館ビル2階 入り口より2階にお上がりください


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