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The Dollar's Collapse is Nearer(ドルの終焉はより近く)

※タイトルをみれば一部界隈の人が何をもじったのか、すぐに分かると思います。もしわかったら、コメント欄にて優しい言葉と礼節をもって指摘してやってくださいw

貴金属が上がるのはインフレの足音が強まっている証拠。そして危機が訪れる証拠。


貴金属が上がるのはインフレの足音が強まっている証拠だ。筆者が投資している銀や金はトランプトレードのアオリをくらって一時大幅に下落していたのだが底を打った可能性があり、上に上がりだしている。ただまだトレンドラインを反転させたかどうかは微妙なところ。もしトレンドラインが反転して、底入れが確定すれば銀の当面の大底は30ドル弱といったところだろうか。ゴールドも2630行っているし銅も上昇に転じてる。悪い地合ではない。

ただ気がかりがある。それは当初思われていたほど、アメリカの政策金利が下がらないらしいことだ。一般に貴金属の価格と債権・株の価格は反比例しやすいと言われている。よく言われるように貴金属は金利を産まない。それに対して債権や株は値上がりの差益もあり株なら配当が、債権なら金利を受け取りながら万期まで待てば元本をも返ってくる。なので一般的に株や債権市場が賑わう時、金や銀は値を下げる、というのが教科書的な見方だった。無論絶対ではなく、ついこの間まで貴金属と株は仲良くどんどん値を上げていた。だがちょっと前の、いわゆるトランプトレードにおいて金や銀や大きく下がり株式市場は上がるという、本来の動きに戻ったのだ。まあそれはどうでもいいのだが、ともかく、今後とも金利がさがっていくとすると、債権の魅力はなくなり、金や銀などが買われやすくなってくるのではないかという予想がなりたつ。だがそれほど金利が下がらないとなると貴金属の上値は重くなってしまう可能性も否定できない。もっともこの点について私はそんなに警戒していない。少し前までの状態、すなわち貴金属投資家も株式投資家もなかよく手を携えて丘の向こうを目指すような状態がまたやってくるのではないかと、少なくともその部分では楽観している。ただし未来永劫そういう状態が続くとも思っていは居ない。 

先程どこかの米銀がFRBが利下げできるのはあと0.75bspだという予想を発表していた。トランプ次期大統領が実行しようとしている政策のせいでインフレがまた再熱し、上で述べた通り当初予定していたほど大きな金利引下げは無理だろうと判断したらしい。これは極めて真っ当な予想だろう。実際各種統計を見ていると、そこかしこにインフレの足音が強まってきているのがわかる。

だがまだ政策金利が4%台もある中インフレが再熱したら、それを抑えるためにはまた今まで以上に高い水準に金利を引き上げる必要がある。もういっそのこと、80年代のボルカー議長が行ったように20%くらいまでやるか?

まあそれは無理だろう。ボルカー時代のアメリカの対GDP政府債務はせいぜい30%台だった(うろ覚え)。だからあんな20%近い金利をつけても財政破綻はしなかった。振り返って現在の米国政府の借金は130%近くで第二次世界大戦時の値を上回っている(そしてこれは我が日本も同じである)。絶対額にして36兆ドル(一ドル155円として、日本円でおよそ5580兆円。「ネットスラング「5000兆円ほしい!」が冗談でなくなっている。事実は小説より奇なりである)近くあり、この値はどんどん増えてる。

