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質問-3 Bebop(ダンス)の名前の由来と、Jazz音楽のBebopとの関係について知りたい

ダンスの由来


ダンスには音楽が必要で、音楽には音楽をかける場所、人が集う場所が必要で。

何かを創る人がいきなりインスピレーションが湧いて、ダンススタイルを創り上げるってのは稀で、創ったダンサーを取り巻く、様々な環境、人達からの影響を受けてインスピレーションが湧いてくる。それを観て誰かが影響を受ける。その人の見てきた景色や、歩んできた歴史が滲み出て、出来上がっていく..

あなたの気になったダンス、
出来上がる過程に想いを馳せてみるのも楽しいかもしれません。


名前の由来を知りたい!
Bebop Friend カズマくんの素敵な生徒さんからのご質問をいただきました。

私が日本で始めた頃は、由来に想いを馳せられなかった。素晴らしい質問だなあと感じます。最近になって調べたり聞いたりしている次第です。
みなさんご一緒に、由来を想像していきましょう。
Bebopの名前の由来。

初めてこの記事を読まれる方で、
UK JAZZ DANCE 、BEBOP、FUSIONって何 ? な方は
こちら記事からご覧ください。


質問-3  Bebop(ダンス)の名前の由来と、Jazz音楽のBebopとの関係について知りたいっ

この本から引用していきたいと思います。
UK JAZZ DANCEの唯一の歴史本。
UK JAZZ DANCEのDJとダンサーのインタビューが載っています。日本語版。


Bebopのスタイルを創ったBrothers In Jazz の
Irven Lewisのこの本でのインタビューより。

ワグの2階では俺たち、シルヴェスターというDJに
もっとビバップをかけてくれとけしかけて、FusionとMamboのスタイルを混ぜてビバップの曲に合わせてManboのStepのテンポを速めたんだ。それが俺たちのスタイル、Bebopの始まりさ。

From Jazz Funk & Fusion To Acid Jazz P447 - P448


 

WAGというCLUB、シルヴェスターというDJ、
混ぜたダンススタイルはFusion、Manbo … 
一つづつ整理していきましょう!

Brothers In Jazz がWagで踊られている動画です。 
おしゃれーーーーーーー!!!




ワグっていうクラブ。

ワグのオーナーでもあったクリスサリヴァンのインタビューを、メンズカルチャー雑誌GQのwebで見つけました。

Bebopのダンスが生まれた場所でもあり、
Brothers In Jazz のWayne Jamesさんも
先日お会いした時におしゃっていました。

”流行の最先端のクールな箱だった。
元々はWhisky a go goという店で、頭文字Whisky A Gogoの頭文字の省略でWAGというクラブになった。Brothers In Jazzはオーナーのクリスサリヴァンに、気に入られ、誰でも入れない特別なクラブに入ることができた。周りの人達が、俺たちがJazzで踊っていたら、Brothersと言った。そしてBrothers in Jazzと言ったんだ” 

この話、 
Bebop 好きな人は痺れませんか? 
周りの人が言い始めてこんなかっこいい名前になっちゃう?!やっぱりそれくらい斬新なかっこよさがあったんだろうな。行ってみたかった。


そしてこのクラブ、 
どれくらいCoolだったかというと..  
上記記事抜粋。 
 

ボーイ・ジョージ、ゴルチエ、デヴィッド・ボウイ、シャーデー……。
1970年代後半から80年代のロンドンを彩ったカルチャー・ヒーローたちがこぞって集まった伝説の「ワグ・クラブ」一流のアーティストが集っていたお店です。
一見さんお断りのようなお店だったそう。


そんな最先端のスタイルがひしめきあっていた場所で生まれたダンス、Bebop。
WAGのオーナー クリスサリヴァンの音楽やファッションへのこだわりが、大きく関わっているみたいですね〜

ザ・ワグを経営するようになった経緯は? 

ザ・ワグがあまり盛り上がっていないので、一度土曜日にイヴェントをやってくれないかという話を持ちかけられたんだ。何年も前からのつながりのダンサーたちをかき集めて行ったら大成功を収めたんだよ。 

内容をもっとジャズ寄りに調整してほしいと話したんだ。俺はヤング・ホルト・トリオやホレス・シルヴァー、キュー・バップにビバップ、ティト・プエンテなんかをかけてほしかった。分かってもらったよ。 

レトロ・セッションで、それに沿ってバンドをブッキングしていたからフュージョンはかけてほしくなかった。

マーク・マーフィーにトミー・チェイス、スリム・ゲイラードなんかを呼んでいたんだ。より純粋なジャズだったので、それに合わせて違うスタイルのダンサーを呼ぶことにした。 

最初はIDJを押さえていたんだが、あまりそのスタイルがピンとこなかった。50年代風の服装のジャズ・ディフェクターズやプラザース・イン・シャズの方が好みだったんだ。そういう服装を好む各層だったからね。 

 From Jazz Funk & Fusion To Acid Jazz P.321


上記抜粋⇩
内容をもっとジャズ寄りに調整してほしいと話したんだ。俺はヤング・ホルト・トリオやホレス・シルヴァー、キュー・バップにビバップ、ティト・プエンテなんかをかけてほしかった。(キューバップとは、キューバの音楽にJazzが混ざったスタイル、Afro Cuban Jazzとも呼ばれるジャンル)

でました!


