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基礎③ 完成画面のイメージ
■基礎①でコンテより完成画面をイメージして必要な事柄を把握すると書いたが、では完成画面のイメージとは何か?
完成画面のイメージは以下の二つの意味が含まれている。
① 絵を組み上げるビジュアル的なイメージ
② 画面を構成する素材の組み方イメージ
この「基礎③」では「②」を説明していく。①は別のタイミングで。
素材の組み方イメージに必要な三つの事柄
■必要なのは画面を構成する素材を「誰がどの作業をするのか」を明確に振り分けできるかで、その時必要な事柄は「撮影」「セル」「美術」の三つに大きく振り分けられる。
「撮影」とは各セクションから集めた素材をまとめ上げ、特殊な処理などを加えて映像化する部署名。
「セル」は業界内でアニメーターが用意する素材として主に使われる呼称。かつてはセル画という透明なセルロイド素材に描かれた物を撮影台で一枚づつ撮影していたことに起因。
「美術」はアニメーションにおいて背景美術を指し、言葉そのままにアニメの背景を描く部署名。
この三つを具体的にイメージすることが完成画面を導き出すなかで重要になって来る。
具体的に素材をイメージ
■ではどのように三つの事柄を完成画面にイメージするのか?
ラフに描かれた絵コンテを例に考えてみよう。
上記の絵コンテよりキャラクター設定や美術設定があった物と仮定してざっくり描いた下記のレイアウトを元に各素材をイメージして三つの事柄に振り分けてみよう。
「撮影」素材は小雨
「セル」素材は主にキャラクターだったり、動くものに振り分けられる
「美術」素材は背景とキャラクターに被ったしげみ部分
キャラクターに被る背景は「BOOK」として扱われる
これらを絵コンテを見ながら絵を作る前に大まかに把握が出来ることが必要で、色々なシチュエーションがある中、何が必要かをぼんやりでもイメージすることが大切。
セルとタイムシート
■撮影が映像として素材をまとめる際、セルの順番や撮影へのオーダーを書く「タイムシート」が存在する。
このセルとタイムシートの紐づけが甘いと商業アニメーションでは大変困ったことになり、完成画面にも影響してくる。ではセルとタイムシートの関係性とはどのようなことなのか?
かつての撮影台の持つ感覚をそのままイメージにつなげると分りやすい。
タイムシートには「セル」と「カメラ」の枠しかなく。用意した素材がどのように組まれるのかを書きこむ必要があり、集団作業である商業アニメでは作業者に伝わるようシンプルに組み上げることが求められる。
実際のタイムシート指示で考えるなら下記のようになる。
※動きセリフは無視してます。
まとめ
完成画面のイメージには
「絵を組み上げるビジュアル的なイメージ」
「画面を構成する素材の組み方イメージ」
の二つがあり、後者をイメージするには「撮影」「セル」「美術」を意識して絵を素材として分解し、どれに当てはまるかを意識して「セルとタイムシート」の連動をシンプルに組み上げることを忘れてはならない。
完成画面のイメージが画面の全てをコントロールする上で重要な事柄。
自身の為にも作品の為にも完成画面のイメージは大切に。
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