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きものを始めたい人へ。まずは着物を買うか、もらおう!その1
こんにちは、マタギです。
「私もきものを着てみたいわ、生活の中にきものを取り入れたいわ」と思ってくださっている方にむけた記事を書いてみようと思います。
私は恵まれたことに、おばあちゃんの最初の嫁ぎ先が呉服屋さんで、本人もお仕立てや、足踏みミシンで内職をしながら子供や孫にきものを縫ってくれるような人でした。
おばあちゃんの半生もそこそこ面白いので、そのうち記事にしますね!
さらに、母親もそんなおばあちゃんに何枚も着物を仕立ててもらったらしく、たくさんいろいろ持っていたし、自分でも着てました。
私も何枚も仕立ててもらっていましたが、母親の趣味が何となく地味だったので、自分でハデハデな古着などを購入して、仕立て直したりして着てきました。(今は熟女になったので、その地味着物も大活躍中です)
まあ、恵まれていたと思います。
なので、全く母や親せきから受け継ぐ機会のない、着物の知識に乏しい方に、これを買っとけば(もしくはもらっとけば)間違いないぜ!というものを、私なりに到達した思いをこめて紹介したいと思います!
きものを入手するルートは大きく3つあると思います。
①呉服屋さんで新品を買う、または誂える(あつらえる)
②中古屋さん・ネットなどでリサイクル着物を買う
③だれかにもらう
です。
呉服屋さんは、怖い‥‥‥
王様コースはやはり、①の、呉服屋さんで買う、になりますけど、呉服屋さんって怖いですよね。何も知識がないのであれよあれよと言いくるめられ、3年とか、5年とかローンを組まされた挙句、お高い訪問着を買わされて余計な小物も全部買わされるイメージ。
わたしもそうでした。
どこかの呉服屋さんの公式サイトに、「怒りが爆発!」というコーナーがあって、そこではわけもわからず呉服屋さんに大枚搾り取られた体験談がわんさか乗っていました。
なので私もほぼほぼネットショップかメルカリなどで購入していました。
たまに、百貨店や、丸井などの呉服屋さんで小物を買ったりもします。
リサイクルショップでは、よく催事をやっている「たんす屋さん」や、浅草の中古きもの屋さん、たまに骨董市で帯や、洗い張りの反物を買ったりもします。
呉服屋さんが怖かったからです!
今でも、ちょっとした呉服屋さんに行って、着物を着こなしている男性幹部に接客されると、「なにか余計なものを買わされるんじゃないか?」って身構えてしまいます。カレンブロッソのカフェ草履とか。
しかし、ご近所にとっても庶民的な呉服屋さんを見つけて以来、そこの専務や女性スタッフさんに何でも相談して、いろんなことを教わるようになりました。今は、そのお店に忠誠を立てるまでは行きませんけど、なにかお直しやお仕立て、お買い物など、なるべくそのお店で済ませることにしています。
地域に根差した古くからの呉服屋さんなので、お客さんもピンキリだとわかってくれていて、無理な高級反物を進められたりしません。逆に、「マタギさんはリサイクル着物を仕立て直したり、独自に入手してきた古い反物や絵羽をお仕立てしに来る客」と認識されているので、それなりのゆるい関係性で成り立っています。
私は決して太い客ではありませんが、聞けば丁寧にいろんな産地のこと、こういう風に仕立てたほうが年齢的に長く使える、とか親身になってくれます。
要するに、いい呉服屋さんと出会えば怖くないし、どんどん力になってくれて強い味方です。
それに、呉服屋さんには独自のコミュニティやネットワークがあり、いろんな和服イベントを開催しているお店があります。
「撮影会」「お花見」「お茶会」「花火」「展示会」「コンサート」
そういうイベントがあるのでガンガン参加すれば、お仕立てした着物をタンスにしまいっぱなしでカビさせた、ということも防げます。お仲間も増えますね。なので、呉服屋さんでいいお着物を仕立てることは、1着を長く沢山大事に着られるのでとってもお勧めです。
(ただし際限なく進められるのを防ぐため、ここではきものと襦袢しか買いません、とか決めておくのがいいかも)
全部一式買えるゆとりがあれば、完成されたコーデがそろうのでそれはそれで素晴らしい買い物です。
何より、自分のサイズにピッタリに誂えたものって、本当にストレスなく着られてスタイルよく見えます。
新品だしいいものなので、自信をもって人前に着ていけますね!