音楽のビバップとダンスのビバップとの関係


この頃1980年代、1970年代に出てきたJazz Fusionをかけることが、Jazz DanceのClubで盛り上がっていたそう。その中で、ビバップキューバップかけていこうとするクラブWAGが、Bebopダンスが生まれる土壌だったようです。

そしてダンスの話へ。

Manboは1930年代後半にキューバで流行していたルンバにジャズの要素を加える形で作られ、1940年代後半にダンスのためのManboとして世界的に知られた。(wikiより)

思い出していただきたいのが、冒頭のBrothers In JazzのIrvenのインタビュー。

Brothers In jazz は、FusionMamboのスタイルを混ぜてビバップの曲に合わせてStepのテンポを速めれたんです。Wagがビバップキューバップをかけていくコンセプトの店だったから。

DNA。イギリスの歴史からの文化。ここ大事!


UK JAZZ DANCEを最初に踊り始めた人達は、
カリブ諸島(キューバ付近だよ)を出身の親の子供たち世代のイギリスの黒人達です。彼らが10代20代の時に、クラブで踊ったダンス。現在2024年にだいたい70-50代の方達。

イギリスにはその前にも黒人の方は移住していたが、
戦後1948年から1971年にカリブ海(ジャマイカ、バルバドス、トリニダードトバコなどからの)移民のウィンドラッシュ世代の2世です。移民の歴史が気になる方はこちら。


イギリスの黒人の歴史は、ダンスや音楽のカルチャーにとっても繋がっている、もはや、それはそのもので、過酷な時代を生きていく中で、文化(音楽やダンス)が必要だったとUK JAZZ DANCE世代のDJ ガーストーマスが語ってくれた。ちょうどイギリスの映画バビロンの話をしていた時。UK JAZZ DANCEにも繋がるお話なのでぜひ。

カリブ系移民、British Afro-Caribbeanや、British Black Caribbeanや、West Indianと言われています。そういったイギリスの黒人の歴史を取り扱ったイギリス映画はいくつかあって、こちら貼っておきます。


話をUK JAZZ DANCEに戻すと、
1950年代のJazzのBebopやAfro Cubanなどの音楽がかかるクラブでAfro Caribbean - ウィンドラッシュ世代二世のイギリスの黒人ダンサーが反応してダンスが出来上がっていく。1980年代。

白人や黒人のDJのBlack Musicのレコード収集により、
音楽が時を超えて、ルーツに繋がり、クラブで、ダンサーの身体を通して化学反応を起こしたかのようなダンス。

UK JAZZ DANCE。
イギリスで生まれたダンス。
そこに住んでいる生きている人々の歴史が、出会いが、文化となっていった。

混ざっていく世界。
彼ら黒人の文化(Dancer, Manbo, Fusion, Jazz, Reggae Sound System)と、
イギリスの白人の文化(Northern Soul やBalletやDJやCLUB ORNER )
の要素が混ざって生まれたダンス、UK JAZZ DANCE -
特にBEBOP STYLE。


彼らが、思いっきり自己を表現をできる場所を創っていったこと、その音楽に何を感じ、同じJazzという熱狂の中で、様々な人種が混ざっていくようになった
このUK JAZZ DANCEというか、CLUB CULTURE。音楽とダンス。それは彼らが出会ってきた人達や音楽やダンスや場所が、身体と魂を通して出てきた一つのダンスカルチャー。一人一人のダンス。 

生き方。

このダンスを知ることは、ダンスだけを知ることではないと感じてきました。  

この記事を書きはじめた日が、6月22日、イギリスでウィンドラッシュデイだったから、遠くない昔に、イギリスの植民地からイギリスに移住されてきた方達の様々な体験に想いを馳せながら書きたいことがでてきた。
 
 

ダンスってなんだろう。

DJのガースが言っていたことで、
泣きそうになったことを最後に書いて終わります。

彼は、Afro Caribbean - ウィンドラッシュ世代二世のイギリスの黒人世代で、ジャマイカ生まれの両親を持ち、ロンドンで生まれ育った。小さい頃に受けてきた差別の話しも聞いた。彼はジャマイカにはいったことがない。

彼はUK JAZZ DANCE FUSION界隈の人で、
UK JAZZ DANCE世代。
UK JAZZ DANCEの当時の話を聞いていて 
出てきた言葉。


”俺たちは、初めて俺たちのダンス、 
文化を創ったって感じれていたんだ。 
それが生きていく世界に必要だったんだ”









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