日本とアメリカそれぞれのヤバさ


念の為言っておくと「対GDP比では日本の方がヤバい」という人がいる。これはまごうかたなき事実だ。確かに日本のほうが対GDP比で言えばまずい状況になる。しかし絶対額(分母)が大きくなると、たとえ対GDPで言えばマシでも無視するわけにはいかなくなる。例えばここに1000000のモンスター(スライムみたいなのを想像してほしい)の群れが居たとする(A集団)。かたや100のモンスターの群れが居たとする(B集団)。で、このモンスター一定時間ごとに増殖していくのだが、A集団のモンスターの増殖率は0.1%だったとする。それに対してB集団のモンスター増殖率は10%だったとする。割合からすればB集団のほうがずっとヤバいわけだ。しかし絶対数で見るとB集団から新たに生まれるモンスターの数は10匹だ。それに対してA集団の増殖率は0.1%なので100000万の0.1%は1000である。割合としてはA集団のほうが少ないが、出てくるモンスターは明らかにB集団より多い。つまりいくら分母に対する割合が少なくとも、絶対数が大きければそれを無視するわけにはいかなくなるのである。振り返って日米両国の借金を見てみよう。日本はGDPの250%強。対してアメリカはその半分の120~130%。一見アメリカのほうが日本の半分マシではあるが、アメリカは経済規模が大きく、いくら割合的には少なく見えても借金の額も桁違いに多い。それにアメリカは日本と違い対外純債務国であることは忘れてはいけない。それに国民も一部の上層部を除いてほとんど貯金がない。これを比べれば、一概に日本だけが圧倒的に不味く、アメリカは大丈夫だ、という結論に到達するのはちょっと難しいのではないか。客観的に見るならば、日本には日本の、アメリカ(ドル)にはアメリカのヤバさがある、と考えるべきだろう。多分この手の「日本だめ、アメリカ大丈夫」みたいな世論を作り出した人物の一人は、おそらくF巻健二参議院議員だったのではないかと思ってる。氏はアメリカとドルに強くコミットした経歴を持っているので、万に一つでもアメリカの凋落なんてことが起きる事態は見たいくないのだ。それに某大手米銀に長年務めたトレーダーという経歴から考えて、相当ドル建ての資産も持っていることだろう。つまりは全てではないものの、氏の主張にはポジショントーク的な部分が多分に含まれている可能性があるのだ。なので私は市の意見はそれほど信用はしていない。人間は自らのポジションから決定的に離れた論陣を貼ることは不可能だからだ。なのでF氏の意見は話半分程度に聞いておくのがいいだろう。

さて。話がズレてしまったのでもとに戻そう。こんな中でボルカーみたいに20%へと金利を一気に上げたら一体どうなるか?アメリカ政府の抱えている膨大な債務は、借り換えをした時点でその高金利が付いてしまう。そうなればアメリカ経済は破綻だ。だからパウエルはあまり金利をあげられないだろう。でもそうなるとインフレがもっとひどくなる。ジレンマだ。

そして我が日本もアメリカ以上に借金をしており、金利を上げたくても大きくは上げられない。上げられない理由はアメリカと同じで、莫大な債務に金利が付いて、借金の返済で首が回らなくなってしまうからである。アメリカはそれほどゆとりはないとはいえ、一応もう少しだけなら金利を上げられなくもない、くらいではあるのに対して日本はもう殆ど金利を上げられる余地がない(2024年12月に予定されている可能性のある0.25bspの利上げがせいぜいだろう)。これはつまり日米金利差がまた開いていく可能性がある=円安が進む=物の値段が上がるという庶民にとってはつらい出来事が待っている可能性が高いということでもある。もちろん急激に円安になれば日銀が為替介入を行うだろうが、アメリカで政権交代しトランプが大統領になる。やつの人となりを考えると、為替介入もやりにくくなる可能性がある。また為替介入は自国通貨安を誘導したいなら楽にできるが、自国通貨高を演出したいのであれば難しいという特徴を持つ。自国通貨(日本なら円)を安くしたいなら、その国の中央銀行(日本なら日本銀行)が自国の通貨をバンバン刷って市場に流し、市場での自国通貨の価値を希釈し、その対価として外貨を拾い上げてしまえばいい(円安誘導)。そうすれば自国通貨の価値はやすくなり目標は達せられる。しかも何度でも使える手である。自国の中央銀行は、自国の紙幣をいくらでも擦れるからだ。しかしこれが逆、つまり自国通貨を高くする場合はそうも言ってられない。例えば円が対ドルに対して弱くなりすぎた場合、日銀は市場から円をすくい上げて、そのかわりにドルをばらまくことで円の希少性を上げ、逆にドルの希少性を下げることで円の価値を上げるわけだ。しかしこれには限度がある。日銀が持っている外貨建て資産があるうちしか出来ないのだ。

