育児の理想と現実・母体編
BY マタギちゃん
※注意:2020年に公開した記事になります
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こんにちは、育児3年目のフリーランス職ママ、マタギちゃんです。
2020年。夏に妹が、地元で初めての赤ちゃんを産んだのに、コロナのせいで全然会いに行けなくて、切なくてもどかしい私です。
妹からいろいろ0歳児育児の相談を受けるのですが、どれもすべて今となっては懐かしい悩みばかり。
いつも必ず口にするのは、
「あっという間にオッパイを卒業し、オムツも卒業し、自分で服を選んで着替え、ひらがなを読めるようになってしまう。だから、今を大事にかみしめてね!」というような、なんの慰めにも解決にもならないセリフです。
もちろん、7歳を育てるお母さんも、13歳を育てるお母さんも、0歳や3歳を育てる私たちに同じようなことを言うと思います。
「あっという間よ」
それが育児の真実なのだと思います。
今日は、たった4年弱ではありますけど、私が感じた育児の「理想と現実」をつぶやかせていただきたいと思います。
同じ境遇の親御さんであれば、「あるある~」と共感してもらえたらうれしいですし、これからパパママになる方でしたら、「そうなのか、覚悟しよう」と心構えに役立てばと思います!
まずは母体編です。
しばしお付き合いくださいませ~
●産んでみたら大違い。思ってたのと違う、母体編
初めての出産は、ワクワクドキドキ、不安と恐怖でいっぱい。でも、待ちに待った赤ちゃんに会える待ち遠しさに興奮状態。
臨月に入ったあたりから、いろんな準備や情報を集めたりして、その瞬間を待ちます。
私はYoutubeなどで、いろんな人の出産動画を見ながら、イメトレをしていました。そして、産んだ後の自分と赤ちゃんとの夢のような暮らしを想像して、うっとりしていたのです。
あんな地獄のような日々が始まるとは夢にも思わずに、のんきにマックのポテトを貪り食いながら、胎動の激しい赤ちゃんに「もうすぐ会えるね~」なんてにこやかに話しかけていたのです。
・丸くてきれいな妊婦のおなかでマタニティフォトが撮れる➡おへそ周りに毛が渦巻くように生える又は肉割れができてマタニティフォトどころではない
これは個人差があると思うのですが、私の話ではなく、うちのスタッフさんの話です。おへそ周りが急に毛深くなる現象は、出産すると無くなるそうですが、肉割れができると出産後も消えない、と聞いていたので私は恐れて馬油クリームを塗りたくっていたおかげか?肉割れはできませんでした。(もともと腹の肉がたるんでいたおかげかもしれないW)
しかし、正体不明の赤いあざが、チョウチョの形に現れ、それが半端なくかゆかったです。それは妊娠5か月ほどから現れ、皮膚科を受診して薬をもらうまで消えませんでした。臨月くらいまであったと思います。おかげで、見た目がかなりエグくてマタニティフォトは着衣のままでした。
ここからは出産後のお話になります!
・おっぱいはもっとジャージャー出るものと思ってた➡
全然でない。だがオッパイは時間になるとガチガチに張って痛む。
個人差があると思いますけど、私は「こんなに巨大化したオッパイ、いったい何のためにあるのか?」ってくらいチチが出ませんでした。
でも、加えて懸命に吸おうとしている我が子がかわいいので、何とか生後7か月までおやつ程度の母乳を与えていました。そして、パイは見事にしぼんで垂れました。
・乳首が痛すぎる➡こんなの聞いてない!
赤ちゃんにおっぱいをあげるのって、もっと自然で穏やかな時間だと思っていたけれど、とんでもなく乳首がはれ上がり、痛すぎて毎回が拷問のような時間でした。
おまけにたまに切れたりして、血がにじんでいるのに、おっぱいが張って痛むから、ラノリンという羊の毛の油から抽出したクリームを塗りたくり、泣きながら授乳していました。(赤ちゃんが口に入れても無害です)
そうしているうちに、2か月がたち、ある日突然痛みがなくなり、平気になったので人体の不思議を感じました。
(処女膜破かれてしばらくがセックスが激痛だったのに、ある日を境に苦じゃなくなった時と同じ?!)
私は普通分娩でしたので、帝王切開の方の苦労はわからないのですが、おなかの傷跡が半端なく痛いらしいので、その辺も「聞いてないよ!」のうちの一つに加えたほうがよさそうですね!
