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歩き遍路の記録_35【36番青龍寺〜土佐久礼】

2024年5月1日  区切り遍路4日目
前回の遍路はこちら↓

この日は朝からひどい雨だった。
バケツを引っくり返したような雨。
折角太平洋が眺められるところに来ているのになんでこう雨ばっかり降るんだろう。鬱陶しい。

しかし雨は何度か経験したが小雨ばっかりだったので土砂降りは初めてだ。
「最悪…」と思いながらひとまず朝食を摂る。

色々なご飯のお供が並んだ朝食。
彩りとか品数が良いので昨晩の食事よりなんだか良さげに見える。

酒のアテっぽいご飯のお供

食後身支度を整えチェックアウト。
ロビーでレインポンチョと雨カバーを付けた菅笠を被っているとロードバイクのジャージを着た中高年のご夫婦に「今日はどこまで行くの?」声をかけられた。

「土佐久礼で泊まる予定です」と答えたが、岩本寺の手前?歩きって進まないのねと言われる。
そちらはどこまで?と聞くとたしか足摺岬まで行かれると言っていた(そんなとこまで行けるのか…とびっくりしたのを覚えているが正確には覚えていない)。

お互い雨なのでお気をつけてと言ってそれぞれ出発。
旅館のスタッフさんにも見送っていただき今日の遍路をスタートさせた。

さて青龍寺から須崎市へ行くには複数ルートがある。
①宇佐大橋まで戻って湾の海岸線を行く
②横浪半島・横浪黒潮ラインで行く
③浦ノ内湾を須崎市市営巡航船で行く
の3種類だ。

今回私は旅程を決める段階から巡航船に乗ることにしていた。

須崎市 巡航船

だって巡航船なんて日常に無さすぎて乗ってみたかったんだもの。

17kmほどの距離を船でショートカットすることになるが、これも一応遍路道ということらしい。上に貼った巡航船のページ内にもそう書かれている。(ラドンもそうだそうだと言っている)

巡航船に乗るために宇佐大橋へ戻って「埋立」という船着場に向かう。
ものの数分で靴の中がびっちょびちょだ。
私のシューズはGORE-TEXでもなんでもないランニングシューズに防水スプレーをふっかけただけなので雨に対する防御力は0。靴下まで濡れてしまった。
もう足首から下、乾いているところが一切ない状態である。
というかボトムの裾もびっちゃびちゃなので脛より下がびっちゃびちゃだった。

船着場に着いた。
出発時間にはまだ少しあったので待合室に入る。
遍路の先客がいた。
モンベル白コーデの男性遍路さん。

ここでは仮に白モンベルさんと称する。
白モンベルさんは本来歩く予定だったが雨が酷いので巡航船に変えたそう。
今日はどこまで行くとかこれからどうするなどの話をする。
すでに遍路を何周かしている様子だった。私の予定も聞いてくださり今後のルートなどのアドバイスも貰った。

しばらくして船員さんから出発を知らされる。
船に乗り込むと既に他の遍路が二人乗船していた。

ちなみにこの人はモンベルさんではない

遍路を4人乗せて船は出港。10時5分の便。
これから浦ノ内湾を約50分かけて進んでいく。

船内からの眺め

湾内は複雑に入り組んでいる。
船は終着地の横浪までの間に5か所の船着き場を経由するので湾内をくねくねと進んでいく。
船着き場に船が近づいても乗客が待っていないと分かれば着岸せずそのまま行ってしまうようだ。どうやって待ち人の有無を確認しているのだろう?
それぞれの船着き場には待合室が備えられている様子だったがそこからちゃんと出て船員に見える位置にいないと乗れないんじゃないだろうか?乗り逃しそう…。

釣り船かなあ

しかしこの船、最初に乗り込んだ遍路客だけで途中乗船ないんじゃ?と思っていた。
入江の奥に船着き場がある時もわざわざ入江の奥まで行ってからUターンで引返す。

そうこうしているうちに横浪の船着場に到着し下船となった。
結局乗客は最初の遍路客4人だけ。
こういう地元住民があまり使わなくなっている公共交通機関って切なくなるなあ。
まあ、そりゃ自家用車の方が便利ですけどね。

下船するやで

それはそうと雨降ってて残念。
ここも晴れてたらいい絵が撮れてたと思うのに。
腹立つわあ、雨。

ばいばーい

とは言うものの小雨になっており、歩くにはずいぶん楽になっていた。
足は乾くわけもなく濡れたままだが船内で靴下ごと手ぬぐいで拭っていたので多少マシ。歩き遍路を再開する。

船着き場から1時間ほど歩いて休憩小屋で足を休める。
先に白モンベルさんが休憩していた。
白モンベルさんは巡航船に乗るつもりじゃなかったので今日は須崎市内で宿の予約があり、今から宿に行ってもチェックインできないからここで時間を潰すと言っていた。
少し喋っていると女性の遍路も休憩しにきた。
初見の方。この方とはこの時あまり話していないのだが後々またお会いすることとなる。