妹は高校教師ですが、1着いいのを仕立てて、それを結納、自分の担任した代の卒業式、きものイベント、と何度も何度もきています。
次に庶民派コース、ギャンブラーコースですが、②中古屋さん・ネットなどでリサイクル着物を買う、です。
財布には優しいけど、難易度は高い。
着物の反物って、基本的に絹糸を‥‥蚕から育てて、繭にして、専門の職人がそれを茹でて引き延ばして、別の職人がさらに糸にほどいていき、撚りをかけて紡いだり、これまた専門の職人が何度も何度も染色して色を付け、(または織ったものを後から染めたり)職人が機織り機で鶴の恩返しのおつう、のように織って織って織りまくって、やっと数か月~数年かかって作った反物からできています。
それに友禅の職人さんが絵を描いたり、版を作るデザイナーさんがいて、その版を使って色を染め抜く職人さんがいて、刺繍専門家が金糸で刺繍したり‥‥バイヤーさんがそれらを買い付けて、お客さんに売って、和裁士さんが仕立てて、やっと1人目のオーナーさんのもとに届きます。
なので、一人目のオーナーさんがそれを何年、何回着用するかは分かりませんが、その着物にまつわる人びとのすべてのお給金やもうけを支払い終えてくれているのです。
なので、「飽きた」「すこし汚れた」「持ち主が亡くなった」とかの理由で流通する時には、特にその価値は次の買い手にゆだねられており、「欲しい」と思った人の出せる金額がその着物の価値、ということになります。
なので、有って無いような中古着物の価格なのです。
おそらく、最初のオーナーが(家族が娘さんのために誂えたとかの場合も)50万円ほどで作った訪問着や婚礼衣装、黒留めそでも、2~3人オーナーが変わるころには、3万円、下手したら3000円とかでたたき売られていることが世の常なのです。
なので、5万~30万くらいの値段で売られていたはずのものが、メルカリなどでどういうわけか流通している仕立て前の仮絵羽(仮縫い状態)で5000円ほどで手に入ったりするのです。
メルカリは実際にお品を手に取って見られないので、完全にギャンブルですが、わたしはそれが楽しくて、やめられません。
新品未使用などを探すと、結構楽しいです。
リサイクルショップ巡り、骨董市巡りもなかなか楽しいですよ!
自分のツボにヒットした1枚を見つけられたら、サイコーです。
ただし、中古品は安く手に入れられても、丸洗いに出さねばならなかったり、サイズが大幅に違うとお直しが必要です。+αで出費がかさむ可能性もあります。その着物に合った襦袢も必要になるかもですし。
でも、たくさん着て自装が上達するための練習と思えば、中古でも十分なのかも。
銘仙やアンティークきものの注意点
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秩父銘仙や、アンティーク着物のやわらかものって、すごくかわいいですよね!ときめきます。
私はいい年のおばさんですが、ちょっといまだに惹かれますね。
いくつまで着用を許されるんだろう…とビクビクしながら、いまだに銘仙の羽織などを探してしまいます。
たいていはサイズが小さいので諦めるのですけど。
あの色使い、手触り、デザインのかわいらしさ。着物に憧れる最初のきっかけになっている人も多いのではないでしょうか?
けれども、復刻銘仙ではない昭和初期とかに仕立てられたアンティークきものは、だいたい反物自体の幅や長さが小さい(35センチ以下、12メートル以下)し、昔の標準女性の体格も小さいので、だいたいの着物は145センチ~155センチほどだし、裄(首の中心から手首まで)も62~65センチということが多い。普段M~Lサイズの人には小さすぎるんですよね。
反物自体がその細さなので、サイズ出ししようにも、マックスがその大きさだったりします。
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あと、古すぎると胴裏が変色していたり、小穴も空いています。
高級リサイクルショップや、高級アンティーク専門店だと、以前のオーナーさんが裏地を一新して仕立て直してくれたものや、状態が良いものが多いので、根気よく探すと可愛いものが見つかると思います。
けれど、のみの市や、フリマアプリで安く手に入れるときはリスクも大きいです。
というわけで、お財布には優しいけど、なかなかに難易度が高いのが中古着物をネットで買う方法でした。
最期は超お手軽足軽コース ③だれかにもらう です!!
これは本当に楽です。
職場の人、友達、知り合い、親せき。どなたか、趣味できものをたくさん持っている方に、「最近きものをきてみたいと思うのですが、要らないものがあったらくれませんか?」というと、おせっかいな着物好きおばさんなら、あなたに似合いそうな(その年代に合いそうな)ものをくれることがありますよ!
余っているところには大量に余っているからです!
ついでにお手入れ方法とか、お直しやさんもきいてみると教えてくれるでしょう。自分好みの可愛いものは手に入らないかもしれませんが、お手軽ですぐにきもの生活がスタートできるとっておきの方法なのでした。
長々と読んでいただきありがとうございます!
その2,へ続く