3代目MT-09(2023)を1年半、約11,000km乗って売り払った件
MT-09とさよならしました
2023年の3月に半ば衝動買いした3代目MT-09とお別れしました。
自身のバイク歴の中では約1年半の所有期間は、短い順に3番目くらいです。
ちなみに、単純に売却した訳でなく乗り換えです。
乗り換え先のバイクについては、気が向いたらNoteで紹介するかもしれませんが、スズキの1000㏄とだけ言っておきます。
手放した理由などは、これから続く同車のレビューでも触れたいと思いますが、一言で言うと「(私は)このバイクに燃えな(パッションを感じな)くなった」からです。
MT-09(2023)のスペック
排気量888cc
最高出力120ps / 10,000r/min
最大トルク9.5kgf・m / 7,000r/min
車体重量(装備重量)189kg
全長・全高・全幅2090mm × 1190mm × 795mm
シート高825mm
燃料タンク容量14.0リットル
燃料消費率30.4km/L(60km/h)
上記、ネットに転がってた表面的なスペックになります。
他に細かいところを付け加えるなら
・国産では唯一無二の“3気筒エンジン”
・CFアルミダイキャスト技術を用いた軽量なアルミフレーム
・IMU(慣性計測機)の搭載とそれによる様々な車体制御システム
がマシンの特徴と言えるのではないでしょうか。
MT-09の良かった所
■またがってすぐに分かる圧倒的軽さ
■必要にして十分なパワー
■先代より増した低速トルク
■高回転域での独特の排気音でテンションUP
ざっと思いつくのは上記である。
以前のNoteで書いた通り、私は2代目のMT-09SPを短期間所有していたことがあるのでそれとの比較と考えても「より軽量」に感じ、その上で主に4,000rpm以下のトルク感が向上したことで、都市部でのストップアンドゴーの連続かつ低速操作を多用する走行時のストレスが軽減している。
また、フレームとエンジンのレイアウトが2代目と比較してオーソドックスなスポーツバイクのそれになったことで、車両の癖感も少なく、あらゆるシチュエーションで「走り易く感じる」ことができる。
また、この車両でも例外なく私は社外マフラー(フルエキ)を導入していたが、高回転時のサウンドは最高だった。
MT-09の微妙だった所
■車体構成とポジションのちぐはぐ感
■上記に由来(?)する設置感と安定感の乏しさ
■丸くなった出力特性
■(相変わらず)大きめのエンジンメカノイズ
■全体的には良いが決定的に先代以下の部分があるQS
まとめて書くとこんなところだろうか。
特に1番目と2番目については、今春に発表された4代目の「先代否定」ともとれるMCで、3代目とヤマハに対しての不信がより顕在化したので、追って特に具体的に書きたい。
まず出力特性が「丸くなった」と表現した点について、これはAモード(今回はモード1)のセッティング如何ということでもなく、根本的なエンジンの性格についてである。
ぶっちゃけてしまうと、完全に偏見ではあるが私は「最大トルク発生回転数が低いエンジンはスポーツエンジンではない」という過激な見識を持っている(例Ninja1000等近年のKWSK大型マルチ系)
2代目までの「良い所」でもあり「悪い所」だったのはそのエンジン特性だと感じており、よく言う「3気筒は4気筒と2気筒の良いとこ取り」というのは“ウソ(方便)”である。という事を具現化したような特性だったと思っている。
簡単に言うと中速域では思ったほどパンチが無く、何だかんだ言ってぶん回すと楽しい系のエンジンだったと思っている。
ただギア比と相まって「回りやすい」エンジンをガンガン使ってクイックシフターで加速していくのは相当な快感だったので、これは一概に欠点とは言いづらい。(実際フルエキ+ECU書き換えでエンジンの高回転化はさらに助長された)
3代目のエンジンは最大トルクが7000rpmとなっており、先代よりも早めにトルクが立ち上がるのは実感できるが、逆に高回転域の炸裂感は減ったなと感じる(排気量分のパワーアップで全体的に速くはなっている筈ではある)
次に残念だったのがクイックシフターだ。
2代目は7000rpm以上ではシフトアップするとフルエキと相まって尋常でない炸裂音とともに超スムーズに変速していたのが、3代目は制御そのものが改変したのか、フルエキでも破裂音は小さめなのと、一番ストレスなのは高回転域でも若干のトルク変動を感じる点であった。
逆にかなりの低速域でもアップもダウンもガンガンギアチェンジできるのは改善点であったが、ぶん回し変速の気持ちよさが2代目より相当にスポイルされてしまったと筆者は感じてしまった。
あと恐らくカムチェーン(?)のノイズかと思われるが、2代目も3代目もエンジンからのガラガラ音がどうしても気になった…
エンジンを軽量に作るためには致し方ない部分なのかもしれないが、4気筒のリッターSSの軽量エンジンでもああいう音はしなかったのでどうしても気になってしまった。※これは完全に好み、気にならない人は気にならないし、問題ないと言われたら気にしないのが一番
最後に、これは同型のSPに乗るモトブロガーも言っていたが、微パーシャル…というか微細なスロットルコントロールに対しての挙動(20~30km/hくらい)がヤバすぎた。
