逆襲の背番号15
「今年はやれている」
プロ2年目の今期は確かな手応えを感じていた。
もともとはフォワードの選手だった。
プロになってから足元の技術と視野の広さ、そして正確なロングキックに才能を見出されボランチにコンバートされた。
監督の思考、ボランチの動き方、
少しずつ理解をしていった。
チームを勝利にする決定的なチャンスも作った。
まさに相模原の心臓と呼べる大車輪の活躍だった。
しかし自分を導いてくれた戸田監督はもういない。
順位は高位置につけていたものの
フロントは解任を選択した。
監督が代われば、やり方も使う選手も変わる。
一番の犠牲になったのは彼だった。
J3では圧倒的なクオリティーのベテラン選手
上のカテゴリーから育成型期限付移籍してきた選手
夏の補強で加わった即戦力選手が重宝された。
ベンチ外の試合も増えた。
だけど彼は腐らなかった。
プロのキャリアをスタートさせたこの地で
もう一度這い上がることを選択した。
迎えたプレーオフ進出がかかる大事なホーム最終戦。
スタメンには背番号15があった。
試合終盤でも運動量が落ちない。
良い位置でフリーキックを得た。
もちろんキッカーは背番号15
前田泰良
結果はいかに。