「あれ以降、ギャルゲーをプレイすることはなくなった」一宮真純氏に聞くその真意_その2

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インタビュアー:
 実際にWHITE ALBUM2をプレイしてみてどうでしたか?

一宮氏:
 一言では言い表せないですね(笑)。まずは高校生活を描いた「introductory chapter」(以下,IC)から話したいと思います。
 最初は普通の恋愛ものだと思ったんです。ただ、先ほどプレイしたゲームでも挙げた通りなのですが、今までプレイしてたゲームが魔法や異世界、などのファンタジー要素が入ったギャルゲーばかりだったんですよ。なので「本当に普通の高校生活の話なんだな」と逆に驚きました。

インタビュアー:
 プレイされたゲームの中だと「素晴らしき日々」などは同じような学園ものですが、設定や雰囲気は全く違いますもんね。

一宮氏:
 あれは本当にぶっ飛んでいるので(笑)。ギャルゲーにハマった初期にプレイしましたが、出会うのが早すぎて、以降、大抵の作品は受け入れられるようになりました(笑)。まぁそこがたまらなく好きなのですが。
 WHITE ALBUM2については「名作」という評価以外はなにも情報を入れずにプレイし始めたので「こんな普通の日常を描いて面白くなるのかな?」と途中までは懐疑的でした。

インタビュアー:
 どのあたりから作品にひかれ始めたのでしょうか?

一宮氏:
 最初はストーリーよりも演出面に感動しました。特に音楽とCG(一枚絵)が良かった。最序盤に主人公の春希(北原春希)が聞こえてくる歌声を探し屋上へ駆け上がるシーンがあるのですが、その時の雪菜(メインヒロイン、小木曽雪菜)のCGが本当に綺麗だった。屋上で夕日をバックに歌っているという「よくある日常の一コマ」みたいなシーンなのに、その光景がどんなファンタジーよりも幻想的に見えました。ストーリーはまだ分からないけど音楽とCGはすぐに一瞬で気に入りましたね。

インタビュアー:
 キービジュアルともいえる有名なシーンですね。そこからストーリーにもハマっていくわけですね?

一宮氏:
 メインヒロインの二人が本当に魅力的なんですよね。なので音楽とCGの次はキャラにハマったんです。そして物語が進むにつれて「もしかしてこれって三角関係の話なのでは」と気づきました。
 僕はハピエン村の出身なので浮気ものとかは正直、あまり好きではありません。だって選ばれなかった方は傷つくじゃないですか。WHITE ALBUM2がそういうテーマの作品なのではと気づいたときは、この先の展開がかなり不安になったのを覚えています。
 実はWHITE ALBUM2の前作(直接的なストーリーのつながりはない)である「WHITE ALBUM」についてはアニメの最終話だけ見たことがあるんです。本当に最終話だけしか見ていないのでストーリーやキャラクターなど何も分からないのですが、その時に流れた「POWDER SNOW」という曲が大好きなんです。WHITE ALBUM2の中でも「POWDER SNOW」が出てくるのですが、その影響で「あぁ、前作も三角関係の話なんだな」と察することが出来ました(笑)。

インタビュアー:
 そうなるとICの中盤以降はかなりつらかったのではないでしょうか?

一宮氏:
 本当につらかったです。実況配信などをしているわけではない、完全な一人の状態でプレイだったのに「え、この曲の歌詞ってそういうこと!?」とか「もうやめて!」とリアルに叫びながらプレイしました。
 今でも若干トラウマのようなものが残っていて、黒部ダムの雪の壁はニュースで見るたびにWHITE ALBUM2のことを思い出しますし、この前に成田空港から成田エクスプレスに初めてのったのですが、「この電車があのときの…」とセンチメンタルな気分になりました。

インタビュアー:
 そんな中でもプレイし続けたのはどんな理由だったのでしょうか?

一宮氏:
 一言でいえば、「この3人の物語の結末が見たい」ですね。今までのギャルゲーはどちらかといえば主人公に感情移入してプレイしてましたが、正直に言えば春希には一切感情移入が出来なかった(笑)。なので途中からはドラマを見ているように第三者視点で見ていました。
 また、ICはギャルゲーによくある選択肢が一切ないんですよね。それによって春希はこちらの意図とは無関係に本当に勝手に行動し発言するんです。それもあってなおさら第三者視点でプレイしました。そうすることによって受けるダメージも少なくて済むんですよね。といっても相当のダメージを受けましたが。
 そうしてプレイを続けるとメインヒロインの二人の行く末が気になったんです。本当に魅力的な二人。でも同じ人を好きになっている以上、絶対に二人ともが報われることはない。そうなったとき、この物語はどういう結末を迎えるのか。怖いけど見たくない、ホラー映画のような、そんなテンションだったかもしれません。

インタビュアー:
 ICで特に印象に残るシーンを教えてください。

一宮氏:
 やはり空港のシーンでしょうか…。一言、衝撃的でした。「After All~綴る想い~」という名曲をバックにとあるシーンが展開されるのですが、雪菜の気持ちを考えるともう叫ばずにはいられませんでした。可哀想以外の何ものでもなかった。そしてこのシーン、確か読み飛ばしやスキップといったギャルゲーの標準機能が使えずにオートで進行したと記憶しています。自分の心を整理する間もなく状況が進む光景に、雪菜と同じ気持ちを少しだけ味わったような、そんな気がしました。
 WHITE ALBUM2では重要な場面でこの演出がされるのですが、これが来ると物語が大きく動くとともに僕の心も大きく動く、というかえぐられるので来るたびに「うわぁ」って感じでした(笑)。

Part2に続く

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