須崎市内に入る。
でかい工場のでかい建物に須崎市のゆるキャラしんじょうくんのイラストが描かれていた。

ちなみにこれは遍路道だと少し遠回りな上に、雨降ってるからトンネルの方がいいわ、歩道も有るし、と思って進んだ国道56号線の城山トンネル。

ついに遍路道にすらこだわらなくなってきた。全て雨が悪い。
まあでもほとんど56号線を行くのに時々脇道行く程度の指定遍路道なら別にどっちゃでもええんちゃいます?

須崎市名物鍋焼きラーメン

昼がまだだったので須崎市の名物「鍋焼きラーメン」を食す。
遍路道沿いに有名店「まゆみの店」があるので入ることにした。
平日で14時前なのもあって並ばずに入れた。

醤油の並を頼んだと思う。
スープは甘じょっぱい感じ。生卵が入ってるのもあり薄めのすき焼きみたいだな…と思った。徳島ラーメンもそう思ったけど四国のラーメンは甘じょっぱいのかも。
麺は細めで煮込まれてるのに固くて歯ごたえが有り好みだった。


昼を済ませて再び遍路へ。
しんじょうくん仕様のローソン。推すねえ。

飛び出ししんじょうくん

さてこれから先、土佐久礼に行くには焼き坂峠というものを越えなければなりません。
旧道とトンネル付きの国道があります。

もちろん国道一択。誰が旧道なんか行くか。国道じゃ国道じゃ。

このトンネル、入り口に歩行者(お遍路)のための反射タスキが置いてあった。そんなに危険なトンネルなのかとビビりながら進む。
たしかに歩道は狭い上に、車道との段差はなく、タイヤで踏むと音がなる白線が引かれているだけだ。
しかし案外中は明るく、そもそも交通量がかなり少ない。
トンネルは約1kmもあるがそれほど怖い思いをしなくてすんだ。

車あんまり走ってないから怖くなかった

土佐久礼のまちなかに到着した。
どこぞの駐車場に昭和のレトロ看板。本物かなあ。レプリカかなあ。

本日の宿はゲストハウス恵keiさん

普通の民家をゲストハウスとして使用しているタイプの宿。昭和50年代くらいの家かなあ。
男性は相部屋だったらしいけど女性は私一人だったので個室状態だった。
3,500円で超安い。ありがたい。昨日奮発したからこの値段は嬉しい。

ちなみにこの日、2日目の渡船待合室でお会いした杉本哲太似のお遍路さんと同宿だった。
実は何回か顔を合わせてた気がするけど、どこでどうだったかあんまり覚えてないから割愛しておりました。

ご飯は付かない宿なので近くの飲食店を教えてもらう。
すぐ混むから電話予約していったほうがいいですよと言われた。
GWの合間とはいえ平日に?明日も一応平日でしかもまだ5時ごろよ?と思ったけど念のため電話するとお店から「カウンターしか空いてないし、忙しくて提供遅くなるかもしれないけどそれで良ければ」と言われ、もちろんそれで承諾した。

程なくしてお店に到着。
まだ他の客はまばらだったが奥の座敷に宴会の用意がしてあった。
なるほどこれでか。

どうも近隣の役所関連か漁協かの集まりらしい。
今日も明日も平日なのにやっぱ高知県民は集まって飲むの好きなんだなあ。

なのでスタッフさんは忙しそう。ちょっと落ち着かない。
ビールとカツオのタタキの盛り合わせとお寿司を頼んでさっさと食って退散。
ここのタタキも美味しかった。

部屋に戻って寝る準備をしていると隣の部屋の話し声がうるさい。
若い二人組の遍路らしいが、部屋を仕切るものが襖だけなんだから小声で話してほしい。

サンダル遍路がどうのこうのと聞きたくないのに聞こえてきた。ああそうですかすごいですね。静かにしてほしい。
関東のイントネーションでツッコミを入れているのが関西人の私には不快感がすごい。ああ〜関東人のツッコミきもい〜〜〜。静かにして〜〜〜〜。

「静かにしてください」って言いたかったけどこういう場所でトラブルも嫌だしねえ。
ちなみにオーナーはゲストハウスの隣に住んでて施設内には常駐していない。
だから注意をお願いすることもできない。(電話で連絡して注意してもらうことは出来るだろうけどめんどいよね)

皆さんゲストハウスではお静かに過ごしましょうね。

ほなまた。

旅館から船着場までのマップ

須崎市巡航船のマップです

船着場から宿までのマップ。
※上記いづれも目的地だけを指定したルートマップです。実際はこの通りに歩いていません。

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