共通テスト鼻マスク問題に関する私見

 皆さんもご存じだろうが、今月行われた大学入学共通テストにて、成績無効になったのち逮捕された受験生が出た。ご存じないという方はまずは以下の記事に目を通していただきたい。

 これについて、妥当だとする声もあれば、脳科学者の茂木健一郎氏やマスク問題評論家の奥野純也氏(マスパセ氏)のように監督側を批判する声もある。
 鼻マスクを正さなかった受験生(以降、鼻マと表記する)の年齢が公表されてからは、それを巡った議論も起きているようだ。
 ここで、この問題に関する私の考えをまとめておこうと思い立ち、数か月ぶりにnoteにログインした。

1.失格処分の是非について

 鼻マ擁護者の件として挙げられているものとして、まずは「失格(成績無効処分)は行き過ぎている」というものがある。あくまで注意にとどめるべきであり、失格処分で受験料やこれまでの努力が水の泡と化すのはかわいそうだというのだ。
 私はこの処分について、何ら問題ない、妥当なものだと考えている。

 上記のリンクは大学入試センターが出している「受験上の注意」である。
 5ページの③マスク着用 にあるように、マスクの持参および試験場内での正しいマスク着用が求められているのがわかる。

画像3

(大学入試センター「令和3年度 大学入学者選抜にかかる大学入学共通テスト 受験上の注意」より引用)

 続いて、11、12ページの (2)不正行為 の項をご覧いただきたい。②キを見ればわかるように、試験場で監督者等の指示に従わない場合不正行為と認定されることがあるのだ。仮に認定されてしまえばその場での受験の中止および退室を指示され、その後は受験できず、すべての教科・科目の成績は無効となる

画像1

画像2

(大学入試センター「令和3年度 大学入学者選抜にかかる大学入学共通テスト 受験上の注意」より引用)

 今回、鼻マは6回監督者からマスクを正しくつけるよう指示を受け、休憩中にも注意されたにもかかわらず、それに従っていない。また、別室への移動指示も拒否している。まさに②キの「監督者の指示に従わないこと」に該当する行為だ。
 また、監督者はいきなり失格にしたのではない。6回目の注意の時点で「次の注意で無効になる」と警告している。その警告を無視したのだから、成績無効にされても致し方ないだろう。
 これらのことから、私は失格(成績無効)処分は妥当であると考えている。
「鼻がマスクから出ていたくらいで失格なんて!」と憤る人がいるが、それは正しくない。あくまで、監督者の指示に従わなかったから処分を受けたのである。そこを見誤ってはいけない。

2.マスクの着用方法について

 鼻マは「これが自分の正しいマスクの着用で、不正行為の指示はおかしい」と教室移動の指示に応じなかったという。では、正しいマスクの着用方法とはどのようなものなのだろうか。
 以下のページがあった。

 いずれにおいても、鼻までしっかりとマスクで覆っている。鼻をマスクから出すのが正しいつけ方だというのは詭弁である。

3.マスクから鼻を出した理由

 なぜ、鼻マはかたくなにマスクで鼻を覆うことを拒んだのか。病気など何か深刻な理由があったのだろうか。毎日新聞の取材に対し、次のように述べている。

「眼鏡をかける人なら分かると思いますが、鼻まで覆うと眼鏡が曇ってしまう。そうなると問題文が読めない。問題文が読めないと問題も解けないから……。」

 心底呆れたというほかない。
 眼鏡のくもり止め用品はいくらでもあるし、コンタクトレンズという方法もある(問題文が判読不能なレベルで眼鏡がくもるほど、試験会場が寒かったのか?という疑問はここでは置いておく。筆者は当日の会場の様子を知らないので、下手に突っ込むのは問題だろう)。受験に対し備えていない鼻マの落ち度である。
 また、当日予測不能なほどに寒かった、または対策したが意味をなさなかったとしても、追試験の受験を申請という方法が適切である。(主に知覚過敏等病気での申請であるため、眼鏡のくもりが認められるかどうかは定かではないが……)

画像4

(大学入試センター「令和3年度 大学入学者選抜にかかる大学入学共通テスト 受験上の注意」より引用)

 また、大学側は、マスクをきちんと着用できないのであれば、別室で受験できることも説明していたが、男は拒否したという(下記記事より引用)。

 本来追試験を申請すべきところ、マスクなしで別室での受験を認められたにもかかわらず拒否したのだからどうしようもない。ただの我が侭だ

4.年齢について

 鼻マが49歳男性と報じられてから、その点が強調され話が語られているように感じる。
 ここで私が強く言っておきたいのが、大学入学を目指すのに年齢は関係ないということだ。18歳の高校3年生だろうが、成人した浪人生だろうが、30を超えた会社員だろうが、49歳のおじさんだろうが、還暦をすでに迎えた老人だろうが、学びたいという意欲があるのならば受験は自由であり、そのこと自体をとやかく言うのは避けるべきだ。
 「49歳にもなってこんなアホなことやってるのか」という呆れなのだろうが、そもそも49歳でなくとも大学受験する年齢でこのような行為をしているのはおかしい。たとえ18歳であろうともだ。年齢が判明していなかった頃は「これからの学ぶ機会を~」や「若気の至りなのに」という擁護の声があったが、そんなものは理由にならない。18歳であろうと「いい年齢して何やってんだコイツ」となるのがオチである。
 インパクトがあるため大きく取り上げたいのはわかるが、下手な煽り方では現役生以外が大学受験をするというだけで白い目で見られることになりかねない。各報道機関には、年齢よりも試験会場の対応が問題なかったことを強調していただきたい。

5.逮捕について

 逮捕だなんてひどい!それはやりすぎだ!という声もあるかもちらほらとではあるが見かけた。
 だが、逮捕の件とマスクの件は直接関係ない。鼻マの罪状は不退去罪である。夜10時までトイレに立てこもり、警察の要求も無視していた。(夜10時のソースや不退去罪については以下参照)

 しかも現行犯逮捕だ。「マスク着用を迫るみせしめだ!」などというのは勘違いも甚だしい。
 逮捕についても妥当であるというしかない。

6.彼はどうすればよかったのか

 ①メガネのくもり止め対策を行って試験に臨む
 ②メガネがくもって問題文が読めないことを伝え追試験を申請する
 ③別室受験の要請に応じる

このうちのどれか1つをやればよかった。以上だ。

やはり鼻マの自業自得であり監督官はじめ会場側には何ら落ち度はないという結論に至った。

 いや、しいて言うのであれば、6回も注意ですませず、もっと少ない回数で失格処分にすべきだったということだろうか。鼻マへの恩情だったのかもしれないが、他の受験生が集中をかき乱され迷惑な思いをしている。何ら落ち度のない、まじめな受験生たちへの影響をもっと考えるべきだったとは言えるかもしれない。

 鼻マは「自分の主張が認められずいらいらしていた」、「体調は万全で、せきやくしゃみをするようなことはなくて、飛沫(ひまつ)も鼻から出ることはない。飛沫は口からも出る。席も一番前だったので、誰かに迷惑をかけたわけでもなく、何で失格になってしまうのか分からない」と述べたというが、自分ルールの前に社会や試験会場のルールを守ってほしいものだ。


 今回、鼻マと同じ部屋に居合わせた受験生は部屋の移動を余儀なくされ、試験開始時間もずれたという。同情せざるを得ない。まだ受験は続くが、彼らが今後の試験ではトラブルに見舞われることなく実力を最大限発揮できることを祈り、この記事を終えることしたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?