現在日本が為替介入に使えるとされる資産はおよそ1.2兆ドル。この内実際には長期保有分としてそういった分野に使えないものや、使えるんだけれど使えるようになるまでに時間がかかるものもあるので、実際今すぐに円安退治に使えるタマは半分の6000億ドル程度である。一度の為替介入に使われるドルはその時時によって違うこともあるが、一度に数百億ドル(数兆円~10兆円規模)の大きな為替介入ならせいぜい20回くらいだろうか。一年に2回放っても10年程度は保つ計算である(計算が間違ってたら、あなたが計算をしてコメント欄に穏やかな口ぶりで書いてあげてください)

それなりの量とはいえるが、ただ認識して置かなければならないのは、基本的に外貨はそれほど大量に補充ができない。円高で困っていた頃の日本はしょっちゅう円安介入(円を刷って市場に流し、ドルをすくい上げる)をやっていた。その時の蓄積もあって、世界有数の外貨保有国になって、いまそれによってたすけられているわけである。しかし、すでに述べた通りアメリカはあまり為替介入に対して好ましく思っていないらしい。特にトランプ自身はともかくトランプの側近の中にはドル高(=円安)を望むものも多いらしく、あまりにも為替介入をやりすぎると、アメリカという御主人様方から怒られてしまう可能性もある。それにこれもさっき行ったが、現在の状況では基本的に大幅な外貨の調達は難しく、出来たとしても面倒くさい条件などが課されている使いにくいカネである可能性もある。非常に長くなってしまったが、ともかく我が国もアメリカと同じで経済・財政的にまずーい状態に置かれているので、対岸の火事だとバカにするのは謹んだほうが良さそうである。

対外戦争と外交

トランプは大統領に当選する前からウクライナへの支援を打ち切る旨を何度も公式の場で発言している。これは以前から指摘されていたことだ。ただウクライナはアメリカの支援がなくなると苦しい立場になるだろう。すぐ近くのEUは約束した武器弾薬すら満足に前線に送ってこない始末。軍備拡張なども行っているが、これはどちらかといえばウクライナが時間稼ぎをしているうちに、自分とこの防備を重ねている、言い方を変えればウクライナを犠牲にすることで自分たちの安全を守り、ちょろっちょろっと送っている物資は時間を稼ぐための「調整」に過ぎないと見ることも出来るだろう。そんな厳しいウクライナ情勢を差し置いて、アメリカが強く関与しようとしている地域がある。それはイスラエルである。カネがないからという理由でウクライナから撤退すのに、イスラエルを支援する金はあるらしい。きっと財布がいくつもあるのだろう。イギリス人の舌は三枚あるそうだが、アメリカ人の財布は一体いくつあるのか想像も出来ない。

これは他人事ではない。イスラエルに過剰に入れ込まれると、万が一極東で台湾有事・朝鮮半島有事などが起こった場合、米軍が速やかに介入してくれなくなる可能性が高まってしまうのだ。特に2027年前後が危ないと言われておりあと三年ほどしかない。そこまでに中東でのいざこざを全部解消できればいいが、その保証はない。イスラエルとその周辺の連中は東アジアの安定にとってははっきり言って目障りで、どんな結果でもいいからとっとと戦争をやめていただきたいものである。エルサレム周辺の人間がどうなろうと我らの知ったことではないが、我々や我々に近い国々(特に台湾など)が被害を受ける可能性がある以上無関心では居られない。アメリカに取ってみれば中東はいろんな意味で大切なのかもしれないが、東アジアは東アジアで、米を守る西太平洋の海上版万里の長城なわけで、こっちはこっちで大変重要な役割を担っているのである。トランプ氏はもうすこし視野を広げて外交・安全保障政策を進めてもらいたいものである。

