ニューヨークに行きたいか!?
子供の頃、外国の方が日本よりも優れていると思っていました。
そう思った原因ははっきりとわからないのですが、多分テレビの影響だと思います。
実際にどんな情報に触れたのかわかりませんが、特に欧米の各国は、日本の先を行っているという印象を僕は持っていました。
何かよくわからないけれども、環境問題に前向きに取り組んでいるとか、休みが長いとか、部活動の練習は根性論ではないなど、そういう事を信じていました。
そして一周回って「日本ってダメなところが多い」と思っていました。
僕はアメリカに対する憧れが強かったです。
アメリカがどういう国かもよくわからないのに、ニューヨークに行きたいと思っていました。
それは、「ニューヨークに行きたいか!?」という掛け声に洗脳されていたからだと思います。(ウルトラクイズが好きでした)
実際、その思いは高校生の時に叶えてもらいました。
アメリカに一年間留学させてもらう事が出来たのです。
僕が熱望したわけでなく、たまたまそういう事になったのです。
両親から「行きたいか!?」と言われ、「行きたい!」と答えたら行くことになったのです。
そうです。経済的に恵まれた環境で僕は育ったのです。そんな環境のもとに生まれた僕は幸運の持ち主なのです。
テキサスで高校2年生の夏休みから、翌年の7月まで過ごしました。
オクラホマとの州境の町は小さく、普通に地平線がみえました。背の高い建物や山がないので空が広く感じました。
そこではホストファミリーにお世話になりました。本当にいい人達にめぐり合わせてもらいました。
20年以上経った今でも、その方たちとは連絡を取ることがあります。
(ゆっくりとわかりやすい英語で話してくれるので、何を言っているのかは今でもわかりますが、年々僕は英語を話せなくなりました。最近電話がかかってきたのですが、その時「オーイエー」しか僕は言えませんでした。)
ただ、その一年間に僕は目覚めたのです。
「どこ行っても同じだ」と。
アメリカに行かせてもらって、それ以上の何かを感じませんでした。
それまで、アメリカの全てが日本よりも優れていると思っていました。
でも、そうじゃないと思うようになったのです。どこに行っても根本的には同じだと気がついたのです。
テキサスの田舎町で差別されることもありませんでしたし、トラブルに巻き込まれることもありませんでした。
(貸した金を返さないアメリカ人を殴って、アメリカで停学処分になることはありましたが)
でも、同じなのです。
イイ人がいて、嫌な奴がいて、普通の人がいる。頑張る人は何かを頑張っているし、愚痴を言う奴もいる。
違うのは、ノリだったり、笑いのツボだったり、食文化みたいな事なのです。あとは宗教的な事です。
人はどこにいても同じだと思ったのです。
日本に戻る前に、ニューヨークにいくツアーに参加しました。
クイズ番組で憧れていた筈の自由の女神は、すごく小さく感じました。
ウォールストリートを歩きました。
ブロードウェイにも行きました。
でも、それだけです。
その場所が素晴らしいのではなく、色々な人がいると僕は思ったのです。
そう感じてから、「日本ってダメなところが多い」と思わなくなりました。逆に、過剰に外国が素晴らしいと思わなくなりました。
どこに行っても、自分は自分だし、人は人。
それ以上に深く考えると、イイとか悪いで何かを判断してしまうような気になります。
根本的にはみんな一緒だと思えば、大事にできる事が増えるのではないでしょうか?
ちょっといい話です。
一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!