手紙：頭ン中シリーズ

今やから思うねんけど、恥ずかしいわ。
よう考えてみたら、あたしのやった事ってストーカーやん。
あまり話をした事のないクラスの女子から、家のポストに手紙が入っとったら気持ち悪いもんな。

あん時のあたしって、今よりも体重が２０キロぐらい重かったんやわ。
平たく言うたらデブやな。歩くだけで、股ズレしとったもん。
ホンマ、酷い話やで。

そんでもっと酷いんが、勘違いしやすい性格やった事やな。話しかけてくる男子がおったら、そんだけで「あたしの事好きなんやろな」って思っとったんやから、始末が悪いで。

一番、勘違いしたのが小林君やな。
あたしが家のポストに手紙を入れた男子や。

何を書いたかは正確には覚えてへんわ。

まぁラブレターやねんけど、「恥ずかしくて小林君から言われへんのやったら、あたしの方から言うたるわ」みたいな、上から目線で書いたんやわ。

返事はなかったな。

なんでこんな事を急に思い出したかと言うたら、小林君をみたんや。
実家におるんやろか。帰省するにしても変な時期やで。もしかしたら、仕事の都合で地元に戻ってきたんかもしれんな。
あたしはずっと地元におるけど、小林君は大学に進学してからずっと、地元を離れとった筈や。関東の方に行ったとか、誰かが言うとった。

結婚しとるんやろか？

そこやな。気になる所は。
あたしはあん時と違って、だいぶ痩せたんやで。
今度見かけたら、話しかけたろか。

小林君の方から、声かけてくるかもな。


終わり