そんなわけない
今朝の事務所内の気味の悪い静けさは、仮に死人が居たとしても、その呼吸も聞えるかと疑われるくらいだった。殊に大野の机の周辺は、真夏の日中といえども、肌が粟立つばかりの低温を保っているようだ。
冷気に打たれたような大野は、生気を失って立ち尽くしている。
「どうしたんだ? 大丈夫か?」と私が彼に声をかけると「パソコンがフリーズしました」と大野は答えた。
「ん? 今、なんて言った?」
「パソコンがフリーズしました」と大野は繰り返したのだ。そうか、それで寒かったのか。
一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!