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【青年海外協力隊ベトナム日記 2006〜08】 第17話 1年が過ぎて

ベトナムに来て1年が過ぎた。

1年前。
成田を発った日、これから自分が外国へ行ってそこに住み2年間日本に帰ってこないということが、まるで永遠のような時間に感じられた。
これからどんな日々が訪れるのか全く想像できず期待と不安が入り混じった新鮮な気持ちだった。
それはとても気持ちのいい緊張感。

今、1年前の新鮮な緊張感が無い。
ここでの日々はもう「日常の生活」で、ここは日本ではないけれど今の私にとっては「外国」でもない。

別に今の生活にこれといって不満があるわけではない。
ここでの活動が100%うまくいってるかといえば決して自信を持ってイエスとは言えないけれど、親切な同僚や素直な学生たちに囲まれ、きれいな風景とおいしい料理に不自由せずにのんびりと暮らす。

悪くない。悪くないのだけど…
だが、
という複雑な感情の日々。

そんな中、違う町に住む隊員たちが私の住む町に遊びに来た。
私の日本語の授業に参加してもらったりしたり、海辺の飯屋に海鮮料理を食べに行ったり、海に遊びに行ったりして2泊3日を過ごし帰っていった。

いい町じゃん!と言われた。

なるほど、確かにこの町には綺麗な海があるし、海鮮料理もおいしいし、都会に比べれば人もそれほどスレていないし、いつもからっと天気がいいし、田舎ならではののんびりした空気もあるし、生活に必要なものはとりあえず一通り揃うし…。

確かに悪くない。

そもそも海辺で海鮮料理がおいしくて、のんびりしていて、人が親切な町というのはまさに私の望んでいた場所だったはずだ。

この町で生活して1年が経ち、この町の持ついいところが普通になって、悪いところばかり目に付くようになっていたけれど、外から来た人の感想を聞いてこの町の良さに改めて気がついた。

もちろんダメなところを挙げていけばキリがないのだけれども、ここは日本ではないのだし、自分で望んでここへ来たのだし、これからはこの町の持ついいところをもっと探していこうと思った。

もともとこの町が嫌いなわけではないのだが、住んでいるとどうしても納得いかないことが出てくる。
けれども、そういったものも含めて包み込んでいけるような大きな心を持てるようになりたいと思えたいい機会だった。

これからの残り1年、この場所でどんな出会いが待っているのだろう。
それらの出会いは私にどんなきっかけを与えて、私をどこへ連れて行くのだろう。

願わくばどきどきワクワクできる日々が訪れますように。
そんな素敵な出会いがありますように。


続く

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