「ふらっと立ち寄れる地域の居場所」のありがたみを痛感した育児休業
自分の連載を更新していたのでご紹介。「荻窪家族」オーナーの瑠璃川正子さんにインタビューした『実家を「地域開放型コミュニティスペース併設賃貸住宅」に建て替えた理由』です。
育休中、「目的もなく、誰がどれだけいてもいい場所」の大事さを痛感していました。ベビーカーに乗った赤ちゃんが起きていても寝ていても問題ない場所で、「何時までに来て」という時間の縛りもなく、ただ歩いたり、物を見るだけでいい場所。家の近くにある小規模なデパートはおむつ替えもしやすくていいのだけど、毎日行くと顔を覚えられそうで(覚えられて問題はないのですが)ちょっと行きにくい。児童館はおもちゃもあっていいのだけれど、午前中だけとか時間が決まっていて、寝るタイミングなどによっては行けずに終わる。結果、スーパーと公園のありがたみをすごく感じていました。
公園の包摂っぷりはすごい。子ども、学生、親子連れ、いろんな年代の社会人、高齢者、みんないる。ある程度の広さがあれば誰がどれだけいても、何をしていてもほとんど気にならない。タイミングがよければスタバやマクドナルド、コンビニ、パン屋さんで飲み物や食べ物を買って食べたり。育休中の孤独な母には、人が存在している(自分の姿がぼろぼろなので話したりしなくていいのも大事なポイント)だけで癒やされるし、いろんな人がいることで「自分もいていいんだ」と思える空間。ちょっと大げさだけど、そんなふうに思っていました。
スーパーもいい。牛乳1本、パン1斤だけでも、毎日何かしら買う物はあるし、「こんなのあるんだ」と一通り店内を見て回るだけで、1時間弱かけられるし。以前、高齢者の居場所というテーマで取材したときに聞いた「1日1回スーパーに行くのが唯一のお出かけ、スーパーがなくなったら行くところがなくなってしまって引きこもりになってしまった」というお話が、かなり実感をもって理解できました。
荻窪家族は、そうした地域のちょっとした居場所、お出かけできる先を、集合賃貸住宅の一角に作ったもの。そこに至るまでの瑠璃川さんの経験やたくさんの出会いについてまとめました。実両親と義理の両親、計4人の介護をされて、4人分の老後の過ごし方を間近に見て考えられたこともとても興味深かったです。
高齢者の居場所という側面が強いけれど、「多世代」をうたっているように、子育て世代にもありがたい場所なのではないかなと思います。実際に、ハロウィンやクリスマスキャロルなど、子ども関連の催しも増えているそう。歩いて行ける、地域の中にこういう場所があることがとても意義深いと思います。最後に瑠璃川さんがお話されている、「ご近所に30人仲間をつくって、毎日どこかの家でお茶会を開くことにすればいいのに、と思います。月に1回くらいなら自宅を開放できるんじゃないでしょうか。行きたくなった日だけ、その日お茶会をやっているお家に行って、おしゃべりができればいいのにと思います」という言葉、最初は大変そうだけど、とてもいいなと思いました。
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