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咲季Pの苦悩

彼は決断を迫られていた。
今まで多くのアイマスブランドでP業を経験し、何が担当アイドルにとって最善のプロデュースであるかを常に自らの心に問いかけてきた彼が、花海咲季の方針について心を決めあぐねていた。

彼女は、「お姉ちゃんは全ての勝負において妹に勝利する」という存在であることを自らに課している。
しかし、妹のあらゆる能力が、数値が、彼女の敗北が近いことを告げていた。

彼女の有利な舞台だけを選べば、まだ敗北を先延ばしにできる算段が彼にはあった。
だがそれは、完璧なお姉ちゃんであろうとする彼女のアイデンティティを放棄させることに他ならない。

敗北を予期しながらも彼女を勝負の場に送り出すべきか、
彼女の人格形成の根元から否定しかねない方向に舵を切るべきか。

どちらも不正解となりうる、理不尽な二択だ。
彼は一晩悩み、心を決めた。

「咲季さんの、勝てる舞台で、戦おう」

決意してからの行動は早かった。
咲季と佑芽のコミュを見直し、二次創作を漁り、健全絵もセンシティブ絵も摂取し、彼女に何ができるのか、何ができないのかを緻密にイメージした。

そうして導き出された答、佑芽よりも咲季が上回っていると確信できる種目、それは、
「Pとの情事の後で具体的な感想を伝えてくれる学マスアイドルランキング」だ。

これだ。
見た人に想像を掻き立てさせ、咲季の魅力をキャッチーに伝えることができる上に、彼女に1勝をプレゼントできる一挙両得の施策だ。

素晴らしいプロデュースだ、と達成感に満たされた次の瞬間、
私はあることに気付いてしまい、絶望に飲み込まれた。

そうだ。この種目では確かに佑芽に勝つことはできる。
だが、1位にはなれない。
この種目の頂点に立つ存在、それは、、、





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