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なんで四捨、五入なの?

小学4年生の算数で出てくる「がい数」の学習です。
教科書では、◯の位までのがい数や、上から◯けたまでのがい数について扱い、たし算などの計算に発展していきます。

がい数と言えば、「四捨五入」をして処理をすることが普通です。

子どもたちは、割り算の筆算の学習で、商を立てる際に何十という見方をするために一の位の数に注目してどちらに近いかと考えた経験があります。だから、なんとなくやり方は分かるのですが、どうしても、「四捨五入」という考えには至りません。

多く見られる考えは、例えば30か40のがい数にする際に、34から下(34、33、32、31、)は30となり、36から上(36、37、38、39)は40になるというものです。

これには子どもたちも納得です。どちらも平等だからです。
そうすると、当然生まれる疑問が出されます。

じゃあ35は?

30かな?40かな?

子どもたちは何と言うでしょう。


すると、何人かの子が
「35は35できりがいいからどちらにもならない。」
と言ったり、
「割り算の時のように、35はどちらでもいいんじゃない?」
と言ったりします。中には既に四捨五入を知っていて、「40だよ!」と言っている子もいます。

そこで、「四捨五入」というやり方があって、これがもっと適切にがい数にすることのできる方法であることを伝えます。

そうすると、「なんで5が上に入る(切り上げ)の?」と多くの子が疑問に思う。

「では、どうしてなのか考えてください。」


と投げかけてみます。

これを読んでくださっている皆さんも考えてみてください。





分かりましたか。


意外と子どもでもすぐに浮かぶ考え方が、
123456789ではなく、0123456789と見る方法です。
数直線にしてみると、35は、30と40真ん中に来ます。ところが、よく考えると0から0までと見たときに真ん中が5になるのであって、実際には0から9までで一まとまりです。そのことから、
01234
56789
と小さい方と大きい方に5つずつにわけられ、5が大きい方に入ります。



ここから、さらに一歩踏み込んで考えてみると、あることに気づきます。

0、1、2、3、4それぞれを2倍してみましょう。
すると、0、2、4、6、8となります。

5、6、7、8、9も同様に2倍してみましょう。
すると、10、12、14、16、18となります。

切り捨てられる数は2つ集まっても繰り上がらない数で、切り上げされる数では2つ集まると繰り上がる数であることが分かります。

当たり前といえば当たり前ですが、これは、がい数にする数が複数あり、それらを用いて計算する際に重要です。繰り上がらないもの同士だから小さく見積もった際に実際の数との誤差を少なくすることができ、繰り上がるもの同士だから大きく見積もった際に実際の数との誤差を少なくすることができるのです。繰り上がらないものと繰り上がるものでの計算であれば、互いに補完する形になり、これは大幅に誤差を少なくすることができます。

この仕組みがあるおかげで、がい数を用いて計算をした際に、がい数でない正確な数値の答えから大きく乖離することがありません。

私たちは日常で「四捨五入」を用いたがい数を頻繁に利用していますが、それは「四捨五入」の仕組み自体が優秀な機能を備えているからなのでしょう。






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