実質90%オフで「産後ケア入院」した話
コロナ禍真っ最中だったこの夏、娘を出産しました。里帰りなし、普段は夫も忙しくしている私が産後に利用したのが、出産のための通常の入院に4泊5日プラスする「産後ケア入院」でした。
産後ケア入院とは、出産後の母親の身体と心を休ませながら、新生児の育児をサポートしてくれる入院のこと。病院や助産院、専門の施設で行われています。
5年くらい前に、とある自治体で産後ケア施設を立ち上げた方の記事を編集したことがあって、「自分も出産する機会があれば、そんな施設を利用したいなー」と思っていました。
しかし当時、東京で宿泊できる産後ケア施設を調べると、お部屋もサービスもとっても素敵だけれど、お値段もとっても素敵で、低価格のお部屋でも1泊5万円から、といった状況。産後ケアだし、1泊2日では短すぎるけど、4泊もしたら20万円超え……!(しかも15泊が人気とか書いてある、リッチすぎん!?)
育休でお給料もなくなる時期だし、これは決心できないかもなあ、と思って、そのときはブラウザをそっと閉じました。
すべり込みセーフで自治体の費用助成がスタート
そしてときは流れ、2021年。ついに出産の機会がやってきて改めて調べてみると、さまざまな自治体が産後ケアの費用助成をする仕組みをつくっていることが分かりました。しかもタイミングよく、産後ケア事業の実施が市区町村の努力義務になる法律(改正母子保健法)が2021年4月1日から施行されていたのです。ありがたい!
私は、出産した病院でそのまま産後ケア入院ができたらいいなと思い、自分の住んでいる自治体の産後ケア事業を調べました。すると、自治体が産後ケア入院の費用助成をしている病院は1つだけ(今では4病院に増えました!)。しかもその病院(以下、A病院とする)も産後ケア入院の取り組みは始まったばかりということで、ギリギリ間に合いました。
A病院で出産した人だけが対象になるということだったので、出産したい病院も自動的に決まりました。
A病院の産後ケア入院は、料金でいうと1泊2万8000円(税別、個室料別)で、最長4泊5日。つまり税込で12万3200円かかります。これが、自治体の費用助成を利用すると1泊3000円(個室料別)に!
4泊5日でも1万2000円となり、ほぼ90%オフのありがた制度があったのです。
そこで、最長期間の4泊5日利用することに。たまたま逆子で帝王切開の予定だったので、4泊5日を追加した上で、夫が迎えに来られる日曜に退院できるよう、手術日を設定してもらいました。
「プラス5日」の産後ケア入院のありがたみ
出産のための一般的な入院と、産後ケア入院の違いは、専門の施設などではなく病院だったためか、あまりなかったのですが、オプションメニューがあるのが特徴的でした。私は、個別沐浴指導(2000円)を申し込みました。コロナ禍で一度も経験できていないので、ありがたかったです。
オプションメニューは、ほかにもベビーマッサージ指導(2000円)や、骨盤ケア(2000円)などがありました。
あとは、一般的な入院のときと同じく、新生児室に赤ちゃんを預かってもらって自分の体を休めたりお風呂に入ったり、3食おやつ付きの病院のご飯を食べたり、昼夜見回りに来てくれる看護師さんに自分の体や新生児のお世話で困っていることを相談できるというものでした。
初めての育児で、授乳に悩んだり(ほとんどの悩みが授乳関連)、ちょっとした疑問がなんだかんだと出てくるので、毎回アドバイスをもらっていました。
▼ちなみに病院のご飯はこんな感じでした
なお、A病院の産後ケア入院はコロナ禍でなければ夫も1泊4000円で泊まれるらしく、育児を習える環境で一緒に泊まれるのはとてもいいな!と思いました。コロナ禍でなければぜひ利用したかった!(ちなみにコロナ禍で夫の面会もできなかったため、名付けの最終決定が心もとなかったです)
入院する前は、4泊退院が延びるだけ、という気持ちだったのですが、生まれたての赤ちゃんの進化はすさまじく、毎日かなり状況が変わります。産後すぐは自分の身体を休めなければと思いつつも、授乳を軌道に乗せたり育児手技を獲得するのに必死でした。合計2週間弱の入院で赤ちゃんも母親もお互いに慣れて、いろんなパターンを学んで対応できることが増え、余裕が生まれてきたタイミングで退院ができました。1日の過ごし方のペースも掴めてきて、夫との育児シェアの方法を考える余裕も生まれたくらいです。
ほかにもいろいろ産後ケア事業
産後は出産で身体に負荷がかかり、ホルモンバランスが崩れます。初産婦の場合は慣れない育児が加わって、産後うつや虐待のリスクが高まるとのこと。メンタルヘルスの不調を起こすリスクは産後2週間でピークを迎えるとの報告もあり、産後の2週間をすぐにプロに助けを求められる環境で過ごせたのはとてもありがたかったです。
最初の1週間くらいは、まだ慣れなくてうまく授乳できない赤ちゃんが夜中に泣き叫ぶこともあったので、1人で対応しなければならない状況だったら私もかなりツラい気持ちになっていたかもしれないな、と思いました。
ちなみに産後ケア事業には、入院などが分類される宿泊型の他に、日帰り型のデイケアもあり、そちらもたびたび利用しています。私の住む自治体の場合、助産院などに1日1000円で滞在でき、赤ちゃんを預けて睡眠をとったり、育児や授乳の相談ができるという事業が展開されています。
他にも、自宅で家事・育児をしてくれる「産後ドゥーラ」を1時間800円で利用できる自治体の費用助成があり、とても助かっています。
調べてみたら、いろいろ充実していた自治体の産後ケア事業。今は産後ケア事業にかける予算は自治体ごとのバラつきが大きいと思われますが、政府が2021年6月18日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針2021)でも産後ケア事業の推進が打ち出されているので、さらに整備が進んでいきそうで楽しみです!