エッセイ 虚空に吠える虎
我の進路はとうとう、コペルニクス的展開を迎えつつある。(この記事を読んだ友人から、コペルニクス的展開とは何ぞやと言われたが、吾輩もそんなことは知らない)
読者諸賢にはそこまで大したことないだろと言われそうだが、まあそれはそうであろう。我の人生における価値なぞ、我にしか分からないからである。
とは言え、就職活動が上手くいかないからって、小説家になると豪語するのは聊か早計ではなかろうか、とも思う。読者諸賢、「お前は人生を舐めている」と灼熱の鉄槌を下すなら、今である。やるなら本当に今しかない。ビジネスパークの山中で咆哮を上げてからでは、遅いぞよ。
はい!もう遅い!遅いぞよ。愚かな読者たちよ。我はついにエントリーシートを紙飛行機にして、虚構の自己PRとともに飛ばしてやったぞ。もう我は誰にも止められまい。
愚かな読者たちが、面白半分に我の人生をほくそ笑むせいで、我はとうとう小説執筆に着手した。
自分が経験した大学生活について書いているつもりだが、早速、自身の執筆能力の無さに絶望している。6000字に到達しそうだが、「コレジャナイ」感が否めない。自身の高慢な文章力と自身の脆弱な自尊心が相まって、「名もなき妄想王」へと止揚する我に手をこまねくという現在である。
とりあえず、地に足を付けたいと思い、マイナビを検索する。何も出てこなかった。
体毛が一層、濃くなる。風呂に入ると、やたらと獣くさい。ふと思索にふけようと、ビジネスパークに行って散歩することが増えた。そして、「あーあー」と言葉にならない雄叫びをするようになった。階段を登る時は、四足歩行の方が都合が良いことに気づいた。
今日こそ、早く寝なければならない。