・産後の母親は聖母マリアのようになれると思ってた➡
肉体ダメージがえげつない&産後うつになる&目が吊り上がりまるで般若
これにはビックリでした。とにかく、肉体へのダメージがものすごいです。これもまあ、個人差があるだろうし、私はとくに高齢出産でしたので、他のママよりダメージが残ったのかもしれませんが。
私が経験したものは主に、
・シミと目の下のクマがひどい
・まともに歩けない(骨盤が開ききっているため)
・オキシトシンのせいで産後うつになる
・不調、とにかく不調、意味が分からない
・足の指骨折
・腱鞘炎
・ギックリ腰
・熱中症
でした。
とくにオキシトシンていう物質はとても厄介で、自分の赤ちゃんを守りいつくしむために大量に分泌される愛情ホルモンではあるのですが、いったん敵とみなしたものには容赦なく威嚇・攻撃をしかける厄介な一面もあります。
私は、実家の母が育児の手伝いにわが家に来てくれていたのですが、いちいち口出ししてくる母親に心が休まらず、ほんの数日でブチ切れまくって実家に追い返してしまいました。今となっては悪いことをしたなと思います。
この時の私は目が吊り上がり、般若のようだったらしいです(夫談)。
・聖母マリアは、メディアが作り出した幻想にすぎない。
先日、松坂桃李くんが主演の映画「新聞記者」を見ました。
社会派の人間ドラマで、日本アカデミー賞6部門を総なめ、ほかにも10の映画賞を受賞した評価の高い作品です。
その中で、主人公の奥さんの役を本田翼さんが演じていました。もう数日で産まれそうな大きなおなかの妊婦役です。
夫が内閣官房で働く官僚なので、2人は2面ガラス張りの夜景の見える大きな億ション?らしき住宅に住み優雅に暮らしています。その部屋のリビングの大きなソファで、大きなおなかをさすりながら、「もうすぐだねえ~」なんて言いながら優雅に夫の帰りを待っているかわいい嫁さん。
これ、この描写ですでにウソくさい、と思ったのは私だけではないと信じたい!
その後、夫は政府の黒い陰謀に気づき、自己の中の正義と政府への忠誠の間で葛藤します。仕事で手一杯、頭の中も仕事1色でまったく家庭を顧みない。そんな中、嫁さんは超難産で命からがら赤ちゃんを出産、重体に陥ります。それでも仕事で気づかない夫。駆けつけた時には、なんとか手術により一命をとりとめた嫁。
少し回復し、やっと我が子を抱っこできた夫妻。
「これからは3人家族だね~(中略)これからもパパは忙しいから、ママとふたりで、お留守番していようね~」
と産まれたての新生児に微笑みかけている母親。
これは、臨月も、出産直前も、難産で死にかけているときも、産まれた直後にも仕事にかこつけ駆けつけもせず、側にいてくれなかった夫への嫌みでも何でもなく、この妻は本気で「忙しくて家族の一大事も放り出して人生をささげているほど大きな使命を抱えている夫を、今後も全力でサポートします」というけなげな意思表明なのです。どんだけデキた妻なんでしょうか!?
ハッキリ言ってハテナです。心を病んでいるに違いないです。
官僚の妻という絶対アンパイな地位を手に入れ、何が何でも手放したくないのでしょうか?今はにこやかに微笑んでいても、数年後は闇の多い人生を歩んでいそうです。この母子の未来が心配でなりません。
このように、いつの世もメディアやコンテンツは、聖母マリアのように、幼子を胸に抱く母親は常に穏やかであり、ほほえみをたたえて満足そうに子育てをしていなくてはならないのです。たとえ身はボロボロで、メンタルはギリギリでも、髪の毛は抜け落ちてはだめで、両手の親指は腱鞘炎でプランプランに力が入らなくても、「いってらっしゃい、あなた!」と言いながら、笑顔で赤ちゃんを抱えてきれいな格好で夫を見送らなくてはならない。
世間と夫に都合のいい母親像ですね。
私も長年このメディアが打ち出す「ママになった母性がさく裂している母親像」に感化され、自分も「こうなるんだ」という恐ろしい間違ったバイヤスをかけていたように思えます。
現実は違いすぎました。
みんなズタボロでした。
世間のことを恨みました。
メディアや世間の幻想を許してはならないと決意しました。
最近は、皆さん経験談や育児エッセイなどを「note」や「インスタ」などネットサイトでで発表してくださるし、NHKなども精力的に「母親のリアル」を伝えようと努力してくれているように思えます。企業なども、先端を行く会社は男性にも育休を当たり前にしているところもあるようです。
でもわかっているのは一部の興味のある方たちだけにとどまっているような気がします。
・聖母マリアは理想の姿であり、あくまで自分の現実と向き合ってほしい
親友のお姉さんが出産したときはとにかく抜け毛がひどく、髪の量が3分の1ほどになっていてびっくりしました。
ヒロシマ・ナガサキの被爆者の絵を彷彿とさせる悲しさでした。
そして、知人が出産した後は、皮膚疾患がひどく、いままで平気だった化繊の洋服や下着すべてにかぶれ、蕁麻疹が出るとのことで、すべての肌に触れるものをオーガニックコットン製品に買い替えを余儀なくされていました。
抜け毛も、蕁麻疹もその後は収まったようですが、それでもそんな思いをした後は、二人目なんて恐怖で躊躇してしまいそうですよね?
でも女性は母親になっても女性なので、髪が抜け落ちて、蕁麻疹でボロボロの悲惨な自分の姿なんて、世間にさらしたくないですし、必死に隠そうとします。
実家に帰って援軍を頼んだり、外出を控えておどおどと暮らしたりです。
産まれたばかりの赤ちゃんと引きこもりになり、本格的に病んでしまいます。
なのでまず家族は、なかなかダメージの抜けない、元気にならない、しょんぼりしている又はいっぱいいっぱいになっているママを決して責めたりけなしたりしてはいけません。ママも自分で自分を責めてはいけませんし、イラついてもだめです。全力でサポートし、全力で自愛してください。ヘルプも出してください!
こんなメッセージは私がここで力説するまでもないですが、世間や自分が抱いてきた間違った「理想像」と、現実が違うことを受け入れてください。
育児編に続く!