少しのスロットル戻しに反応して、急激にスロットルオフ(燃料カット)の状態になる為、極低速走行にギッタンバッコンしてしまいクソほど乗りづらいのだ。
限定されたシチュエーションで発生する事象につき、致命的とまでは言わないが、簡単に言うとマジでゆっくり走りづらかったのである。
新フレームの功罪、過去の09とのズレ
先程も書いたが、3代目のMT-09はフレームとエンジンが2代目までから完全刷新されている。
初代~2代目までの09は、レビュー記事でも散見された「モタードのような乗り味」を目指したこともあり、ヘッド位置が非常に高く設定されたフレーム、やや長めのストロークのフロントフォークなど少し特殊な構成だった。
因ってハンドルポジションも高めで、所謂「スポーツネイキッド(ストリートファイター)」とは異なるややモタードライクなライディングポジションと性格で、クラスでは異質のマシンとなっていた。
それに対して3代目はどうか。
これはヤマハの中の人もインタビュー記事で答えているが、そもそも3代目~の09については、先代でも結果的にそうだったように『マルチプラットフォームのベース』として、そこから様々な車種に派生する前提の開発だったようだ。(逆に先代は開発時点ではマルチ展開は想定されていなかったとのこと)
そのため、先代までの様に車体構成自体がやや変わった(尖った)マシンのジオメトリーは許されず、“よりニュートラル(オーソドックス)に”設計する必要があったようである。
これはストリートファイターという観点からはスポーツ走行時フロント荷重が掛けづらいと言われたXSRや、噂はあったが結局出なかった「フルカウルモデル」を考慮すると大変前向きなことである。
しかし「モタードライク」であることが、ある種アイデンティティになっていた09にとってはどうか?
ご存じの通り、3代目09は「オーソドックスな車体構成」に対して異様に長いハンドルポストを備えるなどして、『ポジションだけ無理やり気味にモタードっぽい構成』にして販売された。
で、乗り味はどうだったか、と言うと、これは『あくまで個人の感想』だが、決定的なネガではないがどこかずっと「違和感」をあることを禁じ得ない車両となっていたと思う。
もっと過激な言い方をすると、シャシーの素性の良さを「逆に殺してしまう、チグハグなポジション」になっていると感じてしまった。
Ducatiモンスタなどストリートファイター系ネイキッドでも特に前傾が強い車両を、小柄な中年男性が見るも無残にクソダサい乗りやすいアップハンドルに付け替えてしまっているケースが中古市場ではよく見られるが、まさにメーカー公式であれをしている状態という感じだろうか。
簡単に言うと「やっぱりフロント荷重が掛けづらい」「設置感が希薄」という感じである。
シャシーの見直しでこの辺りが改善されたと、購入前想像していた身からするとやや悲しかった。
何よりもその後試乗した現行XSR900の圧倒的「しっくりくる感」でより09のポジションの妙を感じてしまったのだった。
そして何を隠そう発表された2024年のブランニュー09である。
「モタードライク」というアイデンティティを捨て去り、シャシーに合わせたポジションへ刷新され、純粋なストリートファイターとして09は生まれ変わった。※なんで最初からこうしなかった?
ともあれ、私は2代目の「モタードライク」なポジションと癖のあるハンドリング(何しろフロント荷重が掛けづらいので、コーナー手前でかなり意識してガツっとブレーキングするクセが勝手についてたけど…)は嫌いでは無かったので、これを昇華する格好のMCを3代目に期待していたのだが、ちょっと違ったよね、ということである。
やっぱりスズキが好きすぎた
これでズッコケてしまう人も居そうだが、私は予てより圧倒的スズキ箱推しライダーである。
過去に所有したバイクの7割がスズキであることがそれを如実に表している。
MT-09はバイクとしては気に入っていたが、所有している間中「何故自分はこんなにもスズキ推しなのにスズキに乗っていないんだ?」と、常にアイデンティティ揺さぶられていた。
あと、今回乗り換えた車両は私が09を購入した時期(2023年初頭)『在庫が全然市場に出回っておらず、そもそも比較検討すら出来なかった』のだ。(当時はスズキに裏切られた気分でとても憤慨したが、冷静になるとただのメンヘラである)
それが、昨年秋頃にNEWカラーの発表とともに発売された2024年モデルは普通に在庫豊富で購入できる状況になっていたというのも大きい。
シャシーだなんだと高説たれといて結局それかよと思われたかたも居るだろう。本当に申し訳ない。
まとめ
以上、あーだーこーだと不平不満を書き連ねてしまったが、全体的には装備やコストパフォーマンス含めMT-09は良いバイクである。
4代目になり、よりよくなっているだろうが3代目でも十分良いバイクであったし、何しろ「軽い」ということは大型バイクに於いては大正義である。みんなにオススメできると思う。
だけど私はは多少見た目やディテールの品質、装備が劣っていても、性能抜きにして「パッション」を感じるバイク(勝手にストーリーを作っているだけだけど)に乗りたいと思います。
09今までありがとう。
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