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説明的文章はこう読む

説明的な文章を国語科で扱う際に、面白くて子供が生き生きと活動し、理解も深まるような指導の仕方があるだろうか。

元筑波大学附属小学校教諭で現在明星大学の教授をされている白石範孝氏は、長年の研究から、素晴らしい説明的な文章の指導方法を見出している。

それは、説明的な文章の構造を可視化し、論理の仕組みを明確にさせる画期的な方法だ。

小1から小6までの説明的な文章の教材の全てに通ずるこの方法は、意外と知られていない場合が多いので、「固有種が教えてくれること」(小5国語光村出版)を例に、共有したい。

ここで紹介する説明的な文章を読む際に必要な視点は、

初めや終わりにある筆者の主張、題名における問いとその答えとなる中1中2の中心、それを掴むための段落の中心と意味段落、そして全てをまとめた要旨である。

1つ1つについて詳細な説明をすると長くなるので、エッセンス部分のみ解説したい。

まず、筆者の主張について。筆者の主張は、初めや終わりに書かれていることが大半だ。また、説明的文章における題名は、要旨につながる話題の中心を表していることが多い。つまり、「問い」と「答え」で言うと、「問い」が殆どそのままの形で適用されたり、「答え」から導き出した主張に近いものがつけられたりしている。例えば、

「日本に多い固有種が住む豊かな環境を残さ(保護し)なければならない。」

と筆者が初めや終わりで主張しているのなら、これを支える答えを中1、中2より導き出せるのだ。

続いてその「中」を理解するのに必要な段落の中心と意味段落の読み取りだ。説明的文章の段落には、必ず中心がある。それを見つける方法は、

文末表現「のです。」や筆者の主張に関するキーワードに関わる一文を探すことだ。

「のです。」という文末表現は、「です。」を強調するので、筆者の考えを表すことが多く、の一文でまとめて表されることが多いからだ。「のです。」などがない場合は、「つまり、」や「これらのことから、」「このように、」「と考える。」などを手がかりにすると見つけやすい。

さらに、具体と抽象で表されることもある。その際には、抽象で表された方を中心としていく。例えば、アマミノクロウサギと固有種であれば、アマミノクロウサギを守るべきか、固有種を守るべきかで考えて、当然アマミノクロウサギ以外の天然記念物等も含んだ固有種の方が多くを包摂しているので大切になる。
そして、その抽象で表された「固有種」などの言葉は、筆者の考えの中心に置かれていることが殆どだ。だから、最も効率よく要点を掴みたければ、筆者の考えの中心をまず見つけて、そこに使用されるいくつかのキーワードを先に洗い出すことだ。例えば、

「日本に多い固有種が住む豊かな環境を残さ(保護し)なければならない。」

と筆者が初めや終わりで主張しているのであれば、これが最も大きな主張となるから、それに含まれている、

日本、固有種、環境、残す(保護)

などがキーワードになる。これらを引っ提げて各段落の中心を探していくと、先程の

「のです。」

なども合わせながら比較的簡単に要点を掴める。

要点が掴めると、中がいくつかに分かれていることに気付くことができる。要点の話題に繋がりがあるからだ。
それを繫ぐのが、各段落の要点部分だ。要点を見ていくと、その中のキーワードとなる主語が連鎖することが分かる。それらが連鎖する部分が、中1などとしてまとめることができる。主語が変わり、別のキーワードが連鎖してくると、それを、中2などとしてまとめることができる。例えば、「固有種が教えてくれること」の中1の要点を見ていくと、「日本」「大陸」「分断・分かれる・切りはなされる」などという話題が連鎖している。これをまとめて「日本列島の成り立ち」とも述べている。中2の要点を見ていくと、「日本」「環境」「保護」などが連鎖している。
ここまでくると、筆者の“主張”を裏付“考え”の中心が見えてくる。つまり、「固有種が教えてくれること」は何かということだ。中1から得られたことは、

固有種が生物の進化や日本列島の成り立ちについて教えてくれる。

ということで中2は、

固有種がいるということは、日本の豊かな環境が保護されているということを教えてくれる。

ということだ。

ここまでくれば、後はそれらを組み合わせて要旨とすることができる。

つまり、中1中2より得られた中心と筆者の主張の中心を組み合わせてつなげるだけである。



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