米国の覇権の行方と米国が圧倒的でなくなった後の世界

話が飛んだので、ここでようやくアメリカの覇権・基軸通貨ドルなど話題に戻る。2020年のコロナに端を発するインフレは、今年までにはだいぶ落ち着いてきた。だがそれもつかの間、トランプのインフレ政策のせいで再びインフレが再熱しようとしている。そして次にまたインフレの山がやってきたときが、いよいよアメリカと、その米国の影響力が非常に強い日本の「年貢の納め時」になるかもしれない。ただこの件でアメリカが世界の覇権国家からずり落ち、ドルが基軸通貨でなくなるまで行くかどうかはわからない。

今回の経済混乱はあくまでアメリカとドルが灰燼に帰す「事前準備」であって、トランプはあくまでそのお膳立てをするための人間なのかもしれない。その「計画(人為性が入っているという意味ではない。私は陰謀論が好きではない)」を好むと好まざるとにかかわらず、実行することになるのは2028年に選出される次の大統領かもしれない。ともかくアメリカの財政は間違いなく火の車になるだろう。これを小手先の「政府効率化省」などで無駄を削減するなんてむりだろう。イーロン・マスクは数々の民間企業で辣腕をふるった人物だが、相手が国家となるとそう一筋罠ではいかないだろう。まだまだこれからではあるが、私はさほど大した成果は上げあられないと思っている。特に政府機関は規模も既得権益も繁文縟礼さも法律や規則の厳格さも民間企業とは比較にならない。そんな中にイーロンが入ってきて、一体どれだけのことが出来るのかお手並み拝見と言ったところだ。

よしんばある程度成功してカネが浮いたとしても、それは富裕層減税に消えていくことになる。アメリカ上層部は庶民のことなど「肉屋を支持する豚」くらいにしか思っていないのではないのか。いずれにせよ、米国の中流層以下の人たちの暮らしはトランプインフレのせいで苦しくなる一方だろう。

米国の覇権とその基軸通貨ドルは、もうそれほど長くは持たないだろうというのが自分の意見。もちろんあと3年や5年で跡形もなくアメリカという国やドルという通貨がなくなるどまでは思っていない。ただおそらくアメリカは「世界恐慌2.0」の震源地となり、世界中に大不況をばらまくに違いない。

弾け飛んだ借金の水は全世界に流れ、ありとあらゆるものを押し流す。無論全員が巻き添えを食らうわけではなく、事前に「ノアの箱舟」を拵えていた人は助かるかもしれないが、大隊数は巻き添えをモロに食らうことになるだろう。これで世界中の資本主義は一度リセットだ。そしてその後やってくる体制、それはおそらく「G0」つまり覇権国家が存在せず、世界の物事は比較的憂慮行くな国々の合議制で決定される(G20が近いかも)ような体制になるのではないか(あくまでもそうなる可能性があるというだけで、実際は全く別の例えば国連を大々的に発展させて「地球連邦」を作ろうみたいな動きになるのかもしれないし、そんなものは全く起こらないかもしれない)もしそうなったら江戸末期~明治初期に幕閣らによって上奏された文章に「徳川も諸藩と同じ立場で政治に参与し、国を政を行うべきである」みたい建白書が一部の藩主たちから渡されたことがあったそうだ。その提案は結局流れてしまったが、今回のアメリカに同じような文章を提出したらどういう反応を示すのか、個人的にはちょっと興味がある。まああのジャイアンアメリカのことだ。多分受け取らないとは思うが。ただアメリカがどう思おうとアメリカの存在感が凋落の一方になる可能性が高い以上、積極的に譲歩して自国(アメリカ)の国際的な影響力を保持しよう、という考え事態はそれほど間違っているとは思っていない(あくまで外交安全保障素人の戯言なので真に受けないでいただきたいw)。

なんか近未来小説みたいなこと長々書いてきたが、これは決して根拠のない妄想ではない。金融も経済も国際政治も素人なので変なことをたくさん言ってると思うが、これから世界が辿る方向については概ね間違っていない、その自信はかなりある。というとこで今日は終了。

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