ラブという薬、平謝り、kigakari

今日図書館で元ストライカーズ星野くんの本を見つけた。出版している事は知っていたけど実際図書館で目にするとミーハー的に「おぉ凄い」と思わず手に取って読ませてもらった。（むしろ今まで読んでなくて申し訳ない。）

とても面白かったんだけど、読みながら思い出したことがあった。数年前の弾き語りで彼と一緒にやった時に、僕のMCで彼を傷つけてしまったのだ。内容は割愛するけどライブ後に星野くんからその事を告げられ平謝りしたという苦い記憶。

僕からしたら、皆が笑ってくれるだろうなって思った軽口なのだけど、精神科医でもある彼を傷つけてしまうなんて今更ながら、自分を恥じて落ち込んだ。や、彼が精神科医であろうとなかろうと、だ。

本を読む途中からその記憶で頭が埋まってしまい、一旦読むのをやめた。あまり具体的な記憶というのを僕の性格上持っていないのだけれども、思えば僕の人生ってそうやって安易な考えからくる言動で誰かを傷つけたり、嫌われたりしてきた道のりだったような気がする。

じっと自分の心を見つめていると、おそらく僕はある時期まで

「もしかして誰かを傷つけてしまうかもしれないけど、とにかく笑えればいい。もっと言えば自分すら傷ついても構わないから馬鹿馬鹿しいくらい笑いたい。」

みたいな思いに囚われていたように思う。なんでだか理由が分からないけれど、それが強迫観念のように。もしかすると稲中とか読んでたからかなぁ、、、だとしたらどんだけ浅はかなんだろう。とにかく笑えるかどうか、ということが自分のモチベーションの大部分を占めていたような気がする。色々あってその思考回路を今は持ち合わせていない。

身悶えする、というか心悶えするような思いでいたらまた別の記憶が蘇る。これも数年前になるけど、色々な自分の中でネガティブなことが重なって、精神的に追い込まれ明らかに自分でもおかしいなという状態になった時期があった。

仕事で言えばダブルブッキングやすっぽかしをしてしまったり、恒常的に耳鳴りが続くようになったり、一番酷い症状としては集中していないと目が回りだしたり、見えてる世界が急にぐんにゃり歪んで見えたり、視界が急に横にスクロールしたりという。

ある時は気づいたらバイクで首都高を走ったりして、こいつはやばいなと思った時に思い出したのが星野くんだった。

正直、長年の付き合いである彼に自分の置かれてる精神状態を伝えるのはかなり躊躇したけど、このまま行ったらうっかり死んじゃうかもな、という危機感もあったりして相談したのだ。

したらば彼の先輩にあたる先生を紹介してくれて、一度話をしに病院に行かせてもらった。星野くんもその日病院に居てくれたんだけど、その時の彼は今まで僕がバンドマンとして向き合っていた彼とは全く違っていて、確実に精神科医としての星野くんだった。

具体的に何を話したのかあまり覚えてないし、実際に診察してもらったのは先輩にあたる先生だったんだけど、当時

「やっぱ星野くんってすごいな」

と思った記憶がある。（僕はバンドマンとしての星野くんもとてもリスペクトしています。）バンドやってて医者ってのもネタみたいなもんだよなと浅はかな僕が思ってたものと、実際に面と向かうと全く違うというか、、、。変に僕に同情して優しくしてくれるとかじゃないんだけど、こちらの気持ちを推測った上で、丁寧に接してくれるというか。そりゃ本も出すわ。

で、実際星野くんの先輩にあたる先生に、話を聞いてもらうと

「別に鬱病とかじゃなく、今悲しい現実が沢山起こっているから不安定になっているのかも」

「身の回りで死んだ人のことを一人で頭の中で考え込むのではなく、口に出して周りの人と話したほうがいい」

みたいな事を言われたんだと思う、、、、違ったかなぁ。

閉じた本の表紙をじっと見つめながら、しばらくそんな事を思い出していた。

MCの時の件と、この病院で世話になった件の時系列的前後関係も不確かだけど、そんな彼を傷つける自分ってどんなクソ野郎なんだろうと今また再び落ち込んだ。

落ち込みながら本の続きを読んだら、いとうさんとの軽妙なやりとりに救われるみたいな、そういう大袈裟なことではないけど、重い気持ちを抱えて行くのが人生だよな、みたいに自分自身を納得をするようになっていた。

僕は自分の人生を恥じながら生きている。常に思ってるわけではないけど、、、、もしかしたら常に思っているかもしれない。今まで自分がしてきた事や口にしてきた事が、どんなに愚かなんだろうと思う部分が多々あるのだ。少ない記憶しかないのに、そういう類いの思い出は沢山ある。とても悲しい。そして皆さんごめんなさい。

逆に昔の自分のような振る舞いをしている人を見ると、気持ちがとてもよくわかったりする事もある。（とにかく笑えればいいでしょ！みたいな事ではなく、主観バリバリの言動で周りに迷惑をかけてる、みたいな人たち。）時に、僕が誰かから傷つけられることがあったりするけど、心の中で

「そうそう、そういう事を僕もしてきましたから」

と正面から受け止めるようにしている。罪滅ぼしとかそういうんじゃなくて、共感しているのだ。人間ってそんなもんだよな、と思いながら果たしてどうやったら僕の視点でこの今を良い方に変えられるのか、それが世界平和に繋がっていくハズだ、とか本気で考えていたりする。

でも、そんなんじゃまた近いうちに星野くんに連絡することになるかもしれないな、とか思いながら本を読み終えた。