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ダイソンV11(SV14)の再生

◆ダイソン? 大損?

吸引力の変わらない掃除機を訳あって入手しました。
と言っても故障して動かないジャンクです。
購入価格は3000円。
本体とフラッフィーノズル、延長パイプ、バッテリーの基本セット。
軽く清掃済みとのことでしたが、まあ、それなりに汚れていましたね。

なんで故障して動かないジャンクを? と思うでしょうが、ダイソンってメチャクチャ高いですよね。こんなに高いのに、オークションなどでは結構な確率で故障品が流通している。
何でこんなに故障品が多いのかな? とその原因を探ろうと言うわけです。
良くある故障はトリガーレバーなんですが、それ以外にモーターが動かない個体が多い。動作中に脈打つとか、ポーンと言うだけで動作しないという物。
入手した個体もそのポーンというだけで動かないという物でした。

◆モーターを取り出し

まずは分解ですが、分解方法は検索すればYoutubeなどで詳細な分解方法が多数ヒットするのでここでは省略。
↓ まあこのあたりがやってることも同じですし、わかりやすいです。


はい、コイツが悪名高きダイソンのモーター部です。
通常、一般的な掃除機はモーターに遠心式ブロアが組み合わされて吸引力を生み出します。

こんな感じで遠心式のブロアファンがハウジングの中で回転することで中央の穴から空気を吸い込み吸引力を生み出します。

ハウジングを外すと内部はこんな感じになってます ↓

しかし、ダイソンのモーターは筒型で一体構造となっています。
これはジェットエンジンのような構造になっていて、前側の高速で回転するモーターで後ろ側にあるタービンを回し吸引力を生み出すジェットエンジンのような構造になっているのです。

全部ばらすとこんな感じです。中央にある黒い物体がモーター本体。
ダイソンはデジタルモーターと呼んでいますが、構造的には直流の2相4極のブラシレスモーターです。

吸い込んだ空気の流れは青い矢印の通り。
モーターケースには前方と後方に多数の穴が空いており、前方から空気を吸い込み、タービンで排気された空気は整流板を通ってスポンジ状のプレフィルターを通り、後方の穴から排気されます。
空気の流れを見れば分かるとおり、サイクロンユニットで除去しきれなかった細かいほこりを拭くんだ空気が流れる構造です。

なので、ダイソンの掃除機にはこのケースの上を覆うようにフィルターが付いているんです。

このフィルターは定期的に水洗いするように書かれていますが、よーーーく乾燥させないで使うと、フィルターに含まれた水分をモーターが吸い込み、あっさり故障します。
また、このフィルターが目詰まりすると空気が清浄に流れなくなりモーターが脈動するようになります。
おそらくモーターが故障する原因はこの2つと思われます。
10万回転という高速回転を逐一監視し、回転数を一定に保つように制御しているわけですから、バランスが崩れると、故障するのは当然かと。

個人的にはダイソンの場合、フィルターは水洗いしないで、潔く交換した方が安全とみています。別に純正品で無くても、今は安価な互換品が販売されていますし、純正でリスクを犯すよりは性能を維持でき、安上がりです。

さらにこのフィルター。実は音を押さえるサイレンサーの代わりにもなっています。ダイソンのモーターは先ほどから言っているように高回転。
つまりF1エンジンみたいな高回転なので当然甲高い音が出ます。
初期のダイソンがうるさいと言われたのはそれが原因で、キーンという甲高い音が耳障りだったんです。
高い音はスポンジなどの吸音性のある素材を通すことで、簡単に減衰します。
そこでダイソンはフィルターをつけて高音を低減するようにしたんですね。
このあたりは干渉消音とかヘルムホルツの共鳴管理論とか音響工学が絡んでくるのですが。
自分はダイソンのこの構造を見て「あ、エンジンのマフラーそっくり」って思った人です。(笑)

引用:FUJITSUBO

ほらね! そっくりだしょ?

モーターの話に戻ります。
前にモーターユニット、その後にタービンが付いています。

これがタービン。直径3cmぐらいで、コイツが一分間に10万回転以上で回転して強力な吸引力を生み出します。
一般的な掃除機のモーターはせいぜい数千回転~数万回転ですから、その回転数の高さは異次元です。
高回転故、回転バランス、強力な起動トルク、精密な回転数制御が必要で、複雑な回転数制御回路がモーターと共に組み込まれています。

こちらですね。
赤い四角がMosFETでモーターのコイルに強力な電流を流します。4極なので4つ付いていますね。
ちなみに先の分解動画ではこのMosFETが怪しいと言っていますが、これが原因では無いです。自分も怪しいと睨んで実際に新品と取り替えましたが症状は変わらず。
なので、他ですね。
たぶん、この個体も脈動していたと言いますから、バランスが崩れて、故障したんでしょう。
修理は諦めます。

海外のサイトを見ると、この小さなチップが故障しているという情報も有ります。
いずれにしても、たった一つの部品の不調でモーター全体が使い物にならなくなるやっかいな構造です。

おそらくこの基板を交換するだけで復活するハズなんですが、ダイソンはモーターユニット丸ごと交換しかしません。
修理に出すと22000円ぐらいと聞きます。
たぶんね、基板だけなら数千円だと思うんですよ。ほんとやっかいな造りです。

◆モーター入手

と言うわけで、修理用モーター入手しました。仕向国が違う可能性がありますが基板さえ問題なければモーターは大丈夫なはず。

入手は毎度何でもありのAliexpress。
自分が購入したときは12000ぐらいでした。
モーターとしては高いですが、修理に出すよりは安い。
さくっと交換して動作確認。
問題なく動きました。
ただ、液晶モニターが日本仕様では無いようで、フィルターの取り付けアラートが表示されません。
基板上にホール素子が組み込まれていて、フィルターに埋め込まれたマグネットの磁気を検出し、正しくフィルターが装着されているか、チェックしてるんです。
試しに液晶モニターを故障品から取り出して交換移植したら、表示されました。どうやら仕向地毎に液晶モニターを交換してるだけのようです。

ピンぼけ失礼!
モーターが無事動作することが確認できたので、分解ついでに隅々までクリーニング・・・って汚えぇ~~~~!!!😱😱😱
ウ○コみたいなニオイがするし🤧
ハイターを吹き付けて隅々まで清掃しました。その後一週間ほど風通しの良いところで乾燥。
ようやくニオイともおさらば。

◆ちなみに・・・

他部は汚すぎて画像を載せるのは控えましたが、こちらをご覧ください。

分かります?
フラッフィーノズルです。モーターが回りませんでした。
それもそのはず。両端のモーター軸にこれだけの髪の毛やら糸ゴミが絡みついていました。
以前にもロボット掃除機を分解清掃したことがありますが、ロボット掃除機とサイクロン掃除機(特にダイソン)はこまめなメンテナンスが命。
メンテナンス次第で寿命が大きく変わるんです。

なので高性能で高価な掃除機=メンテナンスが面倒なんですよ。
うたい文句に踊らされて大枚はたいてラクしようと思ったら大間違いですよー。

ちなみに注目のライバルブランド「Shark(シャーク)」がありますが、日本上陸時には初代ダイソン日本法人の社長で、日本のフロアケア市場を約20年以上に渡り見続けてきた、ゴードン・トム氏が就任しています。
さすが、日本の掃除事情を見続けてきただけに、ダイソンよりも工夫を凝らした日本の住宅市場にあった製品作りをしています。

自分も新品でダイソン買うなら、シャーク買いますねえ。
(実はマキタ使い。マキタ大好き♥)

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